にゃんにゃんのん
水木 しげるは、鳥取県境港市出身の漫画家です。
その水木しげるに、 『のんのんばあとオレ』と言う作品があります。
のんのんばあは、のんのん婆と書いて、観世音菩薩あるいは観音さまをのんのんさまと呼ぶことから鳥取県境港市の地元言葉で信心深い老婆を指すです。
ちなみに、「のんのんさま」あるいは「ののさま」というのは、小さな子供には、「かんのんさま」と呼びにくいので、いつの間にか、こう呼ぶようになったという通説があります。
観世音菩薩は、「慈母観音」などという言葉から示されるように、俗に女性と見る向きが多いです。
しかし、経典などでは釈迦が観音に向かって「善男子よ」と呼びかけ、また「観音大士」という言葉もあることから、本来は男性であったと考えられています。
観音経では「婦女身得度者、即現婦女身而為説法」と、女性には女性に変身して説法するともあるため、次第に性別は無いものとして捉えられるようになり、また後代に至ると観音を女性と見る傾向が多くなったらしいです。
ウィキペディアには、こうあります。
これは中国における観音信仰の一大聖地である普陀落山(浙江省・舟山群島)から東シナ海域や黄海にまで広まったことで、その航海安全を祈念する民俗信仰や道教の媽祖信仰などの女神と結びついたためと考えられている。
ここで気になるのは、出雲童歌「ネコにゃんにゃん」と言う歌の歌詞にこうあることです。
なんといったって、島根県は鳥取県の左側ですから。
出雲にゃんにゃんのん 出雲にゃんにゃんのん
出雲にネコがいーたそうな にゃんにゃんのん・・・
神様がかわいくて ネコ ネコ ネコと呼ぶ、
にゃんにゃんのん・・・ ・・・
猫の鳴き声を、調子を合わせるために「のん」とつけたと見ることも、もちろん可能です。
でも、観世音が観音とつまって、さらになまって「のんのんさま」あるいは「ののさま」になったと言うなら、こんな解釈したらいけないのでしょうか。
観世音が幼児語風になまって、「にゃんにゃんのん」です。
日本語の発音は、時代を遡るほど沖縄の方言に発音が似てくると言う説もあります。
試しに口を思いっきりすぼめると、確かに「かんぜおん」は「にゃんにゃんのん」に音は似てきます。
観世音信仰が、日本ではどこで始まったのか、よくはわからないです。
それなら、いくら想像をたくましくしたって、かまわないわけです。
そこで、日本での観世音崇拝が、出雲当たりから始まったと仮定してみます。
そして、観世音がネコ(neko)として崇められていたとしたらどうでしょ。
ただし、ここで言うネコ(neko)は残念ながら生き物の猫ではないです。
おもしろいことに、アラブ語やペルシャ語に、neko(ネコ)とか、neku(ネキー)という語があって、この二つの語はペルシャ語では、こういう意味らしいです。
敬虔(父母や長上に対する)、敬服、恭敬の態度。
貧しい者に対する惜しまざる施しです。慈悲心に富む事。
誠実・正直です。他人に対して悪評を下さない事。
善です。善行、恩恵。
美しさ、優雅さ。
実は、インドとペルシャは同じアーリア人の国です。
ま、細かいことを言えばいろいろありますけど。
このため、この両国の神話には色々と対応するものがあり、対応する神様もいます。
インドでもペルシャでも、善神と悪神たちの対決というモチーフがあります。
ところがペルシャとインドでは、善悪が反転しています。
ペルシャでは善神がアフラと呼ばれ、悪神はダエーワと呼ばれています。
インドでは善神がデーヴァと呼ばれ、悪神はアシュラと呼ばれています。
ようするに、ペルシャ語にある言葉なら、インド語にあってもおかしくないです。
検索をかけると、インド語にnekoと言う語はあるように見えます。
ただ、意味はよくわからないです。
女性の名前に好んで使われるようなので、変な意味ではないことだけは確からしいです。
インド語のnekoの意味を御存知な方が居られたら、教えていただきたいです。
もし、ペルシャ語に似た意味なら、観世音はneko(ネコ)であったとしてもおかしくはないです。
インドでは善神がデーヴァと呼ばれることと、divineとの共通点があるのかなぁ。
英語でよく、歌姫のことを「ディーヴァ」って言いますよね。
ディーヴァはイタリア語だけど。
英語で言うところの「divine」な女性つまり、歌姫ってことだそうで。
ちなみに、「divine」って、天授の、天与の、神の・・・などなどの意味です。
つながり、あるかもしれませんね。
歌姫の「ディーヴァ」と、インドの善神の「デーヴァ」、まったく関連がないとはいえないかも。
神という、共通点が見えるからです。
そういえば、神前奉納の舞は、女性が多いです。
私の母方の祖母は新潟の人で、浄土真宗を篤く信仰していましたがね。
仏様全般を「のんのさま」と言っていました。
それはおそらく、観世音がすべての仏を代表するという信仰が裏に張り付いているのかも。
仏の中でも、もっとも多様性に富んでいるのが観世音です。
それだけ、人々に身近な仏ってことかも。
なお、観音経は妙法蓮華経の中の25品目にあるお経、「観世音菩薩普門品第二十五」です。
経文自体に、「婦女身得度者、即現婦女身而為説法」は見えないです。
おそらく、解釈の中で出てきた教義のようですね。
愛媛県伊予出身者から聞いたのは、間違えないけど。
「よらいか よらいか にゃんにゃんのん にゃんにゃんのん」
うろ覚えな上に、前後の歌詞も忘れてしまったらしいですが。
「よらいか よらいか」は、「よりなさい よりなさい」の意味に聞こえますね。
あるいは、「よろうよ よろうよ」かも。
どっちにしても、出雲童歌「ネコにゃんにゃん」に関連が強い歌の可能性は疑って良いように見えますね。
中国四国地方に、探せばもっと面白い情報があるのでしょうか。
それとも、まだまだ意外な地域、たとえば関東などから、驚きの情報がでてくるのでしょうか。
出雲大社と鹿島神宮は、不思議な繋がりが見えるし。。。。
出雲大社と鹿島神宮って、つながりがあるんですか!
どちらも色々と面白そうなところですね。
そうですね。
「ネコにゃんにゃん」、謎の深い歌ですね。
なぜに踊りがつく?
そういえば、歴史の古い寺町には、不思議と花街がそばにあるように見えますけど。
追記
出雲の童歌「ネコにゃんにゃん」の歌詞はここに収録しています。
この歌についての情報募集中です
http://cova-nekosuki.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_78ef.html
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