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輿論と世論と?

輿とは 二本の轅(ながえ)に乗せて何かを運ぶ物を指します。

多くの場合、担ぎ手より立場の高い存在が二本の轅に乗せて運ばれる事を指して使われます。

時代が下るにつれて、乗ることのできる人の身分は段々下がっていったのです。

しかし、もともとは地面に付いてはいけないとされる存在が二本の轅によって運ばれたのです。

 それで、身分の高い人や、神像、移動神社である神輿などが、輿で運ばれたわけね。

そうなるでしょうね。

 あと、棺桶を乗せるのにも使いますね。

棺桶は魂の世界に行った存在を、乗せるからなのかも。

 つまり、魂の世界、霊的な世界に存在しているか、存在しているとされる、立場にあれば輿で運ばれるわけね。

日本でいえば、平安時代には、天皇・皇后・斎宮などに限られ、鳳輦(ほうれん)・葱花輦(そうかれん)や腰輿(たごし)などが主なものだったのです。

 四方輿(しほうごし)・網代輿(あじろごし)・板輿(いたごし)などの種類もあるでしょ。

平安後期以後、使用者の範囲も広がり、種類も増えたからかも。

  轅を肩に担ぐ輦(れん)と、腰の辺りにささげ持つ手輿(たごし)に大別されるね。

玉の輿って、よく言うでしょ。

  貴人(あてびと)の乗る、美しい立派な輿でしょ。
 
  貴人とは、身分・家格などが高く貴い人、上品な人、貴族などでしょ。

女性が婚姻によって手にする富貴な身分も、玉の輿と言うでしょ。

 この玉(たま)とは、玉(ぎょく)の意味でしょ。

この玉(ぎょく)は、美しい石とか、翡翠(ひすい)・碧玉(へきぎょく)などの硬玉・軟玉の総称です。

そこから転じて、とてもすばらしい存在や、高貴な存在などをたたえる言葉にもなってます。

 だから、女性が、高い身分の人や多くの財産を所有する人の妻になることを「玉の輿に乗る」と言うわけね。

 たいていは身分の低い女性が、身分の高い男性に嫁ぐ場合に使いますよね。

いまでは、自分より資産のある人に嫁ぐ場合に、使ってますよね。

 それで、何が言いたいの。

輿論(よろん)と世論(せろん)の違いですよ。

 「よろん」の「よ」に、今では輿(こし)と世(よ)の両方の字を当ててますねえ。

 だから「よろん」と言っても、輿論(よろん)か世論(せろん)か、わからない。

じゃあ、なんで輿論(よろん)と世論(せろん)の二つの言葉があるのかです。

輿論(よろん)はPublic Opinionの、世論(せろん)はpopular sentimentsの、それぞれの訳語として用いられたのですよ。

 Public Opinionは「公論」とも、訳せますねえ。
 むしろ、「公論」のほうが良かったのではないの。

 そして、popular sentimentsは「世情」と訳したほうが適切かもね。
 「世情」には、世の中の事情やありさまとか、世間一般の人の考え、俗人の考えという意味があるでしょ。 

ところが「公論」だと、公平で偏らない議論とか正論という意味のほかに、世間一般の人々の意見の意味もあるのです。

 本当だ。
 
 世間一般の人々の意見という意味では、「公論」と「世情」の区別がない。

そこで、輿論(よろん)と世論(せろん)の二つの言葉を採用したのかも。

 輿論(よろん)とは、高い視点からの意見。

 世論(せろん)とは、民の視点からの意見。

 そういうことかしら。

高い視点からの、つまり公的な立場からの、意見を輿論(よろん)と言う。

民の視点からの、つまり民間の立場からの、意見を世論(せろん)と言う。

だから、輿論(よろん)と世論(せろん)の二つの言葉が必要だったのかも。

 輿論(よろん)は、輿に乗った人の意見だったわけねえ。

 なるほど、明治は天皇と臣下の時代だった。
 輿の上から、天皇陛下がおっしゃったとされた言葉が輿論(よろん)だったりして。

 それで、世間の臣下が言ってる議論で世論(せろん)だったりして。

 案外、そんなつもりで訳語を選んだとか。

そうみても、面白いですねえ。

輿論と世論が混同される原因は、公の側にもあったようです。

例えば、こんな例があります。

昭和二〇年一二月一九日付けでだされた、「憲法改正に関する輿論調査報告」などの「輿論調査」です。

憲法改正に関する「輿論調査」結果はこうです。

○憲法改正を必要とするや否や
             要       不要     無関心乃至無回答
財界           三一      八         二
労働者          三〇     三          八
俸給生活者       四〇     一          ―
中小商工業者      三三     四          四
地主           二六      一二        三
自作農          二八     五          八
小作農          二八      五         八
計            二一六     三八       三三

○現行改正手続を可とするや否や(括弧内は民定憲法を主張するもの)
             可         不可
財界          二〇        一一        (四)
労働者          八        一九       (一四)
俸給生活者      一九        二〇       (一五)
中小商工業者    一七         一四        (七)
地主          一六         七          (四)
自作農         一四         九         (五)
小作農          七        一六        (一三)
計          一〇一        九六        (六二)

これなどは、今の感覚で言えば「世論調査」と呼んだほうが合うでしょうね。

「世論」ではなく「輿論」なのは、公の立場、あるいはそれに準ずる立場からの調査と言う意識があったのかも。

 なるほど!!!!

 ただ、輿論は建前、世論は本音、という見方もできますね。

そこから「声なき声」にこそ、世論の実態があるという声も後がたたないですよね。

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