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恐竜はミルクを出すか。 どこへ向かうか、恐竜研究。その3

鳥のいくつかの種では哺乳動物のように、こどもは特別な分泌物を親から与えられて育つのです。

 特別な分泌物って、ミルクのことでしょ。
 でも鳥のこどもは、哺乳動物とは異なって、母親だけではなく父親からも、もらうのでしょう。

 鳩がひな鳥に餌をやるハト乳なんかは、代表的な例ですよね。

ハト乳のように鳥が出すミルクは、「Crop milk」とよばれるのです。

 鳩以外にも、フラミンゴ、インコ、オウムも出しますよね。

 Cropは、嗉嚢(そのう)のことでしょ。
 Crop milkって、嗉嚢ミルクってことね。

 嗉嚢は、胃の一部ですよね。

嗉嚢は、食道の一部が変化したと解釈されるのですね。
鳥の胃は、嗉嚢と腺胃と筋胃の3部位に分かれていて、食べたものは嗉嚢に貯蔵されるのです。

鳥の消化器系について、おさらいしておきますね。

口は、唾液は分泌しますが、歯がないです。
消化能力にはあまり影響を与えず、水分添加が主な働きと言われるのです。

 じゃあ、雛に与える前に口の中でも多少食べやすくなるのね。

口から胃までをつなぐのは、食道です。

 これは、私たちと同じね。

途中に、嗉嚢が、ありますけど。
嗉嚢は、「餌袋」とも呼ばれる食道が袋状になった部分です。
単なる餌の滞留袋であって、消化吸収にかかわる作用はしないとされるけど、穀類をふやかす作用をしているとも言われるのです。
湿気と温度が微生物の繁殖を誘発しやすく、炎症を起こしやすい器官です。

 ここから、鳩などの嗉嚢ミルクが出るのね。

嗉嚢は、鳥類のうちでも特に、穀物や生肉を多食する種類に見られるそうですよ。

 果肉を好む鳥には、嗉嚢は余り発達してないのね。

そうなのかも。

鳥の胃は、腺胃と筋胃にわかれ、前胃と後胃とも呼ばれるのです。
腺胃は、酸とペプシンからなる胃液を分泌して、餌と混合して後胃に送ます。
吐き戻しする餌は、腺胃で作られ、吐き戻されるのです。

 吐き戻しの餌は、前胃から酸とペプシンと一緒に雛に与えられてるのね。

後胃は、「筋胃」「砂嚢」「砂肝」などとも呼ばれるのです。

 砂肝って、胃の一部だったの。

筋胃の名の通り強い筋肉で囲まれ、ここで化学的な消化が行われるのです。
ここにはケラチン質の堅い部分があって、粒餌をすりつぶすのです。

 粒餌って、穀物の実や、そのひき割りを原料とした鳥の餌ね。

堅い穀物餌は、筋胃には貯えられているグリット(grid)を利用して粉砕します。

 グリッドとは、鉱物質のものですよね。

 胃石のことでしょ。

 銃から出た鉛球を呑んで、鉛中毒になる鳥がいるって聞いた。

 道端で何もないところついばんでるのって、石呑んでるのね。

特に小鳥は硬いものを磨りつぶすことができるように、グリッドを停滞させて強力な筋胃を持っています。
 
 それで軟らかいものばかり食べると、胃の機能が障害をおこすのか。

筋胃は、穀食鳥では非常に強力だけど、果食鳥ではあまり発達していないのです。

 それって、嗉嚢ミルクの代表がハトミルクと思われてきたことと関連ありそうね。

 胃石のある恐竜化石も出たでしょ。
 ミルク出してたのかなあ。

出してたかも。

 こどもの未熟な胃には、吐き戻しても堅い食事は無理でしょ。

小腸には、膵臓が生産した膵液と肝臓が生産した胆汁が分泌されるのです。

膵液と胆汁を利用して、小腸で化学的消化と吸収が行われるのです。
インコ類では、胆嚢がない種類もあります。
膵臓は、ループ状の十二指腸に挟まれた形になってるのです。
肝臓は2葉あり、ヒト同様最大の臓器です。
 
