孫悟空はどこの出身?
孫悟空(Sūn Wùkōng)は、西遊記に登場する妖仙です。
今も崇拝される仏教や道教の神でもあります。
別名は孫行者。
香港や、台湾や東南アジアでは一般に齊天大聖(せいてんたいせい)と呼ばれ、信仰されています。
西遊記の雑劇などの書作品での通称は、猴行者、あるいは通天大聖などさまざまな名前で呼ばれています。
その後、孫行者の名に落ち着きました。
孫悟空は諱で、避諱により、当時の中国では一般には使用されないそうです。
悟空の名は唐代に実在した、仏教の僧侶である731年生まれの悟空からとったという説もあるね。
インドに行ったあたり、まさに悟空のモデルに相応しいけど、没年については、不明だそうで。
西遊記の舞台となる世界は、仏教の四天王の統治する世界に対応しています。
世界は、「東勝神州(とうしょうしんしゅう)」「西午賀州(せいごがしゅう)」「南贍部州(なんせんぶしゅう)」「北倶蘆州(ほくぐろしゅう)」の四大陸に分かれているとされます。
中国は、作中では唐の名で登場し南贍部州にあるとされています。
三蔵一行の目的地である天竺(てんじく)は、西午賀州にあるとされます。
中国からすると、文字通り「西方浄土」ということになります。
そうなると、北倶蘆州はロシア、西午賀州は南アジア、東勝神州は日本の方角に、ほぼ当たるのかしら。
南アジアとは、インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、ブータン、モルジブの各国を含む地域ですね。
天竺とは、インドの旧名でしょ。
西午賀州、つまり唐の西。
でも、唐の主要部は今の中国の東部。
だから、天竺が唐の西と言う認識だったのかしら。
天竺という名称を用いることが一般的となったのは、唐の時代だそうですね。
唐は、618年から907年。
ちょうど、西遊記の時代ね。
昔の呼称なので、正確に今のインドのあたりに対応するわけではないからです。
漠然と、南アジアの方を指す名前でもあったのかしら。
孫悟空の出身地である花果山は、東勝神州の近海に設定されています。
え。
孫悟空、日本出身なの。
韓国からは、韓国出身説を出す人がいるようですね。
でも、中国の物語。
孫悟空の出身が、中国とは限らないですからね。
1677年に書かれた朝鮮の書『朴通事諺解』には、現存する最古とされる元代の西遊記のあらすじを収録してあるの。
孫悟空の「悟」が「吾」になっていて、孫吾空として登場するのですって。
元は、元朝ともいい、1271年から1635年まで存続したモンゴル人王朝でしょ。
孫悟空のモデルとなった猿は、ハヌマンラングールという説が興味深いですね。
ハヌマンラングールは、中華人民共和国にもいるのね。
インド、スリランカ、パキスタン、バングラデシュ、ネパールといった南アジアの国だけじゃなくって。
だったら、孫悟空も中国出身では。
インドの有名な叙事詩ラーマーヤナの猿の神として登場するハヌマーンのモデルは、ハヌマンラングールとされています。
ハヌマンラングールは、インドのヒンドゥー教寺院ではハヌマーン神の使いとして手厚く扱われ、参詣者から餌などを与えられています。
昔から餌やりが当たり前になっているからかしら、ハヌマンラングールとのトラブル聞かないね。
ハヌマーン神も、黄金の肌と真紅の顔面そして長い尾っぽを持つ姿として描かれているそうですよ。
ハヌマーンには、孫悟空と同様に、超常的な神通力を使用し、空を飛んだり、体の大きさを変えたりしたという、言い伝えがあります。
場面によって猿軍団を率いるというから、この点からも分身の術を使った孫悟空といえそうです。
ハヌマーンは、山を持ち上げるなどの行為を行ったとされますね。
猿妖である孫悟空が西遊記の中で三蔵法師を護衛して活躍する姿とよく似た話は、ラーマーヤナの物語中にあるそうです。
猿神がヴィシュヌの化身とされるラーマを助ける場面に、多く見受けられるといいます。
ヴィシュヌは、ヒンドゥー教の神でしょ。
古代インドで発達した文字であるデーヴァナーガリーでは、विष्णु(Vishnu)と記される。
三神一体論では、3つの最高神の1つで世界を維持する役目があるとされるのです。
三神一体論は、1人の神が次の3つの役割に応じて、3人の神として現れるという考えです。
創造のブラフマー、繁栄のヴィシュヌ、破壊のシヴァが三神。
キリスト教でいう絶対三神と、似てますねえ。
創造のブラフマーは御子のヤハウエすなわちイエス、繁栄のヴィシュヌと御父エロヒム、破壊のシヴァに聖霊ルーハ。
奇妙な類似は見えます。
マカク属のアカゲザルが、孫悟空の生態のモデルではという説もあるね。
