カオス
カオスは、古典ギリシア語ではΧάοςと表され、英語Chaosからの読み方で、ケイオスとも言うギリシア神話に登場する原初神です。
同じ古代ギリシャ語の、「亀裂、スリットまたはギャップ」を意味するχάσμαからきているそうです。
カオスの原義は、大きく開いた口、空っぽな空間の事だったらしいです。
ここは、老荘思想の言う根源の存在「玄(げん)」や「玄(げん)の玄(げん)」を連想させられるのです。
「玄」や「玄の玄」もまた、限りない闇にして原初の空っぽな空間であったのです。
カオスは、ギリシャ語で「混沌」や「無秩序」を表す言葉でもあるといいます。
カオスはしばしば、秩序の正反対で、通常の予測が不可能ということとされます。
それで、日常でも、混沌としている様子や雑然とした場所などについて、「カオス」と形容することがあります。
カオスは、文脈や展開的に支離滅裂になった場合にもしばしば使用されます。
神としてのカオスは、この世が始まったとき最初に無の空間に誕生したとされる混沌を神格化した存在です。
創世記にある「地は形なく、むなしく、やみが淵のおもてにあり…」や、古事記の「浮べる脂の如くして、くらげなすただよへる時…」に通じるといえます。
そういえば、老荘思想は道教や道家の基礎とされ、道家思想に通じるものは聖書や古事記・日本書紀にも見えると指摘する易経研究家もいます。
道家と聖書のつながりは、老荘思想とカオスの類似と、古代イスラエルのいたエジプトとギリシャの関係を思えば、似たようになることはありえるといえます。
謎が多いのは日本とギリシャだけれど、老荘思想の日本への伝播と、神話や裁縫の裁ちばさみ、ギリシャ的な足指などを思えば、妙にうなずけるのです。
カオスは、一人で、大地であるガイア、奈落であるタルタロス、愛とも別説有とも言われるエロース、暗黒のエレボス、夜をつかさどるニュクスといった神々を生んだ神です。
カオスのこういうところは、原義の大きく開いた口や空っぽな空間が実は子宮の象徴であって、さまざまな神を生んだイザナミや、地母神に通じているのではという感じもあります。
なお、大地のガイアと奈落のタルタロスには、混沌のカオスと同時に生まれたという説もあります。
こんなところは、アマテラスとスサノオとツクヨミが一緒に生まれたとする古事記を連想させられるのです。
ギリシャ神話も、日本神話も、けっこう性的にあっけらかんなところが多いです。
老荘思想も性的にあっけらかんであって、陰陽を女と男になぞらえる道家思想に通じるのです。
ギリシャ神話、日本神話、老荘思想、聖書は陰陽でつながってるのかです。
うんうん!
陰陽は森羅万象すべての基本だよね!
科学理論で言うカオスは、ほんのわずかな初期条件の違いが予想もつかないほど大きく違った結果を生む現象の意味で使われるのです。
個々の現象は決定論的に予測できるが、総体としては非連続でバラバラな挙動を示し予測不可能なことです。
決定論は必然論とも言い、自然や歴史の諸現象の現象や事件などが現れ起こるのは、神・自然・因果性・社会関係など外的な原因によって究極的に規定されているとする考えです。
総体は、物事を全体としてみた場合に使われる言い回しです。
空気の分子も、一個二個なら動きが予測できても、三個以上となると確率で扱うほかに手が無いようなものです。
でも、分子の総体である空気という気体としてなら意外と簡単な式で扱えてしまいます。
気象が科学できるのも、ここに理由があります。
もっと複雑に見える経済行為も、大勢の営みと見るとき、これまたすっきりとした法則が見えてきちゃうのです。
それで、さまざまな経済理論が作られることになります。
自然から社会にいたるまで、小さな世界から宇宙にいたるまで、あらゆる場面にカオスがあるのです。
そして、カオスとは混沌や無秩序であって、混乱とは本質的に違うのです。
混沌や無秩序は、正しい順序や調和がちょっと見るとあるように思えない状態ではあるけれど、それなりにまとまりを持っていることです。
まとまりさえ失った混乱と、ごっちゃにしてはいけないのです。
混雑とパニックを取り違えては、いけないようなものですね。
そうですね。
このように不規則で非常に複雑に見える現象が、簡単な方程式で書き表せるとするのが「カオス理論」です。
カオス理論は物理や工学の分野だけではなく、生命科学や社会、経済の問題へも適用されています。
そういえば、「カオス理論に基づいた」のを売りにした電動猫ジャラシがあるね。
猫ジャラシがどう動くか予想もできないので、猫が喜ぶらしい。
だけど、猫ジャラシは猫とのコミュニケーションがはかれる道具なのね。
やっぱり、自分の手で振りたい。
ところで、カオス理論って、どんなこと?
