« 鬼 その1。 | トップページ | 中東から日本へ »

ねこの医者?

あるサイトで偶然、熊本の一地方の方言として「藪医者」をなぜか「ねこ医者」と呼ぶと言うのを見ました。

「ねこ医者」は、新潟のBBSでも見かけたけど、かなりマイナーな言葉なようです。

「藪医者」を、辞書を引いたらこうありました。

 診断・治療の下手な医者。藪薬師(やぶくすし)。やぶ。「野巫(やぶ)医」、すなわちまじないを用いる医者の意から出たという。

この“野巫(やぶ)”とか“薬師(くすし)”から見ると、巫女や僧侶などの、宗教者による診断・治療が行われていたと言うことです。

ならば「ねこ医者」とは禰宜の子孫を指す禰子の医者「禰子医者」で、“まじないを用いる医者”だったのでしょうか。
今は名前も残っていない都の「禰子医」「禰子薬師」もいたのでしょうか。
彼らは古代からの医学に通じ名医だったかも知れません。

禰子医者がいたことは、興味深いことです。
今ではお祭りや祈祷だけになってしまった神職も、かつては医術を通じて人々を救っていたのですね。

田舎の巫医(ふい)をさす言葉に、「野巫(やぶ)」があります。

巫(ふ)は神に仕えることを務めとする人をいい、神(かむ)和(な)ぎ、の意味で、古くは「かみなき」とも「こうなぎ」とも呼ばれました。
神をまつり、神楽(かぐら)を奏し、また「神降ろし」をする、祝(はふり)とともに禰宜(ねぎ)より下級の神職です。
祝(はふり)とは「はふりこ」とも「はふりべ」ともいい、神主・禰宜(ねぎ)に従って祭祀(さいし)をつかさどる神職で、また、広く神職の総称でもあるです。
「野巫(やぶ)」とは、地方で医師の勤めも果たしながら神に仕えた、下級の神職ということになります。

この「野巫(やぶ)」が、草、特に竹の生い茂る土地を好んで住処としていたなら?

「野巫(やぶ)」のいる、草や竹の生い茂る場所もまた、いつしか「藪(やぶ)」と呼ばれるようになったのでしょう。

藪を辞書で引くと、こうあります。

【藪】 (三省堂「大辞林 第二版」より)

(1)草木が群がり茂っている所。特に竹の群がり生えている所。
(2)「藪医者」の略。
(3)「藪入(やぶい)り」の略。
(4)「藪蕎麦(やぶそば)」の略。

季語で新年をさす「藪入(やぶい)り」は、深い土地へ帰る意味で、「宿入り」とか、「宿下がり」とかいう言い方もあります。
正月および盆の一六日に、奉公人が暇をもらって親元または請(うけ)人の家へ帰ること、また、その日です。

藪蕎麦は、甘皮のついたままひいた蕎麦粉で作った緑色の蕎麦、また、その製法の蕎麦を供する店の屋号です。

藪は、草と數(数の正字)からなるので、「草木が群がり茂っている所。特に竹の群がり生えている所。」の意味そのものをあわせた文字となります。

「特に竹の群がり生えている所」です。
つまり竹藪が、「藪」の本来の意味です。

もちろん、草や竹には“やぶ”に通じる意味と読みはないです。

それに、數にも、“やぶ”に通じる意味と読みはないです。

ところが、數の字を成り立ちから見ると怪しくなってきます。

數は、女の高く結い上げた髪をさす「婁(ろう)」と、軽くたたくことをさす「攴(とまた)」をあわせた文字です。
「婁(ろう)」はまた、二十八宿の一で、西方の星宿の婁(ろう)宿、つまり牡羊座の三星から成る「たたらぼし」をもさすけれど、數という文字の成り立ちでは女の髪にちなんだ元の意味が関係しているです。

數という文字は、長い髪の女と、軽くたたくという行為から、できています。
これをどう理解するかです。
多くの解釈者は、女がたたかれているとみます。
たたかれた女の、長い髪を振り乱す姿です。

しかし、もし、女がたたいているとしたら?

