ケネウィック人縄文人アイヌ
以前、聾唖者の女優が中央アジアを訪れる場面が放送されたけど、遺伝子がそっくり人が先住民にいると言うので尋ねていったわけです。
ちょっと彼女の顔が気になって、名前と画像で検索かけてみたのです。
そしたら、2003年3月からフジ系列で放送されていた番組でした。
サイエンスミステリー「それは運命か奇跡か!? DNAが解き明かす人間の真実と愛」
DNA分析の結果、女優・忍足亜希子と同じタイプのミトコンドリアDNAを持つ人が、中央アジア・カザフスタンにいることが判明した。
その人の名前はエルミーラ。アクタストゥという村で暮らす、26歳の女性だ。
忍足はエルミーラさんに会うため、東京から遥か5500キロ離れたカザフスタン・アクタストゥ村へと向かった。
http://www.fujitv.co.jp/dna/chap3.html
広義のシルクロードは、ステップルート・オアシスルート・南海ルートに分けられます。
カザフスタンのある天山山脈の北のルートはステップルートに当たります。
ステップとは木のない大草原のことで、ステップルートとは大草原の道ということです。
ステップルートは、草さえあればどこでも通路なのです。
どこでも通路になるわけですから、中華帝国のような農耕民族の勢力は及びようもなく、歴史書等にはほとんど登場しないそうです。
もちろん、オアシスルートのように定まった経路はなく、現在のルートが整備されたのは18世紀の清の西進や、19世紀ロシアの東進があってからです。
ステップルートは、スキタイから匈奴、突厥、モンゴル等の遊牧民にとっては、北はシベリヤのタイガの南、南は天山北ルートからより北、北緯50度前後に広がるカザフ平原からモンゴル平原までの地域全体を指しているのです。
ところで、忍足亜希子は昭和45年(1970年)6月10日北海道千歳市生まれです。
忍足の顔立ちはどちらかと言えば彫りの深く端正な縄文系で、アイヌもまた縄文系であることを思えばアイヌに似た顔立ちといわれるケネウィック人のいたアメリカに繋がるわけです。
私は、これで思い違いをしていたようです。
しかし、こうなると忍足の顔がケネウィック人的ともいえるわけで、中央アジアにケネウィック人的な人々がいたという連想というか、妄想というかに、駆り立てられます。
ケネウィック人の発見は、1996年6月28日のことでした。
コロンビア川の河畔で大学の競漕を観戦していた若者が人骨を発見し、警察に通報しました。
検死の結果、先史時代の人骨とされ研究機関に送られたのですが、これが騒ぎの発端でした。
ネイティブ・アメリカンの文化を尊重し、開拓時代以前の人骨は彼らの流儀で埋葬しなければならないと定めた法律があったためです。
9300年前の人骨であり、なおかつ現在知られるネイティブ・アメリカンに属さないという説が発表されたのです。
それで、研究を中止し埋葬するよう地元の部族であるウマティラ族の代表によって訴訟が起こされました。
しかし、裁判所は原告の主張を退け、研究の続行を許可しました。
いろいろな経緯はありましたが、全身の骨が回収され、中でも頭蓋骨はほぼ完全であったそうです。
ケネウィック人がどの人種であるかは、現在も結論を得ていないといいますが、科学よりも政治に振り回されたからのように見えます。
白人の研究者は、「白人である」と主張しています。
日本の研究者はむしろ「縄文人或いはアイヌ民族に近い」と言う説を出しています。
「ケネウィック人もネイティブ・アメリカンと完全に同一だ」と言う説も、一部ながら存在します。
しかし、アイヌには面白いエピソードがあるのです。
アイヌが白人だという説が、ヨーロッパで関心を呼んだという時期があるのです。
ロシアにいた白人が、大陸から追い出されて北海道に逃げ込んだのがアイヌだという説までたてられたのです。
いまでは、アイヌの血液のたんぱく質の多変量解析の結果から、アイヌは明らかにモンゴロイドに含まれると判断されているのです。
つまり、ケネウィック人がどんなに白人的でも、アイヌが縄文人の子孫である以上、縄文人のご親戚である可能性はありえるといえるでしょう。
明治維新前後日本に来た欧州人の中からも、日本にはブリティッシュ的な顔立ちの人々がいると出版物を通じて欧州に伝えたひとがいるのですよ。
さらに、ここで注目したいのは、ミトコンドリアのDNAの比較から古代アメリカと日本の関係が、あらためて確認できてきたことです。
ミトコンドリアDNAのタイプのことを、ハプログループといいます。
人のミトコンドリアDNAのタイプであるハプログループには、80パターンがあります。
日本の主なミトコンドリアのDNAは、そのうちの16タイプ。
日本人のルーツ探しに大きくかかわるのは、この16のハプログループだそうです。
主なということは、少数派も含めれば、もっとあるのでしょう。
16のDNAパターンは、以下の通り。
A、B4、B5、C、D4、D5、F、G、M7a、M7b、M7c、M8a、M10、N9a、N9b、Z
日本と古代アメリカでつながるのは、ハプログループのなかのAグループとDグループ。
古代アメリカでは、先にAグループが多かったのが、次第にDグループが増えたというのです。
もし、この古代アメリカで先に多かったAグループがケネウィック人であり、縄文人であり、今のアイヌとしたらどうなりましょう。
追記
近年の遺伝子研究では、アイヌと類似が指摘される沖縄の人々にDグループが多いと報告されています。
また、北海道縄文人集団にはN9b、D10、G1b、M7aの4種類のハプログループが観察されていると言うから、アイヌはDグループとみた方が自然なのかもしれません。
そうなると、年代的にはどうなるか、ちょっと気になる展開ですが。
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コメント
飛鳥先生が「アスカファイルセカンド」で、アイヌ=縄文人の頭蓋骨の特徴がインカ人と一致するって言ってました。ただ、インカ帝国は縄文時代と年代が全然違うので、当てはまるとしたらプレ・インカ文明時代の民でしょう。でもこれは結構昔の著作に書いてあった事ですから、今飛鳥先生が同じ見解を持っているかは分からないですけどね。
投稿: コテツ | 2008年3月31日 (月) 13時49分
わたしも、飛鳥情報は参考にはしていても、鵜呑みはしてません。
今の見解は、知りたいですね。
日本も、東の縄文、西の弥生、と以前は言われてましたが、今では東西ともに縄文時代があるといわれます。
NPAでは、多くの内容が更新されるでしょうね。
でも、飛鳥ファイルにも、資料的な価値のある内容も多いので、時折見てますよ。
投稿: cova | 2008年3月31日 (月) 19時27分