出雲大社の八雲
出雲大社は、本格的社殿の多くがそうであるように、拝殿と本殿からなり、しかも本殿へは階(きざはし)を通る造りになっています。
出雲大社の不思議なことのひとつに、八雲と言いながらも、本殿天井に描かれている雲の数は7つしかない『八雲』の絵があります。
あとひとつの雲は、あの大迫力の大注連縄だったりして。
注連縄は雲と雨と雷を表現しているという、説を唱える人もいますから。
注連縄八つ目の雲説なんてのも、面白いですね。
雷は、「神成り」であるとも、「神鳴り」であるとも、されますね。
しかし、八つの雲、つまり「八雲」と言いながら、どうして八つ目が描かれていないかを問うばかりで、なぜ七つの雲だけが描かれたのかを問う声はあまり聞かないです。
七で思い起こすのは、北斗七星ですね。
北半球の北斗七星や南半球の南斗六星は、神の両手と言う思想もあります。
南半球の南斗六星に当たる数のものは、出雲大社に描いていないですよ。
上にあたる北にある北斗七星を陽と見れば、下にあたる南にある南斗六星は陰にあたるので、描かれていなくてもかまわないともいえますから。
次に思い当たるのは、神代七代ですね。
七つの雲が、神代七代を表す可能性も見ていいですねえ。
イザナギとイザナミは、七代目ですね。
八代目は、イザナギとイザナミの後だから描かれていないのかも。
謎の七枝刀もあげてもいいかも。
七枝刀は、『いけばなの起源―立花と七支刀』なんて本、書いた人もいますね。
内容紹介が、すごいですよ。
現代いけばなの源流をたずね、民俗文化の「七」の伝承を追及する、大胆かつ豊かな推論を展開。
歴史の中に埋没し散在する神話伝承を拾い集め、七枝の立花伝承へと導く。
七福神なども合わせると、七は神にかかわりが深い数と言えます。
もちろん、八は末広、七は福、と見ても面白いし、「八雲」と名づけて七で抑えることで未完成を表して“陽極まれば陰”で崩壊に向かう事を避ける呪術と見ても興味深いです。
未完成説は、日光東照宮の逆さ柱に通じますね。
わざと七にしたのは、陰陽五行や七曜を表したいという見方も可能かも。
さらに、もっと問われていいのが、七つの雲しか描かずになぜ「八雲」かということです。
ここには驚くべき説があります。
「八雲」は「ヤー雲」である。
この「ヤー」は「ヤハウエのヤー」をさすと。
数字が示す面白さはこれまでもいろいろとあったけどね。
「八雲」の八が「ヤハウエのヤー」とはびっくり!
ヤハウエの雲!
なるほどねえ・・・ 。
雲自体が、旧約を見るとヤハウエの象徴として、しばしば登場しています。
「ヤーの雲」は「ヤハウエの雲」ではないかと。
そういうことでしょうね。
神社と幕屋の構造も、拝殿と本殿からなることがそっくり、鳥居は元は二本柱であってヤキンとボアズにそっくり、献金の箱のあることがそっくり、祭司の服装がそっくり、神域が区切られることがそっくり。
現地で聞いた諸説では、「ヤハウエの雲」のお話は語られてなかったですね。
でも、なるほどと思いました。
意外と語られないのは、古い神社によくある階は幕屋にもあったということ。
焼き尽くす献げ物は、祭壇、つまり階の上でなされたのです。
出雲大社の七つの雲が、なにをさすかということですが。
七と言えば、謎の七枝刀もあげられるけど、実はよく似たものが幕屋にあったのです。
燭台であるメノラーなのです。
左右の枝を高さをそろえるか、違えるかで、見た目の印象が変わっただけと、いうことですか。
左右に三本づつ出てるのは、似てるでしょう。
もし、七つの雲がメノラー、八雲が「ヤハウエの雲」ではないかとみれば、出雲大社は日本の幕屋になってしまうのです。
幕屋は確かに移動しますね。
だから、いまだにあっちこっちと、落ち着き無く動きたがるのかな。
古代の出雲大社が高かったのも、雲を意識してたりして。
古代の出雲大社って、今の倍以上でしたっけ?