 十二指腸、鳥にもあるのねえ。
 肝臓が2葉になってるあたりも、ヒトと同じ。

 そういえば、骨も鳥類と哺乳類と恐竜は構造が似てるのでしょ。

鳥の大腸は非常に短いけど、排泄物を貯えて重量が増加することを避けるためです。
消化吸収を終えた残留物は、ただちに糞として排泄されるのです。

 上を見て鳥がいたら、注意しないと糞が来るのはそのため…。

嗉嚢ミルクは、鳥の嗉嚢の粘膜上皮細胞が膨張して破裂し、栄養分を作りこれを逆流させているのです。

 雛を養育している鳥は、嗉嚢ミルクを出しますよね。

 哺乳類の母乳が、血液から作られるのと違うのね。

哺乳類は、母乳を飲ますことで子を育てるところからついた名前ですね。
猫や犬やヒトのような有胎盤類と、カモノハシやハリモグラの単孔類と、カンガルーやコアラのような有袋類とで、構成されるのです。

種全てが哺乳行動をおこなうのは、哺乳類だけです。
 
 鳥のミルクって、全部の鳥で出るわけじゃないのね。

母乳は、乳腺から分泌され子に与えられるのです。
乳腺は、汗のでる汗腺が発達したものです。

汗の成分は主に水分と脂肪などの油成分で構成されるが、母乳はさらに蛋白質を含んでるのです。
蛋白質は、肝臓で作られたものです。

 肝臓の構造とかDNAは、男女間で違いはないのでしょ。

ホルモンの働きの違いにより、女性のみ母乳を生成することが出来ます。

ハトミルクに代表される嗉嚢ミルクは、非常に栄養価が高いです。

ある研究によると、ハトミルクに代表される嗉嚢ミルクを含んでいる飼料を与えられた雛は、嗉嚢ミルク無しの雛より16パーセント重かったという実験結果だったそうですよ。

嗉嚢ミルクは、牛または人間のミルクより、多くの蛋白質と脂肪を含みます。

嗉嚢ミルクは、孵化のあと2週間以上、両方の親が雛に与えます。

 雛は数日間、嗉嚢ミルクだけで育つのね。

 鳩や、フラミンゴ、インコ、オウム…。

ええ、鳩や、フラミンゴ、インコ、オウムなどの雛は、昆虫をもらわないようです。

代わりに鳩乳に代表される嗉嚢ミルクで、成長に必要な蛋白質を得るのです。

 ペンギンの子育てで、良く見るペンギンミルクって違うの。

ペンギンミルクは、胃の内壁が剥がれて、 胃液と胃粘膜が混ざった物です。
白いので、ミルクといわれます。
オスは生まれてすぐ餌をねだるヒナに、数ヶ月前に食べて溜めておいた胃の残留物を与えます。

ペンギンミルクは、胃の蓄えがなくなった後に出るもので、ハトなどのミルクとは違うのです。

 そうなの。

 でも、骨の微細構造が鳥と哺乳類と恐竜が似ているでしょ。

 子育てでも、恐竜と鳥が似ていて、胃石まで共通なんて。

マイアサウラ (Maiasaura)ですね。

 マイアサウラという学名は、「良い母親トカゲ」という意味でしょ。

体長は8から9mの、白亜紀後期の北米に生息していた鳥脚類の恐竜ですね。
恐竜の中では初めて、子育てを本格的に行なっていたという証拠があったのですよね。

 マイアサウラって、羽毛で知られるデイノニクス(Deinonychus)とともに恐竜恒温動物説を支持するものとなった。
 デイノニクスは“怖ろしい鉤爪”の意味でしょ。

 やっぱり恐竜も、ミルクだすのいるよね。

化石には、なかなか残らないけど、もしわかったら面白いですね。

 マイアサウラは、自分で卵を温めたと思われていなかったでしょ。

「良い母親トカゲ」の名前のように、体毛は無いと見られてきたからです。

体毛のある恐竜がどんどん見つかる以上、抱卵するマイアサウラは近いうちに常識になると思いますよ。

追記

面白い情報がありました。

きちんと立体構造を保ったままの軟組織が確認できる、恐竜化石が出土しているそうです。

皮膚の鱗模様がくっきり、クチバシのケラチンもしっかり、わかる状態といいます。
放射線を利用した透視写真では、腸や肝臓、胃、嗉嚢まで写っているのですって。

出土場所や、恐竜の名前まで、その記事にはないので、さらに情報を集める必要はありますけど。

恐竜はミルクを出していた、そう言い切れるところまで、また少し近づきました。

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