ロシアと日本?
アイヌの衣装に描かれるいわゆるアイヌ文様との類似性は、擦文文化に継承された続縄文時代の土器の文様にはあると指摘されます。
擦文とは、土器の表面に付けられた刷毛目でしょ。
土器の表面を整えるため木のへらで擦ってつけたものと考えられており、これが擦文の名の由来ですね。
しかし、アイヌ文様は黒竜江流域や樺太中部から北部の諸民族の文様とも類似しており、その発生・系統を実証することは困難とみられています。
オホーツク海南沿岸にあったオホーツク文化には、アイヌ文化と共通する熊を特別視する世界観がありました。
でも、擦文文化の遺跡からは、熊を特別視する世界観をうかがわせる遺物は検出されていないようですね。
アイヌにとって重要な祭祀であるイオマンテという熊送りが、オホーツク文化に由来する可能性も、示唆されています。
オホーツク文化の担い手であったという説もあるニヴフに連なる集団によって担われたと、推定されているのでしょ。
ニヴフ(Nivkh)は、ロシア語での複数形はニヴヒ(Nivkhi)と呼ばれる樺太中部以北及び一部シベリアに住む少数民族ですね。
古くは、ギリヤーク(Gilyak)ロシア語での複数形はギリヤーキ(Gilyaki)と呼ばれたようです。
岩波新書『日本人はどこから来たか』の中で考古学の加藤晋平は、東日本を覆ったクサビ型細石核をもつ細石刃文化を担った人類集団の技術伝統は、バイカル湖周辺から拡散してきたとします。
1万2千年前から1万3千年前と、言ってますね。
細石刃はバイカル湖近辺から、日本地域へ人の移動とともに技術が広がったと推測しています。
革新的技術であり、各地で自然発生したとは考えにくいからだそうです。
加藤の考古学からの仮説と全く同じ結果を示したのが、大阪医科大学名誉教授松本秀夫の研究です。
日本人の起源は基本的に北アジアであり、特にシベリアのバイカル地方の可能性が高いとした説でしょ。
加藤晋平は、「恐ろしいほどの一致といわざるを得ない。」と述べているのでしょ。
ええ。
日本民族に高頻度に見られるGm遺伝子パターンの特徴は、バイカル湖畔のブリアートをピークとして四方に流れており、蒙古、朝鮮、日本、アイヌ、チベット、イヌイットに高頻度で、その源流はバイカル地方とするのが妥当であると推定したのです。
松本秀雄は、東アジアから東南アジアを中心に130の集団から約20,000人の血清資料を採集調査しました。
シベリアの少数民族の血清は、当時のソ連科学アカデミーから提供されたものだそうです。
抗体を形成する免疫グロブリンを決定するGm遺伝子の頻度が民族ごとに固有の値となり、民族を示すマーカーとなるという仮定に基づいた調査でした。
遺伝子の決定は、血清に対する抗原抗体反応によって行われました。
Gm遺伝子の分布によって、モンゴロイドは、「南方系」と「北方系」に大別されます。
日本人は、北海道から沖縄に至るまで、基本的に北方型の遺伝子を持ちました。
南方系モンゴロイドとの混血率は低く、7~8%以下でした。
Gm遺伝子に関する限り、アイヌと島嶼を除き、顕著な等質性を示したのでしょ。
アイヌと沖縄・宮古の人々は、その両者は特に等質性が高いそうです。
他の日本人集団よりも北方型遺伝子の一つの頻度が高く、南方型遺伝子の一つの頻度が低い等、幾分の相違を示したといいます。
一方、台湾の土着の民族や約300年前に南中国から移住した人々の子孫である台湾人は、沖縄やアイヌの人々とは高い異質性を示したのです。
典型的な、南方系モンゴロイドのパターンだったのです。
朝鮮民族は、朝鮮半島の韓国の人々と中国の朝鮮族とは高い等質性が認められました。
日本人と同じように北方系モンゴロイドに属するGm遺伝子パターンを持つが、日本人以上に南方遺伝子の頻度が高かったのです。
朝鮮民族は当初は日本民族と非常に近い遺伝子パターンを持っていたが、中国と朝鮮とのあいだの、相互移民や侵入などによって、海で隔てられた日本に比べ、北方少数民族や漢民族との混血をする機会がはるかに多く、これが民族の形成に影響したと考えられます。
