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猫の薬師小路

猫と地名の関わりを、調べていたのです。
すると、鹿児島市立山下小学校のサイトに学区紹介があり、そこでこんなネタ見つけました。

「猫の薬師小路」と呼ばれた通りが、あると言うのです。

それで、情報を集めてみました。

場所は、鹿児島市内の山之口町中通りです。

この通りは、明治以降は花尾通と改められたそうです。

もっとも、現地では「ねこんくそしゅっ」と読んで「猫の糞小路」とあだ名されていたようですね。

今でも病院薬局が多いからか、猫、犬の病気を治す獣医が住んでいたので「猫の薬師小路」の名が付いたのではという通説があります。
そして、治療をしてもらう人々の猫や犬が道路の両側に糞や尿をしていたので、「猫の糞小路」つまり「ねこんくそしゅっ」とあだ名されたのではと言うのです。
 
 でも、何で農耕に関わる牛や馬ではなくって、猫かという声はないのかなあ。

不思議と、ないようですね。

養蚕でも、盛んだったのでしょうか。

 鹿児島県庁での平成17年6月6日定例知事記者会見の中に、質疑事項として「鹿児島県の養蚕業の終了について」がありますよ。
 6月8日の姶良地区での養蚕の春繭の出荷が、県内の養蚕業が最後という形になりそうと記者が聞いてます。

そこで気になるのは、これらの地名です。
これらも、猫の薬師小路とともに、鹿児島市立山下小学校の学区内の地名です。

 南泉院馬場
 天神馬場
 高見馬場
 二本松馬場
 馬乗馬場

馬を乗り回せるほど広い場所・道路だから馬場、とは言います。
けれどかつて周辺で馬が飼育されていたかどうか、調査は必要かも。

 高見馬場はこの周辺の通称で、江戸時代付近に馬場があったことから次第に呼ばれるようになったと言いますよ。
 他の馬場も、同様と見られます。

だとしたら、これだけ馬と付く地名が近くに残りながら、猫や犬の獣医と見られる「猫の薬師小路」と言うのは、なおさら変でしょ。

 そう言えば…「猫の薬師」で「馬の薬師」ではないですねえ。

鹿児島の種子島には、方言では「かぁーごまぁー」と呼ばれる蚕舞があります。

 小正月にあたる1月14・15日頃の夜に行われる、正月の行事ですね。
 
蚕舞が合わせるのは、蚕の成長過程を述べた歌と、太鼓や鉦などの鳴り物です。

島主が養蚕を奨励して行わせたものだったけど、今では家内繁栄や豊作を祝う行事として舞われています。
島主が奨励したのは、養蚕の仕事は当時の重要な生活技術であったので、人々にわかりやすく伝える目的があったのです。

蚕舞は、鹿児島県の指定文化財に、昭和43年3月31日に指定されているそうです。

 鹿児島県のサイトには、写真が載ってますよ。

青年男子が白頭巾に着物姿で女装し、集落の各家々を舞ってまわります。
この女装した舞手は、「ヨメジョウ」と呼ばれ、座敷の隅にさしている団子を担い、扇子を持って優雅に舞います。
「ヨメジョウ」は、「嫁女」か「嫁嬢」かも。

 養蚕と深く関わるオシラサマの中に、馬に見立てられた蚕の嫁となる娘の話が出てきますね。
 そういえば、蚕の俗称に「嫁」ってあったような…。

団子は、柳の木に餅をさしたもので、蚕の繭に似せて作ったものです。
地方によっては、繭玉と呼ばれます。

 さらに「ゲーマ」と呼ばれる道化役も加わって、踊りを盛り上げると言うけど。

「ゲーマ」は「芸舞」とも想像できるけれど、正体は不明ですねえ。

ただ、養蚕の盛んだった地域は馬頭観音や馬鳴菩薩が祀られる場合が多いので、ここで言う馬は養蚕との関わりを疑っても良いかも。

 気になるのは、猫の医者が儲かって「猫の薬師小路」が出来るほど、猫がこの地域にいたのかってこと。
 
猫の代わりに、猫絵や猫石を求める人の話は各地にあるし、鹿児島に猫専門医が儲かるほど猫がいたとは思えないです。

 日本にいる尾曲がり猫は、全国の中で九州が最も多いって…。

それでも、「猫の薬師小路」の「猫の薬師」が、猫の診察で十分儲かるわけじゃないでしょ。

それより、「猫」が「薬師(くすし)」だったと見たらどうです。
「ねこんくそしゅっ」とは、「ねこのくすし」が訛ったと見ると意味がすっきりするのです。

 この「猫」の正体は「禰子」、つまり「禰宜の一族」であったと…。
 そう言えば、「僕の家」「私の家」を「ぼくんち」「わたしんち」って言いますね。

 「ねこのくすし」から「ねこんくすし」、「ねこんくそしゅっ」と訛ったと。

「猫の薬師小路」は、「禰子の薬師小路」が本来の意味であったと見たほうが良いのではないでしょうか。

やはり、禰子医、禰子薬師(くすし)はいたと見たほうが自然と言う情報でしょうね。

 猫の薬師、と聞いて、先ず最初に浮かんだのが猫=薬師でした。
 「の」は所有もあらわすけど「=」ととらえた方が自然ですよ。
 「犬のおまわりさん」のように。

 だから、禰子医、禰子薬師の方が自然だと思います。

禰子を知ってるから、猫の医者を自然と見るってのはあるかも。

「猫の医者」すなわち「猫が医者」と見ると、一般にはこうなるのでは。

地元の民話に「猫が医者」をしていた話なんてあったかな、聞いた事ないから「猫の医者」って獣医なんじゃないか。

それに、「猫の薬師小路」と書いて「ねこんくそしゅっ」と読まれてきたので、「猫の糞小路」と勘違いされてきた経緯もありますから。

 あ、そうそう、千葉に猫実(ねこざね)という地名がありますね。

「猫 地名」で調べると、北海道小樽市の猫泊(ねこどまり)から鹿児島県曽於市の猫入(ねこづか)までたくさん出てきますよね。

おそらく、この「猫」は「禰子」と思えますね。

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