猫神三神
古事記や日本書記には、食物をつかさどる女神である穀物神の受難とも言える神話があるのです。
その穀物神とは、日本書記の保食神(うけもちのかみ)と古事記の大気都比売(おおけつひめ)です。
ではなぜ、受難したのかです。
保食神は月夜見尊、大気都比売は素盞嗚尊に、食事を出したのです。
どうやって?
保食神は口から、大気都比売は口とお尻から、出したのです。
保食神は、月夜見尊に殺され体から、作物などいろいろでました。
大気都比売は、素盞嗚尊に殺され体から、作物などいろいろでました。
これは、死体化生神話といわれるタイプの伝承です。
食物をつかさどる女神が殺され、死体からさまざまな穀物などが生じる神話は、外国にもあるのです。
インドネシア北東部に位置するモルッカ諸島のセラム島に伝わるハイヌヴェレ神話や、アメリカ東岸を流れるミシシッピ河畔のナチェズ族に伝わる火と食物の神話などです。
日本古代の壊された土偶も、この種の神話が背景にあると見られているのです。
食物をつかさどる女神は、殺されることによって、穀物をつかさどる女神になるというわけなのでしょうか。
これは、種が土中に埋められることを種の埋葬、すなわち種の死にみたて、発芽を種の再生とみなしたことによって、生まれた神話なのでしょうか。
伊邪那岐は、天照大神に高天原を、月夜見尊に夜を、素盞嗚尊に海原を、治めるように命じているのです。
ところが、月夜見尊と、素盞嗚尊とは、死体化生神話を共有してるのです。
これは考えれば考えるほど、奇妙なことです。
月夜見尊は、月読みに通じる月神と見られるのです。
月神は、暦をつかさどる神であるとともに、農作業の時期を指図する神と見ることができるのです。
穀物神の神話とつながりを持つのは、当然といえるでしょうか。
問題は、素盞嗚尊です。
海原を治める神と、穀物神にどのような接点があるというのでしょうか。
月は農耕に関連つけられるだけではなく、満ち欠けは猫の目の変化にもなぞらえられるのです。
しかも、猫もまた農耕の守り手として大事にされた歴史があるのです。
農地の作物を守り、収穫後のたくわえを守るというわけです。
一方、船では積荷を守る役目として猫は乗り込んだのです。
そうなると、月夜見尊は猫であり、猫は素盞嗚尊なのでしょうか。
これが何で気になるかというと、太陽女神である天照は、本来は太陽男神の天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊であるわけです。
古代エジプト同様動物神を含む八百万の神々の頂点が、太陽の男神であるなら、古代エジプトの太陽神ラー同様猫神だとしたらどうなのでしょうか。
そう。
猫神三神となるのです。
なぜでしょうか。
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コメント
イエスが語られた次の言葉が思い浮かびました。
「一粒の麦が地に落ちて死ななければ、それはただ一粒のままである。しかし、もし死んだなら、豊かに実を結ぶようになる。」(ヨハネ12:24)
投稿: コテツ | 2008年4月30日 (水) 08時21分
滅びと復活の命題は、重要な主題なのでしょうね。
投稿: cova | 2008年4月30日 (水) 15時18分