コンピュータの発達により、混沌、無秩序を意味するカオスは、「決定論的システムが作り出す予想不能のふるまい」として扱われるようになったのです。
つまりこういうことです。
ほんのわずかな初期条件の違いが予想もつかないほど大きく違った結果を生む現象
個々の現象は決定論的に予測できても、総体としては非連続でバラバラな挙動を示し予測不可能なこと
カオス理論の応用としては、気象学者エドワード・ローレンツのローレンツアトラクタが有名です。
カオスを使った気象に関するローレンツ流取り扱い法とでも、思えば良いでしょう。
この不規則で非常に複雑に見える現象が、簡単な方程式で書き表せることもある、とするのが「カオス理論」であります。
常にそうできる、とまではずうずうしく主張しないところが奥ゆかしいです。
カオス理論は、全ての学問体系に影響を及ぼしています。
数学、物理学だけでなく、化学、医学などの生命科学、経済学や社会学など、その応用や適応の範囲は広いのです。
大気、プレートテクトニクスなど自然界において観察できるシステムや、経済、人口増加などの社会的なシステムにはカオス的振る舞いを示すものが多いです。
また、カオスには以下の特徴が現れるのです。
自己相似
単純な数式から、ランダムに見える複雑な振る舞いが発生する
短期的、それもごく短い期間であれば予測可能
バタフライ効果とよばれる初期値のごくわずかなずれが、将来の結果に甚大な差を生み出す
過去の観測データから将来の長期予測が困難となる
バタフライ効果とは、蝶々の羽ばたきのような些細なできごとが地球の裏側で暴風になるというたとえ。
それくらい、大きな差が出てしまうというジョークが効果の名前になったのです。
カオスの特徴のひとつに上げられる、自己相似ということがカオスをもうひとつの現象と結びつけるのです。
その現象とは、フラクタルです。
フラクタルは全体と部分が相似になる、自己相似を特徴とする点でカオスに通じるのです。
フラクタルはしばしば、樹にたとえられます。
全体の形と、個別の枝の形の相似というわけです。
それで、カオスとフラクタルは、一つの現象を表す二つの理論という声もあるのです。
カオスやフラクタルのような現象を、複雑系といいます。
現代科学は、このような複雑系の科学も最先端のひとつなのです。
カオスには、その必要十分条件が与えられていないのです。
必要充分条件とは、最低限これだけの条件を満たす必要があり、しかもその条件を満たせば十分ということ。
カオスには、そういえるような条件は指摘できないのです。
それで、カオスの判定は複数の定義の共通を持って、カオス性があるという判定以外に方法が無いです。
このため、カオスの判定とは必要条件という性質を持ちます。
いろいろな必要条件があげられているけど、それでもノイズとカオスの区別が困難など、数々の課題が残っているといいます。
長いけど、これでもカオス説明の入門編。
カオスの入門編、面白いねえ。
ありがとうございます。
でも、頭の中がカオスに・・・・。
わたしゃ、理解するより、感じでやってるってとこあります。
考え出したら、わたしも、頭がカオスになっちゃうから。
カオスに限らず、複雑系はけっこうややこしいですね。
あまり踏み込むと、小難しい名前のオンパレードになっちゃいそうなので。
それで、考え方の説明に絞り込みました。
| 固定リンク
「思想」カテゴリの記事
- 一筋縄ではいかぬ複雑系の科学──総合芸術の舞台、交差する秩序と混沌(2026.01.14)
- AI、この悩ましい存在。(2026.01.13)
- 物理学という花を観賞してみた。どんな咲き方をしているの?(2026.01.12)
- 気候危機は現代版ノアの洪水か? 全人類が乗れる箱舟は供えられているか(2026.01.12)
- 古墳は災害レジリエンスのモニュメント? ――考古学と『古事記』『日本書紀』から読み解く歴史の空白(2026.01.11)
「科学」カテゴリの記事
- 地層をどう読むか:閉じた系・初期条件の前提と現実 ― 地球史を読み解くシリーズ 4(2026.01.14)
- 地層をどう見るか。でき方から考えてみる ― 地球史を読み解くシリーズ 3(2026.01.14)
- 地層をどう見るか。でき方から考えてみる ― 地球史を読み解くシリーズ 3(2026.01.14)
- 放射性同位元素年代測定の基本と誤差 ― 地球史を読み解くシリーズ 2(2026.01.14)