中国の場合は、Gm遺伝子の頻度分布に、南北方向の勾配がみとめられました。
漢民族の場合は、「北方型」と「南方型」の二つの型の存在を考えないと、分布パターンの説明が難しいようです。
で、今回はどんな話をしたいわけ。
ロマ音楽のリズムには、強弱の入れ子になっている特徴があります。
前半が強く、後半が弱く、その前半と後半にも、それぞれ強弱があったでしょ。
強さの順で言うと、強い順に4・2・3・1って感じでしたね。
Ton!ta!ton!ta Ton!ta!ton!ta (大文字小文字に強弱を対応させて手拍子)
日本の民謡も、その多くはこの拍子を変形したリズムでできているようです。
これを覚えれば、たいていの日本民謡に合わせて手拍子が打てるのでしたね。
はい、おそらく大半の曲で合うかも。
実は、ロシアの民謡のリズムには、ロマ音楽や日本の民謡と似た特徴があるようなのです。
日本の民謡の歌詞は、ロシア民謡のリズムで歌えるわけ。
逆に、ロシア民謡の歌詞は、日本の民謡のリズムで歌えるわけ。
そう。
共通の拍子を持っているから、歌詞を交換しても歌えるのです。
あなたの知っている日本とロシアの民謡で、歌詞を交換してやってみてください。
手拍子してみれば、対応がしやすいと思いますよ。
これは、余談かもしれないけど…。
なに?
いわゆるロシア民謡は、帝政ロシア時代からソ連時代に生まれた大衆歌曲のうち、戦後日本で広く歌われるようになったジャンルを指します。
大衆歌曲が「民謡」と勘違いされて定着してしまったため、実際は労働歌、革命歌、愛国歌、恋の歌、子守歌、軍歌、英雄を称える歌などが混ざっていると指摘されます。
そのため、ロシアの本当の民族音楽は日本ではほとんど認知されていないという声もあります。
でも、広く大衆に受け入れられてきた以上、ロシア人の音楽的嗜好が反映されているわけだから今回の議論に大きな影響はないと。
日本でも、年齢を超えて愛された曲の多くは民謡と極めて似通った拍子を持っていますからね。
日本人の、少なくともアイヌや琉球の人たちと、ロシアとはなんらかの繋がりがあるのでしょうかね。
どこでどう繋がったかは、 わかりません。
でも、シアやシヤのつく多くの国や地域同様に、日本とロシアにはなにかがあるのかも。
ロシア革命後、ロシア国外に脱出あるいは亡命した非ソヴィエト系旧ロシア帝国国民の中には、日本に亡命した人もいたでしょ。
ロシア帝国から日本に亡命した人の中には、民族的なロシア人の他にかなり多くの非ロシア人、つまりポーランド人やウクライナ人が含まれていました。
非ロシア人の多くも日本において通用しがたいウクライナ語やポーランド語を用いる代わりに、それよりは通じやすいロシア語を用いたのです。
それで、日本では彼らは「ロシア人」であると誤解されました。
かつてのロシア帝国国民では、あったけど。
亡命ロシア帝国国民の多くは革命後、戦前は日本領だった南樺太に亡命したが、戦後南樺太もソ連領となってからは、北海道を中心とした日本本土に再亡命したのです。
日本に亡命した白系ロシア人の中には、しばらくしてからオーストラリアなどに再移住した人もいる。
でも、日本人の中には、それでは説明の付かないロシア人に似た顔の人もいます。
日本とロシアの民謡に、拍子の類似をもたらした人々の子孫ですかね。
可能性は、ありそうですね。
ちょっと話がそれますが、かつてポーランド語をかじっていました。
ポーランド語は字こそローマ字ですが、ロシア語と近いと言われる言葉ですよね。
同じスラブ語ですからね。
で、ロシア語のことはわからないのですが、 「ポーランド語と日本語は言語として一番遠い」という話も聞いたことがあります。
でもねえ。
綿(わた)が同じ「WATA」です。
発音はヴァタになります。
あとお婆ちゃんの俗語が「ババ」なんですよ。
こういう発見は言葉を学んでいて楽しくなりますわ。
スラブ語と日本語、特に古語の段階で比較すると案外面白いかも。
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