水泳を好むアカゲザルの生態など、作品に反映されたのではと。
ハヌマーン神モデル説、キンシコウがモデルという説より説得力あるよね。
キンシコウ説は、色から来た勘違いだったそうですね。
孫悟空インド出身説、インドから出ないのかしら。
韓国説より、はるかに説得力あると思うけど。
天の太陽神に対する地の太陽神ラーと、太陽神崇拝者としての猿とみると面白いですね。
孫悟空は、岩から生まれたことは有名ね。
岩から生まれる太陽神とされた、ミトラ神がだぶって見えます。
ミトラ神には、蛇を巻きつけた若者像もあるね。
蛇を尻尾と見れば、猿と言えなくもないね。
岩と言えば、日本では天照の岩戸隠れ。
猿には、猿田彦…。
天照は、もとは天照国照彦という男性神。
ミトラ神とだぶりますね。
天照国照彦とミトラ神、関連は気になります。
ただ、孫悟空には卵から生まれる話もあったけど…。
卵と言えば、鳥、爬虫類、両生類、昆虫、魚ですね。
鳥と太陽神とされた神と言えば、エジプトの太陽の船。
鳥になぞらえられた聖霊が降りてきた、イエス。
爬虫類だと、やはりイエスと蛇ですね。
モーゼの掲げた杖の青銅の蛇は、十字架のイエスの予形とされているよね。
魚は、イエスの象徴。
直接の関係が見えないのは、昆虫と両生類…。
あ、そうだ。
インドと日本って言えば、マン島のマンクスがフェニキア人に連れてこられた話にどっちも出ますね。
今回、猫の話ではないですけど…。
太陽神で猫と言えば、エジプトのラー。
ラーとの関連で言えば、アッラー。
アッラーといえば、キリスト教のイエス。
イエスにも、死と復活の舞台となった墓は岩戸そっくりですよ。
ところで、なんで孫悟空からイエスに話が行っちゃったかなあ。
孫悟空と岩からか…。
天界の厩舎の管理人である弼馬温(ピーマーウェン)日本語音は「ひつぱおん」、身分が低いと知った悟空は一週間で脱走していますね。
厩の管理人となったのは、弼馬温と同音の避馬瘟という猿はウマを守るとの伝承がインドから中国に伝わったからです。
日本の猿回しも、馬小屋から始まってますね。
馬は十二支の午で、午の方角が火に配当され、猿が十二支の申、申の方角は金に配当され金生水で火除けになるとされたとか。
その後、弼馬温は悟空を罵倒する言葉としてよく使われているそうで。
馬で有名人は、イエスかしら。
日本だと、馬宿の皇子とされた聖徳太子。
蟠桃園という、天界で供される桃を栽培する果樹園の管理もしてますね。
蟠桃をはじめ、数種類の桃が作られています。
いずれも仙桃、つまり食べることで不老長生を得ることのできる神聖な桃です。
桃といえば、黄泉の国から逃げたイザナギがイザナミに投げているね。
仙桃だから、かしら。
連想って、面白いですね。
孫悟空と言えば、觔斗雲(きんとうん)ね。
孫悟空は、花果山の島に住む猿たちの王として美猴王(びこうおう)を名乗っていました。
ある時、限りある命にはかなさを感じるのです。
それで、不老不死の術を求めて、西午賀洲に住む須菩提(しゅぼだい)祖師という仙人のもとに弟子入りします。
孫悟空の名前と、觔斗雲(きんとうん)の術をはじめとする72変化の術を習得したのですね。
物語じゃ仙人とされた須菩提は、サンスクリットでसुभूति(Subhuuti)でしょ。
釈迦十大弟子の一人で、解空第一とか、無諍第一、または、被供養第一とも称される。
不老不死の術を求めて、まるで徐福…。
聖書で雲と言えば、ヤハウエの臨在によく登場しますねえ。
ヤハウエが受肉して、イエスでしょ。
また、イエス…。
なんで。
なんででしょ。
徐福でまた、日本に繋がっちゃう。
孫悟空から神武を手引きした猿田彦も、連想できたけど…。
徐福って、神武説あるよね。
孫悟空と、天照と、徐福と、神武と、猿田彦…。
確かに日本、ですねえ。
そこに、ミトラ神やイエスや、猫神ラーまで…。
インドからは、ラーマを通じてヴィシュヌですか。
孫悟空日本出身説、立ったりして…。
誰か、すでに言ってるかも。
検索してみました。
山田久延彦さんって方が本出してました。
世の中、ホントすごい人がいらっしゃいますね。
古い本なのでamazonでは品切れです。
探したら、電子化されたのがありました。
http://www.papy.co.jp/act/books/1-440/
「孫悟空は日本人だった」
著: 山田久延彦
発行: 扶桑社
目次で、内容がわかりますよ。
すごい仮説の数々ですねえ。
1 プロローグ「西遊記のストーリー成立の謎」
2 日本に伝わる万古伝説
3 日本で生まれた孫悟空
[古事記と孫悟空]
[西遊記に記された天地創造]
[孫悟空はなぜ石から生まれたか]