え?いい女のやさしくやってくれる肩たたきなら、やってもらいたい?

わたしは、指揮者が指揮棒を振る行為を「たたく」ということに注目したいです。

つまり、女が指揮者のように空をたたく行為を「數」とみるです。

空をたたく女の長い髪を振り乱す姿、それが「數」だとです。

空をたたくように手を振る、長い髪を振り乱す女です。

何かに取り付かれたようにです。

取り付くのが神としたら?

そう、女は巫女となります。

田舎の巫医(ふい)をさす言葉に、「野巫(やぶ)」があります。

草深い地方に住み、神に仕え、医業を営む人々、特に女とくれば、ヨーロッパの魔女や魔術師と、そっくりになります。

ヨーロッパの魔女や魔術師は、もともとは、土地の古くからの神に仕え祭祀を司る、医業にもたずさわる人々であったからです。

「野巫(やぶ)」は、日本の魔女集団といって良いでしょうか。
彼ら「野巫(やぶ)」もまた、禰宜の子孫なので、禰子であるはず。

「野巫(やぶ)医」は、「禰子(ねこ)医」ということ、ただし、下級の。

それで、たいしたことない巫医(ふい)を、「野巫(やぶ)医」とよび、「藪(やぶ)医」と呼ばれてしまうようになったのかもしれません。

そして、藪医の別名を禰子医、つまり、ねこ医という地域もあるというわけ。

最近見た番組で驚きました。
中国雲南にいる少数民族の住居、弥生の高床や、伊勢神宮に似たつくりです。

その少数民族の厄除けのおどり、驚くのは、女たちが長い髪を振って両手で空をたたくようなしぐさ。
この踊りのしぐさは、数から連想した動きそっくり。

彼らのほかにも、松を常緑なことから、特別視する文化を持った少数民族もいます。

そして、雲南から江南のあたりは、日本稲作文化のルーツと見られているのです。

さらに、長江文明の文物に、太陽の樹である芙蓉をかたどったものに、十の枝と十の鳥がつくられています。

これ、鳥居とは何か関連あるのでしょうか。

長江文明を築いた填王朝の遺跡からは、日本同様、漢から送られた蛇をかたどった持ち手のついた金印もでています。

長江文明と日本は、河拇渡遺跡でつながっていることもわかってきました。

藪医者のルーツは、西にさかのぼるのでしょうか。

ポチッとよろしく!

|

« 鬼 その1。 | トップページ | 中東から日本へ »

歴史」カテゴリの記事

神道」カテゴリの記事

」カテゴリの記事

ヨーロッパ」カテゴリの記事

アジア」カテゴリの記事

コメント

>「ねこ医者」とは禰宜の子孫を指す禰子の医者「禰子医者」で、“まじないを用いる医者”だったのでしょうか。

神から啓示を受けて、多くの病人を救った奇跡の医者ノストラダムスみたいやね。ノストラダムスはまじない師ではなく預言者でしたが・・・。

投稿: コテツ | 2008年4月10日 (木) 18時25分

ひょっとして、預言できる権能をもった「ねこ医」もいたのでしょうかね。

投稿: cova | 2008年4月10日 (木) 21時08分

野巫を調べ、たまたま こちらの記事を拝読しました。私の名前にも「藪」がつくものですから大変興味深かったです
野巫、猫・根子、預言者~
なるほど・・(;一_一)医は仁術なり

投稿: 通りすがり | 2009年9月19日 (土) 21時35分

面白いと思っていただけて、うれしいです。

投稿: cova | 2009年9月20日 (日) 06時22分

お返事いただいてましたね、ありがとうございます。
私の場合は「籔から棒」・・ある日突然。。
魔女だったのかなぁ(-_-;)
それとも名前の呪縛なのか・・

それにしても物知りな方ですねぇ~
猫かわいい~~肉救プにプ二♪

投稿: 通りすがり | 2009年9月22日 (火) 06時55分

調べては話す、自転車操業ですけど。

猫、かわいいですよね。

投稿: cova | 2009年9月22日 (火) 09時38分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ねこの医者?:

« 鬼 その1。 | トップページ | 中東から日本へ »