魚と醤油とイタリアと日本?
魚醤(ぎょしょう)は、魚醤油(うおしょうゆ)とも呼ばれるのです。
魚類または他の魚介類を、主な原料にした液体状の調味料よね。
熟成すると、特有の香りまたは臭気を持つ、黄褐色から赤褐色、暗褐色の液体です。
魚醤は、魚を塩と共に漬け込み、自己消化、好気性細菌の働きで発酵させたものから出た液体成分です。
この自己消化は、魚の内臓や肉に含まれている酵素でタンパク質などを分解する過程です。
濃厚なうま味が、あるのよね。
魚の動物性タンパク質が分解されてできたアミノ酸と、魚肉に含まれる核酸を豊富に含むためです。
料理に塩味を加えるとともに、うま味を加える働きが強く、ミネラル、ビタミンも含んでいるのです。
アジア、特に東南アジアの沿岸部を中心に、日本、中国などで使っているのよね。
イタリアなどヨーロッパの文化圏でも、用いられているのですよ。
日本や中国等アジアは、発酵食品が昔から発達していたでしょ。
それは、高温多湿な気候に関係していると思っていたけれど…。
特にタイを始めとする東南アジアでは、塩を除けば、ほぼ唯一の塩味の調味料で、非常に多くの料理に用いられるのです。
秋田の魚醤であるしょっつるも、いろいろな料理に使っているそうね。
古代ローマでは、ガルムという魚醤を万能調味料として使っていたそうですよ。
サバやイワシが、原料だったのですって。
肉にも、ですか。
もちろんです。
イタリアにはいまでも、愛用されているコラトゥーラ・ディ・アリーチという魚醤があるというのです。
コラトゥーラ・ディ・アリーチは、日本のしょっつると同じくイワシを原料にした魚醤です。
しょっつるにはハタハタを使ったのも、あるって聞きましたよ。
あるでしょうね。
イワシやハタハタのほか、コウナゴも使うというのです。
ようは、その土地でよく獲れる魚介類が原料なわけね。
そういえば、大分にもアユの魚醤があるの。
コラトゥーラ・ディ・アリーチは、パスタなどのイタリアンはもちろん、しょっつるなど日本の魚醤に近いので日本の料理にもよく合うのです。
コクのある風味は、日本人にとってもどこか懐かしさを感じさせますね。
魚醤を用いている文化圏の中には、日本などなれずしを作る伝統を残している地域もあるのです。
イタリアでは、なれずしは聞かないね。
日本のなれずしをよく熟成させると、ゴルゴンゾーラチーズに味がそっくりなんだそうです。
ゴルゴンゾーラ(Gorgonzola)は、ロンバルディア州とピエモンテ州をまたがる地域で生産されているイタリアの代表的なチーズの一つです。
フランスのロックフォール(Roquefort)、イギリスのスティルトン(Stilton)と共に世界三大ブルーチーズに挙げられているのです。
ゴルゴンゾーラは、大きく二種類に別けられるのです。
イタリア語で辛いという意味の名前のピカンテ(piccante)は、青カビが多く辛味の強いものです。
イタリア語で穏やかという意味の名前のドルチェ(dolce)は、クリーミーでほんのりとミルクの甘味の残っているものです。
ピカンテは、そのまま食べることもあるでしょ。
ええ。
でも、リゾットに入れたり、ゴルゴンゾーラソースを作ってパスタにかけるなど料理に使われることが多いそうですよ。
試しになれずしを、フランスやイタリアのチーズ業者にチーズみたいなカットにして食べさせた人がいるのですって。
フランスやイタリアのチーズ業者は、「おお、これはいいうまいチーズだ」と言ったらしいです。
チーズを作るときできる乳清(にゅうせい)は乳漿(にゅうしょう)とも言い、牛乳などの乳から乳脂肪分やカゼインなどを除いた水溶液です。
英語では、ホエイまたはホエー(whey)と呼ばれるのです。
乳清は、チーズを作る際に固形物と分離された副産物として大量に作られるのです。
また、ヨーグルトを静かに放置しておくと上部に液体が溜まる事があるが、これが乳清です。
イタリアなどでは、乳清からさらにチーズを作る事もあるのです。
乳清から作られたチーズはホエーチーズと呼ばれ、リコッタなどがその種類に属するのです。
でも、チーズ生産過程で作られた乳清の大半は、廃棄されているのでしょ。
高蛋白・低脂肪で栄養価が高い点、消化が速くタンパク質合成・インスリン分泌を促進する点などから、優れた食品であるとの認識が高まってきているのです。
従来大量に廃棄されていたものであり、流通さえ整えば安価に提供できる点も注目されているのです。
細かいところを除けば、魚醤って乳清にでき方が似てますね。
醤油自体の製法を、乳清と比べるのも面白いかも。
魚醤を乳清と比べて見るという視点、すごく面白いですね。
最近では乳清は、粉状(ホエイパウダー)に加工しプロテインサプリメント等の原材料として用いられるのです。
生クリームなどの代替として料理に用い、カロリーを大幅に抑えるなどの用途もあるのです。
ほかにも、イタリアと似た食感の食べ物って東日本にあるでしょ。
関東とローマでは、ウナギの焼き方の好みは、たれも含めて似てる。
稲庭うどんの食感も、柔らかいようでいて腰があるところはパスタに近いです。
蕎麦も、材料の違いを除けばうどんと食感の好みって似てませんか。
麺の文化と、パスタの文化、比べるともっと興味深いことは出てきそうね。
今回は、魚醤を考えてきたのですけど。
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