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ふたたび、セント・ネロ?

フランダースの犬の原作は、英国人作家ウィーダが1870年代に書いたのです。

ところが欧州では、物語は「負け犬の死」としか映らず、評価されることはなかった。
米国では過去に5回映画化されているが、いずれもハッピーエンドに書き換えられた。

それにたいして日本では、アニメ化されると何度となく放映されるは、舞台となったベルギーの土地を訪れるフアンは後を絶たないは。。。

ベルギー人映画監督ディディエ・ボルカールトさん(36)らが、3年をかけて謎の解明を試みて作成した検証ドキュメント映画を製作したのです。
その結果立て来た答えは、日本人の美学にあうというのが面白い、うなずけますね。
ただ、彼らの考えたのは、日本人の心に潜む「滅びの美学」だというのですよ。

ベルギーに行ったとき、ネロとパトラッシュの銅像を見たという知人と、フランダースの犬の評判について話しました。

すると、その時のガイドさんの話が興味深かった、といってこう返事をしてきました。

 ベルギーではこの話はとても評判が悪いのですが・・・。
 それはいうまでもなく、ベルギー人が主人公をいじめているからなのです。

日本では、だれもそんな風には受け取ってないのですけどね。

 ただ理由はそれだけでなく、もう少し複雑。

なんですって?

 イギリス人のこの作者、旅行記を主に書く作家で・・・。
 他にたいしたヒット作はなかった模様。
 この作家がべルギーを旅した時この物語を思いついたそうですが ・・・。

ふむふむ。

 その時代は欧州全土が好景気に沸きかえっていて、 ベルギーだけが何故か取り残されて不景気だったとか。
 馬でなく犬に車を曳かせて牛乳を売るというのは、不景気のベルギーでは仕方がなかったことなのに・・・。

話興味深いですねぇ。
しかし牛乳を曳くパトラッシュこそ、日本人好み。
仕方のなかったことは恥ずかしいこととは、日本人はとらえてませんよね。
むしろ耐え忍ぶ美しい姿と、思うのではないでしょうか。

 イギリス作家の目には奇異に映ったらしいのです。

事情を知らなきゃ、そうでしょう。
でも、ウィーダさんが、犬の曳く車を馬鹿にしてる風には作品からは感じませんけどねえ。。。

 こんなところから発想を得て生まれた物語は、ベルギー人にとって単なる悪役だからということでなく、 欧州の後進国というレッテルを貼られたようでいやだったそうですよ。

欧州の後進国というレッテルを貼られたようでいやだった、という反応がわかったことは遠くから見てるだけではわからない貴重な情報ありがたかったですね。

こういう話を聴くのも、対話の楽しみです。
話題にしたかいがあるというものですね。

悪役扱いされているようで、後進国扱いされているようで、ってそういう風に受け取る欧州の感性、日本では理解できないですねえ。

ところで、アジアでこの物語を知っているのは日本だけなのか、その点も気になるのですけど。

牛乳を引くパトラッシュ、犬が荷車を引いていても、そういう国もあるか、位にしか見てなかったですねえ。

でも、もくもくと荷車を引くその姿、確かにじ~んときた物語のフアンは多いはず。

そして、けなげなネロ。

日本で受ける要素は、そろってる。

日本人の心に潜む「滅びの美学」だったという話には、これは確かにあるような気がします、との反応もありました。

こんなとき、感じるんですって。
それも一種の「滅びの美学」では?と。 

 日本のマラソン選手が 走り終わって倒れる・・・
 外国の選手は割りと平気で、ゴール しても軽く走ったり笑ったりしてる・・・
 この違いについて「日本では死力を尽くして頑張る」ことが好まれる・・・

たしかに、必死になってがんばる姿、日本好みかも。

あと、一期一会のこころも、こういう場所で全力疾走しようとする元になってるのでしょうか。

一期一会とは、こんな意味に使う。
もともとは、茶会の心得から出た言葉ですね。

 何度となく、どんなに似た体験をしようとも、この時間、この一瞬は、二度と来ない。ならば、誠心誠意、真剣に行うべき。

欧州人の感性についてのこういう話を聴いて、たいていの日本人がする反応は、こんな感じでしょう。

おどろき、あきれ、そして、哀れに思う。

馬鹿にもしなけりゃ、まして、いじめる気にもならない。

なんで、こんなことわかんないのって、かわいそうにさえ思ってしまう。

それでいて、優越感に浸るでもない。

この心境、どこか、聖書の言葉に近いかも。

「悔い改めて福音を信ぜよ。神の国はあなた方のうちにある。」

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