分かりあうことの難しさ。The Coveを考える。生態系を考える その2
2009年9月、和歌山県太地町や静岡県伊東市で、イルカ漁廃止、ヨーロッパやアメリカの反捕鯨運動活動家やジャーナリストらがイルカ漁の廃止などを訴えましたね。
世界的に、話題になりましたよね。
和歌山県太地町のイルカ漁を告発したアメリカのドキュメンタリー映画「入り江」(原題The Cove)が、アメリカなどで公開されて以降、世界的に影響が出ています。
姉妹都市のオーストラリア・ブルーム市が、和歌山県太地町との提携の停止を決めるなどですね。
The Coveに出演した活動家リチャード・オバリーさん(68)さんは報道陣に、「ゴンドウクジラは汚染されているというデータがあり、健康被害が発生する恐れがある」と述べたとか。
太地町の三軒一高町長は、「町では先祖代々、クジラを食べてきたが、それで体を壊したという話は聞かない」と冷ややかな反応ですね。
太地町の三原勝利・町議会議長も、「自分たちの価値観を押しつける彼らのやり方は理解できない」と反発していますよね。
ヨーロッパやアメリカは、自分たちの価値観を非ヨーロッパ世界に押し付けようとするの。
わたしだって、腹が立ちます。
今回は情報発信で感情に訴える方法で、非暴力なのでシーシェパードなどに比べて対応に戸惑う人は多いですね。
アジアとヨーロッパやアメリカの文化の差は、どこから来たのかしら。
アジアは、圧倒的な力を持つ自然と折り合いをつけることなしには生存も確保できない環境の中で、妥協と共存の文化を育んできたといえるでしょう。
ヨーロッパは、自然を征服することで自らの生存の場所を確保する必要がある環境の中で、勝利と征服を目標とする文化を育んできたといえるでしょう。
これでは、水と油ね。
価値観の正反対な文化の衝突です。
しかも圧倒されたと感じなければ、相手の言い分を受け入れない文化の人々を説得しなければならないでしょう。
絶対的な力を持つ真理と論理で組み伏せない限り、ヨーロッパとアメリカは納得しない。
絶対的な力を持つ真理と論理の体現者であったから、キリスト教をヨーロッパとアメリカは受け入れたのでしょうね。
どういう論理なら、納得するのかしら。
ヨーロッパやアメリカはとかく、全てか無かという論理に流れやすいですからね。
単純明快な論理でいくしか、ないでしょ。
生態系の保護なしに種の保護もない、あなたたちはこの論理を認めるはずだとね。
頂点を失った生態系は、やがて混乱に陥りますね。
徐々に減るなら、対応できるでしょう。
突然いなくなれば、対応できないでしょう。
これをわからないで、自然保護運動家を名乗る資格があるでしょうか。
まったくないですよね。
和歌山県太地町や静岡県伊東市などで続いている鯨やイルカの漁は、古代から行われてきた日本の伝統であり生態系の一部となっているのです。
古くから営まれてきた里山の自然や農地が放置されたら、地域の生態系が崩れるのと同じです。
ヨーロッパの人たちは、自分たちがアメリカでリョコウバトを乱獲で絶滅させ、鯨を乱獲で危機に追いやり、地中海のクロマグロの乱獲が止められないことを、普遍的と見てるのね。
まるで、「平家でなければ人ではない」とおごり高ぶった平家と同じですよ。
全てのヨーロッパやアメリカの人が、そうではありませんよ。
そんなことをしていたらヨーロッパやアメリカは危ないと、危機感を持っている人もいるはずです。
もっとも、今回のようなことをする人は感情に流されて冷静になれない人たちでしょうから。
論争で負けたら、パニックになるだけでしょ。
絶句したなら、その事実は世界に発信されてしまうでしょ。
もし絶句したら、反捕鯨を叫んだ彼らの立場がどうなるか、知りたいですね。
難しいですね、この問題をアメリカ人、ヨーロッパ人にわからせるのは。
単に、イルカがかわいそうという感情的レベルで反発する人も多いし。
今回のようなやり方で攻めてくるのも多いし。
彼らのゼロサム思考を、改善するすべはないんですかねえ・・・・・・。
本当に、アメリカ人って、自分が圧倒されない限り絶対に負けを認めないですからね。
ノックアウトされてマットに沈まない限り、自論はまげないでしょうねえ。
マタイによる福音書5章37節 には、こうありますね。
あなたがたの言葉は、ただ、しかり、しかり、否、否、であるべきだ。
それ以上に出ることは、悪から来るのである。
どうもヨーロッパやアメリカで、この言葉は、独り歩きしているようですねえ。
実際には、こういう文脈の一節です。
5章33節 また昔の人々に『いつわり誓うな、誓ったことは、すべて主に対して果せ』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。
5章34節 しかし、わたしはあなたがたに言う。いっさい誓ってはならない。天をさして誓うな。そこは神の御座であるから。
5章35節 また地をさして誓うな。そこは神の足台であるから。またエルサレムをさして誓うな。それは『大王の都』であるから。
5章36節 また自分の頭をさして誓うな。あなたは髪の毛一すじさえ、白くも黒くもすることができない。
5章37節 あなたがたの言葉は、ただ、しかり、しかり、否、否、であるべきだ。それ以上に出ることは、悪から来るのである。
続きも、あるでしょ。
ええ。
ここは、実践の最も難しいことの一つですよね。
5章38節 『目には目を、歯には歯を』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。
5章39節 しかし、わたしはあなたがたに言う。悪人に手向かうな、もし、だれかがあなたの右の頬を打つなら、ほかの頬も向けてやりなさい。
5章40節 あなたを訴えて、下着を取ろうとする者には、上着も与えなさい。
5章41節 もし、だれかが、あなたをしいて一マイル行かせようとするなら、その人と共に二マイル行きなさい。
5章42節 求めようとする者に与え、借りようとする者を断るな。
5章43節 『隣人を愛し、敵を憎め』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。
5章44節 しかし、わたしはあなたがたに言う。敵を愛し、迫害する者のために祈れ。
5章45節 こうして、天にいますあなたがたの父と子となるためである。天の父は、悪い者の上にも良い者の上にも、太陽をのぼらせ、正しい者にも正しくない者にも、雨を降らして下さるからである。
5章46節 あなたがたは自分を愛する者を愛したからとて、なんの報いがあろうか。そのようなことは取税人でもするではないか。
5章47節 兄弟だけにあいさつしたからとて、なんのすくれた事をしているだろうか。そのようなことは異邦人でもしているではないか。
5章48節 それだから、あなたがたの天の父が完全であられるように、あなたがたも完全な者となりなさい。
こうやって聖句を振り返ってみて、どう思いますか。
今度の場合は、文化の違いなのであって反捕鯨からみて敵ではあっても、悪ではないでしょ。
イエスを信ずるというつもりなら、なおさら、これらの言葉にも耳を傾けて欲しいですねえ。
こういう話をするたびに、ヨーロッパの聖書解釈への疑問が、聖書とキリスト教そのものへの疑問に結びつかないことを、切に願いますね。
本当に、そうですね。
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