それだけの巨大な建造物を建てた技術もすごいですよね。
出雲大社の口伝によると、上古32丈、中古16丈、その後8丈といいます。
1丈は3.0303mです。
メートルでは、上古96.9696m、中古48.4848m、その後24.2424mというわけです。
なんと100m近い高さで、大昔の出雲大社はそびえたっていたというのです。
出雲大社では、日本書紀の記述に本殿の高さが十六丈(48m)だったという記述があって、そのことを裏付ける御柱の遺跡が発掘されています。
それより前は100m以上あったのではないかと言ってました。
天に向かって高く高く出そうです
八雲立つなんていうけど、これも意味があるのかな。
八雲立つなんていうけど、ヤーがヤハウエなら、八雲立つはヤハウエの臨在を言ってることになっちゃいます。
でも、八雲立つといえば、古事記に記載されている、日本最古の有名な和歌がありますね。
これですね。
八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を
この「妻籠み」の解釈が鍵ですね。
ここで言う「妻」は「配偶者」と見るか、「夫婦」と見るか、見解が分かれるけど籠ることは同じと見ています。
もし夫婦と見たら、陰陽和合を取り巻いて幾重にも垣根、つまり層ができたさまを想像できるです。
これで思い起こせるものは、インドにあります。
シュリーヤントラなのです。
シュリーヤントラの表現法には、平面と立体があります。
立体は、ヒンズーの寺院に似てるです。
ていうか、ヒンズーの寺院の形は立体化したシュリーヤントラといえるでしょう。
比較的初期のカソリックの教会に十字架を象ったものが多いような、ものでしょうかね。
似た発想かも。
ヤントラとは、インド古来から伝わる宗教の聖典あるいは経典であるタントラに記された呪文であるマントラを、目に見える形に象徴化した物です。
思い切って単純化すると、タントラからマントラが出て、マントラを象徴化したものがヤントラなのです。
シュリーヤントラの真ん中の円が男性原理、それを囲む三角が女性原理、中心の男性原理と女性原理の和合から、周囲を取り巻くように三角で象徴される多くの女神たちが生まれ彼女たちの踊りが万物を生んだと言ってるのです。
上向と下向きの大小の三角は、幾重にも重なっています。
この三角の重なりを八重と見たらどうでしょ。
八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を
この歌は、シュリーヤントラそっくりに思えてくるのです。
そして、タントラの思想もまた、陰陽道やカッバーラと同じように対立する原理から生まれる階層的世界観を持っているのです。
出雲大社って、なぞが多いですよね。
日本の文化の多層性が、理解をややこしくしてるです。
ただ、陰陽がこれらをつなぐ鍵になってると言えるでしょうね。
雲は鮮やかな色で塗り分けられていますので、色から何かわからないものかなとも思っています。
色は何色だったでしょう。
陰陽であれば、青、黄、赤、白、黒が基本ですけど、能舞台のように、緑、黄、赤、白、紫の場合もあるです。
ただ、七つの雲だと色数がちょっと微妙。
それとも、虹の七色 赤・橙・黄・緑・青・藍・紫だったですか。
もしそうなら、光と見て合わせれば白色光になって、陰陽五行の西を表す白。
顔料などの色としたら、合わせれば黒で、陰陽五行の北を表す黒となりますが。
赤、黒、黄、青でしたかね、桜色か桃色、緑も見えるように思えます。
色は、白い線で区切られています。
だとすると、陰陽の可能性はありますね。
ちょっと、色数が多いけど?
でも、基本的な五色の変形にも見えましてね。
陰陽五行では、赤に南、黒に北を配します。
白は、西方の神社であることを表すのかも。
黒に北、青に東、赤に南、白に西、黄に中央、と言う配し方になります。
さらに、上を陽、下を陰とするのですが、上を北、下を南に配します。
でも、陰陽対極図は、下に配される南に陽の極み、上に配される北に陰の極み、となってますよ。
陽極まれば陰、陰極まれば陽、となります。
それに、陰に陽を、陽に陰を、それぞれ対応させて対極とする慣わしが陰陽にはありますから。
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