能とイタリア?
コメデア・デ・ラルテ(Commedia dell'Arte)は、コミカルだったりシリアスだったりするイタリア古典仮面劇です。
コメデア(Commedia)とは、日本では喜劇とうけとられているけど、ヨーロッパ文化では演劇そのものと見られているのでしょ。
ラルテ(ll'Arte)とは、芸術だし。
つまりコメデア・デ・ラルテは、演劇芸術と訳せる。
ラルテ(ll'Arte)には、技術の意味もあります。
そこでコメデア・デ・ラルテは、技巧的演芸とも訳せますよね。
結局コメデア・デ・ラルテのまま、使った方が複数の意味をこめられますね。
即興で演じられること、仮面を使うこと、これを除けばアルルカンという道化がいるところなど日本の狂言と雰囲気が似ています。
むしろ、能に似てるのでは。
能は、狂言や式三番とともに、日本の舞台芸術の一種である「能楽」の一分野ね
現在の能楽に相当する言葉として、江戸時代以前には猿楽が用いられていたようですけど。
たしかに、能には即興芸術としての側面が指摘されますね。
八世観世銕之丞は、2000年に暮しの手帖社からだした『ようこそ能の世界へ』でこういってるそうですね。
能は本来、全て即興で演じられるものであり、出演者同士がお互いのことを解りすぎていることは、能においてはデメリットになると。
玄人による能は、入念なリハーサルを行わないそうです。
一度きりの公演であるという点も、独特です。
本来、何日も同じ演目を連続公演しないと。
祭事の奉納などが、演じられる場所だったからでしょうね。
通常の演劇では、事前にリハーサルを重ねるでしょ。
場合によっては、ゲネプロという形で全て本番と同じ舞台・衣装を用いますね。
能では事前に出演者が勢揃いするのを、「申し合わせ」といいます。
「申し合わせ」は原則一回で、しかも、面や装束は使用しない。
なんだか、ジャズのセッションみたいな…。
能には一応、ちゃんと型とかはあって守らないといけないかもしれないけど。
能は、鎌倉時代後期から室町時代初期に完成を見たとされます。
能の起源について、正確なことはわかってはいないそうね。
7世紀頃に中国大陸より日本に伝わった日本最古の舞台芸能である伎楽であるとか、奈良時代に大陸より伝わった散楽であるなどとされます。
散楽ははじめのころ、雅楽と共に朝廷に保護されていたのでしょ。
時代が下ると民衆の間に広まり、それまでにあった古来の芸能と結びついていった。
物まねなどを中心とした、滑稽な笑いの芸・寸劇に発展していった。
それらはやがて猿楽と呼ばれるようになり、現在一般的に知られる能の原型がつくられていった。
このあたりは、コメデア・デ・ラルテに通じるところがありそうですね。
一方、平安時代中期頃より、神道的宗教行事が起源の田楽や、仏教の寺院で行われた延年などの芸能も興っていきました。
これらの演者は元々農民や僧侶だったが、平安末期頃から専門的に演じる職業集団も成立していった。
行事と結び付いて発展した、田楽や延年から、あまり全員揃った通し稽古をしないとか、一度きりの公演とかいった特徴を引き継いだと見えます。
このあたりも、コメデア・デ・ラルテに通じるところがありそうね。
イタリアの劇だからって、調子よくあわせないでくださいね。
どこが、通じるのでしょ。
そういえば、古代ローマにも仮面演劇がありましたね。
同じ仮面劇のコメデア・デ・ラルテは、その流れを汲んで生まれたのかな。
日本も、古代ローマと繋がりそうないろいろな文化とか、ありそうだし。
コメデア・デ・ラルテに似た演劇が古代日本に、あってもおかしくないのかしら。
伎楽や散楽なんかが重なって、能楽の祖先となったさまざまな芸能が生まれたのかな。
そんな想像も、したくなりますね。
イタリア人に、似た人って日本にけっこういるよね。
パスタと饂飩、ピザとお好み焼き、リゾットとお粥、文化もイタリアと日本似てますよね。
米と、温泉と、背骨のような山脈と、温暖な気候と、風土もイタリアと日本って似てますね。
半島と列島とか…。
やっぱり、なにかあるかも。
イタリアと日本。
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コメント
なにかとイタリアと日本って似通ったものがあるんだなって
つくづく思いますよね。
仮面劇と能、ほんと確かにそうだった。
狂言にもお面をつけて演じる演目もあるし…
風土も似てるのなら慣習なんかもちろん
似てたりしますよね。
ず~っと昔女友達とイタリアに旅行に行った時
露店のお兄ちゃんにしつこくおっかけられたけど
日本で言うなら関西人のノリみたいな感じがしたんですよね。
やっぱりなんかあるかもです。
投稿: アモリン | 2009年10月 4日 (日) 20時57分
もっと、日本の文化と日本人のルーツとヨーロッパの関係は議論されて良いと思いますね。
ローマ帝国の版図と日本の比較は、ますます重要になるでしょうね。
投稿: cova | 2009年10月 4日 (日) 22時29分