- 一筋縄ではいかぬ複雑系の科学──総合芸術の舞台、交差する秩序と混沌(2026.01.14)
「ギリシャ」カテゴリの記事
- ユーラシア言語記憶 「文明的収斂」として読み解く文化の奥にある言語構造の類似 (構造偏:構造としての言語) (2025.11.07)
- ユーラシア言語記憶 太陽と和 ― ラテンと日本に響く情の文明 (文化編:感覚と生活の共鳴)(2025.11.07)
- ギリシャ悲劇の“カタルシス”とは、十字架の“救い”とどう違うのか?(2025.10.21)
- 夜空を渡る神々――七福神から古代中東へ(2025.10.16)
- プサルテリウムからチェンバロ、琴、ツィンバロムへ ― 弦をめぐる楽器史の迷宮(2025.09.26)
「中国」カテゴリの記事
- 巫女舞―比較文化編 「世界各地の類似文化から、日本的特徴を浮かび上がらせる」(2025.12.23)
- ロシアとどう向き合うか ――国際法を語れない日本と、対話という唯一の出口(2025.12.13)
- 民族意識の形成から見たヨーロッパと中国の比較文化(2025.12.13)
- シンデレラの灰に秘められた三重の物語構造ー象徴・物語・伝播の謎(2025.12.10)
- 東北の秦氏をたどる旅・第三弾 オシラサマ伝承と養蚕神――大陸と在地の交差点(2026.01.05)
「数学」カテゴリの記事
- 一筋縄ではいかぬ複雑系の科学──総合芸術の舞台、交差する秩序と混沌(2026.01.14)
- 自己組織化と自己複製は、どこで質が変わるのか ――トポロジー・フラクタル・カタストロフィの視点から(2026.01.09)
- ハミルトン形式とラグランジュ形式・量子力学と古典力学 その似て非なる関係の構図を眺めてみる。(2026.01.05)
- まさに、現代の大風呂敷? デザインがなんで今注目されるのか。その理由を想像してみる。(2025.12.31)
- ヒッグス機構と重力の差って何?測定過程からみえてくることとは(2025.12.24)
「陰陽・弁証法」カテゴリの記事
- なぜ日本はイグノーベル賞の常連なのか ― 背景の文化を想像してみる(2026.01.01)
- 単なるペアではなかった右近の桜・左近の橘 ― 実は神殿だった天皇の宮殿(2025.12.19)
- 五十音図は、ほんとうに「言語の表」だったのか ── 招き猫、樽神輿、陰陽、十干十二支…あれが出そろう幕末に、何が起きていたのか(2025.12.10)
- ヨーロッパとアジアの違いは、対立じゃなく相補性だった ――平和から科学まで、唯物弁証法で見えてくる景色(2025.12.10)
- 卑弥呼と巫女の世界史 ──鬼道・陰陽・デルフォイがつながるとき 東アジアから地中海まで(2025.12.06)



コメント
≪…カオス…≫な自然数の1を十進法の基における桁表示の西洋数学の成果の符号と大和言葉の【ひ・ふ・み・よ・い・む・な・や・こ・と】の対峙で捉える記事を見つける。
【 混沌としていて、すっきりとは割り切れない。おそらくその両面を、πは教えてくれている。】
≪…数直線上に並ぶ全ての数…≫は、超越数の贈りモノとして『創発釣り鐘体』と『尖塔コニーデ体』で、象徴できそうだ・・・
『創発釣り鐘体』と『尖塔コニーデ体』は、
(eー2)π で 2.25・・・
2月25日を『自然数の日』に・・・
実数直線上に浮かぶ自然数は、『釣鐘体』と『富士山体』の回転体の軸点で、[偶数]と[奇数]になる。
『創発釣り鐘体』( (e‐2)π )と『もろはのつるぎ体』( (3-e)π ) を足すと
(e‐2)π + (3-e)π = π
『尖塔コニーデ体』( (e‐2)π )と『もろはのつるぎ体』( (3-e)π ) を足すと
(e‐2)π + (3-e)π = π
『創発円筒体』( (e-1)π ) から切り出される 『創発釣り鐘体』 『尖塔コニーデ体』 『もろはのつるぎ体』 の 『もろはのつるぎ体』の結合の動きが進む自然数の姿で、[円周率](π)は、自然数[1]の単位を創る役割と観える。
割るコトは単位を創り1と生す
この物語の淵源は、絵本の力で・・・
もろはのつるぎ (有田川町電子図書館)
『離散的有理数の組み合わせによる多変数関数』(自然数の量化)
投稿: ヒフミヨはカオスコスモス行き来する | 2025年3月16日 (日) 16時58分