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西王母

西王母(せいおうぼ)は、西王母(さいおうぼ)ともよばれる中国に古くから信仰された女仙です。
姓は楊、名は回と。
九霊太妙亀山金母(きゅうれいたいみょうきざんきんぼ)、太霊九光亀台金母(たいれいきゅうこうきだいきんぼ)、瑶池金母(ようちきんぼ)などともいい、すべての女仙たちを統率するのです。

西王母に対応するのが、東王父(とうおうふ)です。
姓は王、名は玄甫と。
東王公(とうおうこう)、東華帝君(とうかていくん)、東父(とうふ)、東君(とうくん)、木公(ぼっこう)、扶桑大帝(ふそうたいてい)ともよばれるのです。
東王父は、中国の神話上の仙人です。
西王母が女仙を統率するのに対し、東王公は男仙を統率するのです。

西王母が、神話や伝説、小説などに頻繁に登場するのに対し、東王父は、あまり登場しないようですね。
これは、西王母が先に成立し、それに対応する形で東王父が生まれたとされる成立事情に関係があると思われているのです。

しかし、陰陽からは、面白いことが見えてきます。

北、西、南に対して、東は不思議と影が薄いのです。
何かの到来を待ち受けるかのように。

東王父の別名に木公があるということは、東は陰陽では木気に配当されるので、陰陽で解釈していいと見えます。
西王母の別名に金母があり、西は陰陽では金気に配当され、金克木と。

なに、仙人の世界でも、男は女より影が薄いの、でしょうか。

東は、日の出の方角、誕生に配当される方角でもあるのです。

まだ来ない、新たな太陽を待っているかのようです。

日本には、東方のニライカナイ伝承があるのです。
他界概念のひとつで理想郷の伝承であるニライカナイは、琉球列島各地に伝わるものです。

ニライカナイの概念は、本土の常世国の信仰にあたるとみられているのです。

東といっていますが、正しくは遥か遠い辰巳の方角の海の彼方、または海の底、地の底にあるとされる、豊穣や生命の源である異界です。
年初にはニライカナイから神がやってきて豊穣をもたらし、年末にまた帰ると。
また、生者の魂もニライカナイより来て、死者の魂はニライカナイに去ると考えられているのです。
琉球では、死後7代して死者の魂は親族の守護神になるという考えが信仰されているのです。
後生(ぐそー)、つまりあの世とされるニライカナイは、祖霊が守護神へと生まれ変わる場所、つまり祖霊神が生まれる場所でもありました。

つまり、ニライカナイは来訪神のいる世界であり、生命と豊穣の源であり、死者の世界でもあり、祖霊神が生まれる場所であるという、複合的な観念を持った楽土なのです。

脱線しちゃったですね。

周の穆王(ぼくおう)が西に巡符して崑崙に遊び、西王母に会い、帰るのを忘れたというのです。
そんなに、いい女なら、あってみたいでしょうか。
まあ、そうせっかちにいわないで。

また前漢の武帝が長生を願っていた際、西王母は天上から降り、仙桃七顆を与えたというのです。

現在の西王母のイメージは、道教完成後の理想化された姿です。
本来の姿は、「天厲五残(疫病と五種類の刑罰)」を司る鬼神です。
『山海経』によるとこのような、凄まじい怪物です。

なお、蓬髪とは乱れた髪、玉勝とは宝玉の頭飾のことです。

 「人間の女の顔に獣の体、蓬髪に玉勝を付ける。虎の牙を持ち、よく唸る。咆哮は千里にとどろいて、あらゆる生き物をおびえさせ、蛇の尾を振ればたちまち氾濫が起きる。西王母には大黎、小黎、青鳥という三羽の猛禽が従っており、王母の求めに応じて獲物を捕らえ、食事としてささげる。」

獣というのは、虎の牙を持つというから虎の類なのでしょうか。

このときだったら、周の穆王は、帰るのを忘れるより、無事に帰れたか怪しかったかも。

人間の非業の死を司る死神であった西王母であったが、「死を司る存在を崇め祭れば、非業の死を免れられる」という恐れから発生した信仰によって、徐々に「不老不死の力を与える神女」いうイメージに変化していったのです。

やがて、道教が成立すると、西王母はかつての「人頭獣身の鬼神」から「天界の美しき最高仙女」へと完全に変化し、不老不死の仙桃を管理し、艶やかにして麗しい天の女主人として、絶大な信仰を集めるにいくのです。

周の穆王は、だから、帰るのを忘れてしまったのでしょうね。

王母へ生贄を運ぶ役目だった怪物・青鳥も、「西王母が宴を開くときに出す使い鳥」という役どころに姿を変え、やがては「青鳥」といえば「知らせ、手紙」という意味に用いられるほどになったのです。

でも、どこかでこんな存在あわなかったでしょうか。

そう、怒れる恐ろしい獅子の女神セクメトと、やさしくかわいい猫の女神バステト。

なんででしょうか。

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コメント

>琉球では、死後7代して死者の魂は親族の守護神になるという考えが信仰されているのです。

神道の思想とよく似ていますね。

投稿: コテツ | 2008年6月 6日 (金) 16時46分

つながってるのでは、ないでしょうか。

投稿: cova | 2008年6月 6日 (金) 19時49分

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