ネコとイエス その二
販売していたさくら出版の破産により惜しくも絶版となった、『猫がいっぱい詰まった本〈1〉日本の民話・伝説編 』と言う本の目次の中に、気になる題を見つけました。
もっと、早く知ってたら、買ったのに…。
まずは、目次を見ていただきたいです。
猿と猫と鼠
絵から飛び出した猫
犬と猫のはなし
犬と猫と玉
戸塚の猫おどり
赤猫になった百姓
猫のうた
猫の草紙
猫また橋
猫嫌い
猫妻
猫山
猫斬丸
猫檀家
猫かぼちゃ
茂吉の猫
猫が十二支に入れなかった理由
猫と蟹
猫多羅天女
身代わりで磔になった猫
薄雲太夫の飼い猫
猫の寺(東京・自性院;東京・豪徳寺)
興味惹かれる話はいくつかあるが、中でも気になったのがこれです。
身代わりで磔になった猫
気になりませんか?
そうそう、身代わりに猫を磔にしたという話ってありますねえ。
聞いたことあります。
何故猫なのか、他の生き物ではだめなのか。
興味ありますね。
逆に、魔除けとなると犬が登場して、猫が出てこないです。
もっとも、犬の文字や模った代用を用いた日本と違って、古代中国では本物の犬を魔除けに用いたそうです。
無念の死を遂げた飼い主の怨念を受けて化け猫となる話や、貧乏寺でかわいがられていた猫が寺に恩返しをする話などはいくつかあります。
邪悪な蛇から、なぜかたいてい女性なのだけど、飼い主を体を張って守る猫の話も各地に伝わります。
飼い主を守った話に出てくる猫は、どういうわけか理不尽な死に方をしています。
おそらく、「身代わりで磔になった猫」の話は、理不尽な死に方をしている飼い主を守った猫の伝承の流れにつながっています。
無実の罪を被って、理不尽な死を遂げる生き物の話にでてくるのは、私が知っている範囲では猫だけです。
歴史上あまりにも有名な人物もまた、無実の罪を被って、理不尽な死を遂げます。
その人物の名は、イエスなのです。
イエスもまた、人類の原罪を背負って身代わりで磔になったとされています。
イエスの十字架には、罪状書きが添えられていました。
罪状書きに記されていたのがこれです。
“INRI ”
INRI とは、“IESVS NAZARENVS REX IVDÆORVM”の略です。
もちろん古典ラテン語です。
“イエス ナザレの人 ユダヤの王”
訳せばそうなります。
そういえば、ヨーロッパには猫をイエスのメタファー、つまり隠喩とする文化があります。
メタファーとは、あるものの性質を他のものの性質を丸ごと使って、たとえることを言います。
猫とイエスを、これまでにも何度か比べてきました。
共通したイメージを、並べてみたいです。
蛇
幼子
祭司あるいは預言者
太陽神
罪人を運ぶあるいは裁く
このうち、「罪人を運びあるいは裁く」というのは、“火車”という妖怪としての猫と聖書の山羊だったですけど。
また、直接聖書やイエスと比べなかったし、名前にねこがつくだけだった“ねこ医者”も加えたら、これもあります。
癒す
このリストに、追加項目ができたことになります。
身代わりで磔になった
猫は、ますますイエスに近づいてきた。
それとも、こういうべきでしょうか。
イエスは、ますます猫に近づいてきた。
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コメント
身代わりで磔になった猫の話、以前どこかで聞いた事がありました。すぐにピンときましたね。
投稿: コテツ | 2008年6月22日 (日) 17時01分
身代わりで磔になった猫…。
地域的にはどのあたりに伝わる話、ですかね。
投稿: cova | 2008年6月22日 (日) 17時31分