[円石地蔵と石尊神社]
[石尊神社にいた孫悟空]
[水廉洞は「みすずかる」信濃の国]
4 普光王と呼ばれた日本の孫悟空
[日本にいた美猴一族]
[「美猴王」は「普光王」]
[日本からインドに渡った孫悟空]
[須菩提は須佐の男の命]
[閻浮提はエデンの園]
[混世大魔王は猿田彦の命]
[竜王の傲広は大海(わだ)津美の神]
[閻魔大王は人類の災難の歴史の象徴]
5 孫悟空の天界大あばれは事実を伝えるもの
[玉帝は天の忍穂耳の命、西王母は天照大御神]
[太白金星は思い金の神]
[托塔天王は天津国玉の神]
[五行山の下に地下都市を建設した孫悟空]
6 孫悟空は大山咋の神
[中国神話の中にある孫悟空の原型]
[美女神・嫦娥を妻にした孫悟空と石尊神社の裏山にある嫦娥岳]
[日本神代史の謎の宝庫=山梨県白州町]
[日吉神社の神・大山咋の神が孫悟空]
[大山咋の神の生い立ち]
[豊臣秀吉と孫悟空]
[トヨタ自工の守護神・猿投大明神は孫悟空]
7 孫悟空と玄奘三蔵の西域冒険旅行の意味するもの
[インドに仏典を求めた理由]
[孫悟空と玄奘三蔵との出会い]
[白衣の秀才として描かれている孫悟空]
[孫悟空一行に加わった白龍馬と駒が岳]
[西域取経旅行の真偽]
8 日本に実在した蓬莱国
[蓬莱仙境は若狭湾の常神岬]
[豊橋山地の東栄町は東華大帝君の仙境]
[瀛州海島は遠州大東(静岡県掛川市大東町)]
[落伽山はナスカ山、普陀落(ふだらく)岩はパカリク洞]
[釈迦如来=ゴウタマ・シダルタは日本神話の神の子孫]
9 般若心経と統一場の理論
[仏教の伝来の経緯]
[孫悟空と般若心経との出会い]
[般若心経の現代語訳への挑戦]
[現代語訳般若心経]
[統一場の理論の相似象として説かれた人生訓]
[般若心経の生い立ち]
10 仏典・倶舎論に述べられた天界情報
[孫悟空のストーリーに描かれた天界の構造]
[天津国巡り州(あまつくにまぐりこく)は静止地球衛星]
[仏典・倶舎論に描かれた宇宙観]
[地球の地理構造]
[天国には28の宇宙ステーション(パラ・ダイス)があった]
[兜卒天は稜威雄走神(いつのおばしりの神)]
[兜卒天から天降る弥勒菩薩]
11 孫悟空と地下都市伝説(中国の地下都市伝説、福地と洞天)
[天降った五行山]
[西遊記に出て来る洞天は地下都市]
[中国神話に伝わる地下理想郷]
12 ヒットラーの捜し求めた謎の地下理想郷
[地下王国伝説を信奉したヨーロッパの神秘主義者達]
[孫悟空の金箍棒はブリル・ロッド]
[アガルタ探検隊の持ち帰った情報]
13 日本に帰ってきた孫悟空
[行者と呼ばれた孫悟空]
[大峰山に舞い戻った孫悟空]
[孫悟空の妻・嫦娥は弁財天]
[役行者の生い立と一生]
14 チベットに帰った孫悟空・役の行者
[ラマ教の開祖は美猴族か]
[チベットの怪神「シェブラ」になった役の行者]
[チベット人の祖先は猿だった]
15 孫悟空の世界戦略
[祖先が地下王国から出てきたことを伝える蒙古開闢神話]
[ジンギスカンは孫悟空]
[明治維新に関わった孫悟空]
[石尊と自由魔尊の対立]
16 エピローグ「長野戸隠は地下文明国への入口」
付録 超古代桑田王朝の孫悟空
[ギリシャ神話の孫悟空と富士文書]
[日本に成立した富士高天原王朝]
[京都府亀岡に都を置いた神農氏韓農立比古(国常立命)王朝]
[大本教の開祖・出口なおに降示した国常立神の神示]
[古代亀岡王朝の調査]
長くなっちゃいましたね。
これ、凄いですねえ。
そのうち飛鳥昭雄と三神たけるが、新たな情報と解釈を加えて孫悟空の本を出しそうな気がします。
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コメント
孫悟空はやはり中国でしょうね。
孫という名前だけに中国っぽいよね。
韓国には孫って名字あるのかな?
ソフトバンクの社長の先祖だったりしてね。
投稿: ZIPANG | 2009年9月26日 (土) 10時28分
起源はわかりませんが、孫姓は、中国だけでなく韓国にもあるようです。
ただ、調べた範囲内では孫悟空を韓国に積極的に結びつける接点は見えないですね。
投稿: cova | 2009年9月26日 (土) 12時42分
家には、コトリ(メス)6歳の猫が同居してます。すでに僕の心は読まれてるのですが良い関係です。猫の修行で検索しておじゃましました。勉強になりましたありがとうございます。
投稿: 横原 | 2009年9月27日 (日) 17時22分
孫悟空も、いろいろ考えられる面白いキャラクターですねえ。
投稿: cova | 2009年9月27日 (日) 18時10分