鳥と恐竜どっちが先? どこへ向かうか、恐竜研究。その5
始祖鳥の化石は、1860年に一枚の羽毛の化石が見つかり、1861年、南ドイツ・バイエルン地方のソルンホーフェンという石切り場で全体の骨格がわかる状態で発見されたのです。
ダーウインによる「種の起源」発表の、2年後だったでしょ。
ところが、1968年アメリカ・テキサス州北西部の小さな町ポストで、「原始の鳥・プロトエイビス」の化石が発見されたのです。
始祖鳥より7500万年も古い時代に、原始の鳥ということで騒然となったのでしょ。
生息年代は2億2500万年前の三畳紀で、最初の恐竜が出現した時代ですね。
見つかった地層は三畳紀初期のドッカム層で、成鳥2体、幼鳥1体だったのです。
プロトエイビスは、始祖鳥に比べてはるかに「鳥」に近いものかと思われたのです。
中空である骨や骨格の特徴、烏甲突起のついた大きい胸骨などが、確認されたからです。
鳥類であるという条件として、「羽毛を持つ恒温動物である」ということが言われるのでしょ。
始祖鳥は、鳥の祖先ではないとなりますね。
しかし発見者の説にも疑問が多く、結局は鳥類の進化系統とは別であるとするところに落ちついたのです。
始祖鳥のような羽毛が、確認できなかったからなのね。
一般の鳥の化石でも、幸運な場合を除いてまず羽の跡を残しているものはないというのです。
羽毛が確認できなかったからといって、鳥ではないとは言えない。
そうです。
いまでは、羽毛を持つ「鳥類ではない恐竜」もいたことがわかっているでしょ。
しかもそれらの恐竜には無毛と思われてきた種が、多数含まれているのです。
新しい発見によって、体毛が確認されたのでしょ。
プロトエイビスも、今後の発見によって体毛が確認されないと言い切れないでしょ。
もちろんですよ。
鳥と恐竜の境目は、どんどん消え去っているのですからね。
その点で、注目される化石がありますね。
羽毛持つ恐竜の始祖鳥よりも古い化石が、中国東北部で発見された話ですね。
中国科学院などの研究チームが、2009年9月24日付の24日付の英科学誌ネイチャーに発表していたのです。
中国東北部の1億6100万年~1億5100万年前、ジュラ紀後期とみられる地層から、見つかった化石ですね。
羽毛を持つ恐竜の全身骨格の化石としては、最古とみられる。
前後の脚に長い風切り羽を持つ、「華美金鳳鳥」と名付けられた小型肉食恐竜の化石ですね。
鋭いかぎつめを持つ、トロオドンと呼ばれる肉食恐竜の仲間です。
中国地質科学院が見つけたと明らかにしたのは、9月21日だったのです。
河北省承徳市の約1億4000万年前の地層から出たのは、最古の鳥類、始祖鳥と同一時代で、より原始的な特徴を持つ新種の原始鳥の化石です。
上海発21日の共同電によると中国地質科学院は、こうコメントしたそうです。
「恐竜の一部から鳥への進化過程の非常に重要な段階に位置し、世界で最も原始的な鳥類の化石」
「21世紀の生物進化に関する研究で最も重要な科学的発見の一つ」
鳥の進化の謎を探る、貴重な手掛かりとなりそうだと報じられたのです。
化石は全長約54.8センチで、尾が全長の約50%を占めるほど長いのです。
始祖鳥と同様に、全身が羽毛で覆われていた痕跡や前肢につめのある3本の指があります。
前後の脚に風切り羽があり、羽はうちわのような左右対称形だったのです。
鳥類や白亜紀の羽毛恐竜の羽は、先端に向かって細く、左右非対称で、飛行に適した形に進化しているのでその点が違うのですね。
頭部は三角形で、くちばしは短いです。
より原始的な点はいくつかあります。
は虫類的な特徴である歯が上下ともに18個あり、始祖鳥の10個前後より多い。
翼となっている前肢が短く、始祖鳥より飛行能力が弱い。
などです。
体内に、直径1センチ弱の卵が11個あったです。
もし、プロトエイビスの体毛が確認されたなら、始祖鳥はもちろん「華美金鳳鳥」より古い時代に鳥がいたとなる…。
恐竜は、鳥類の祖先と考えられているのです。
実際に発掘された羽毛を持つ恐竜化石は、1億2500万年前ごろ白亜紀前期のものが中心ですからね。
一方、最古の鳥類とされる始祖鳥の化石は約1億5000万年前、ジュラ紀後期の地層から発掘されていたからです。
恐竜から鳥類への、進化の過程が議論されていた…。
「華美金鳳鳥」は、最古の鳥類の化石の方が、最古の羽毛恐竜より古いという、これまで指摘されてきた時間的なギャップを埋める化石だと評価されているのですよ。
でも、鳥と恐竜の共通点の多さから、すべての恐竜が原則的に体毛を持つとなれば…。
プロトエイビスの体毛が確認されたときには、鳥が恐竜の祖先だという議論が勢いずく可能性はありますよね。
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