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猫じゃ猫じゃとおっしゃいますが。

小唄(こうた)の中に「猫じゃ猫じゃ」というのがあります。

小唄って知ってるでしょうか。

幕末の頃に成立した邦楽の一種目で、短詩型の小曲を、三味線の爪弾きで伴奏される小歌曲です。
爪弾きとは、三味線の撥(ばち)をもちいずに、人指し指の爪の端の肉を糸にあててひく奏法で、やわらかい音がします。
端唄(はうた)を母体に生まれたけれど、端唄よりも速度がはやいです。
端唄もまた、三味線音楽のひとつで、幕末に江戸で流行した小編歌謡を中心に演奏するものです。

猫じゃ猫じゃとおっしゃいますが
猫が 猫が下駄はいて
絞りの浴衣で来るものか
オッチョコチョイノチョイ

下戸じゃ下戸じゃとおっしゃいますが
下戸が 下戸が一升樽かついで
前後も知らずに酔うものか
オッチョコチョイノチョイ

一番の歌詞は、夜陰にまみれてこそこそと隠れていた人がうっかり物音を立ててばれそうになり、猫の鳴きまねをするさまをからかったと、今では解釈されることが多いようです。

 ま、何で隠れるかは人さまざまでしょうね。

でも、江戸時代だから下駄なのはわかるのです。

 だけど、なんで絞りの浴衣でしょ。

江戸時代は絞りの浴衣といえば、藍染の紺と絞りの白のシンプルなものだったです。
浴衣といえば連想される季節は夏、場面は祭りではないかです。

 夜陰にまみれて、こそこそとなれば時間はすでに祭りの後でしょうね。

で、ばれたどじなやつは後の祭りと洒落こまれたとも想像されますねえ。
 
 江戸っ子は、しゃれが好きですもの。

二番の歌詞は、もう飲めんもう飲めんと言いながらしこたま飲んで足元ふらふらな飲兵衛を、“飲めん飲めんってあんたは下戸か”とからかっているとも取れますね。

面白いので、ついつい口ずさんでいたのです。

すると単なるざれ歌に見えた小唄が、とんでもない秘密を秘めているように見えてきたのです。
小唄の樽を樽神輿だとしたら、辻褄が合って来ると思えてきたのです。
小唄は猫と下戸を引っ掛けて、面白おかしくするために樽を担がせているように見せかけていたのです。

そんなこと思っていたら、こんな童歌があったです。

猫じゃ 猫じゃとおっしゃいますが
猫が下駄はき 杖ついて
しぼりの浴衣でくるものか
おっちょこちょいの ちょい ちょい ちょい

童歌から杖をつなぐと、さらにはっきりしてきます。

猫たちが下駄はいて絞りの浴衣で、樽神輿を担いでいたのです。
そばには、下駄はき杖ついて絞りの浴衣の猫がいます。
そして猫たちは、掛け声をかけているのです。

 そうして、打ち上げに振舞われるのはねえ。
 やはり、マタタビ酒という事になるのでしょうかね?

 若しくは、榊の替わりにマタタビの枝で、玉串が作られているに相違ありません。

猫の神輿だったら、そうかも知れませんね。

 やっぱり樽神輿は、猫がらみだったということですね。

猫からみの、可能性は多いにありますね。

 ジブリの映画みたいのねえ。
 想像しちゃった。

 可愛いの。

アニメでみたいに、でしょ。

 猫ちゃんって、妙に色っぽいと思うのは私だけでしょうか。

猫って、“かわいい!”のほかにも“色っぽい♪”って言われること多いのは確かでしょうね。

 小唄や端唄で、良い気分になっているもののねえ。
 三味線って、猫の皮で出来てるんじゃなかったっけ?

普通の大きさのものはまず、そうらしいですね。
大きいのは、犬のもあるとは聞いてます。

 この猫、正体は何でしょ。

酒樽の酒は、部首が酉です。
左の三と合わせて三本足の鳥とみると、樽の丸は三本足の鳥がいる太陽かも知れないのです。
太陽神に仕えるのが、神社の神職です。

神職には、さまざまに呼ばれる人々がいます。
でも、神職の子孫には、禰宜の子孫を指す禰子という呼び名しかないです。

 すごい発見なのです! 
 すごいのです! 

 言葉のまま受け止めて、浴衣着ている猫がお神輿かついでいたりする姿を想像すると、なんともホンワカしますが。
 
 それから「下戸」を「げこ」、「禰宜」を「ねぎ」と読むとは知りませんでした。
 
 ということは、「禰子」は「ねこ」と読んで良いのでしょうか。
 
 「禰子」は「ねこ」と読んで、良いのです。

 今日は一つ賢くなりました。
 小唄って面白いのね。

つまり、神職のさまざまな呼び名は禰宜の職階と見ることができるです。
本来神職は世襲だった以上、禰子の子孫が禰宜とも言えるってわけです。

おそらく、この猫は禰子の空耳と思われるです。

となると、樽神輿の登場は幕末の頃、「ねこじゃねこじゃ」と騒ぐ“ねこ”たちに担がれての笑撃的なものだったのかも。

 友人から貰った京都土産の手ぬぐいに、忍び足をした猫の絵に「ねこじゃねこじゃとおっしゃいますが」と描いてありました。
 猫たちが下駄はいて絞りの浴衣で、樽神輿を担いでいたのです。
 
 たった今、意味がわかりました。

それは、よかったです。

追記。

樽神輿については、こちらで触れましたので良かったらどうぞ。

樽神輿
http://cova-nekosuki.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-1414.html

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