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「ひょんな」の語源を考えてみました。

「ひょんな」という言葉があるのです。

こんな意味で使うのです。

思いがけないさま。

意外な。

妙な。

奇妙な。

とんでもない。

予期に反して起こった、不都合なことや異様なことである場合に良く使われるのです。 

そこから、「凶」の唐宋音の「ひょう」からとする説があるのです。

また、「ひょん」は元々はヤドリギを指す「ホヨ」や「ヒョウ」が元だとする説もあるのです。

 それで、その不思議さがやがて「意外な」「妙な」「突飛な」という意味でも使われたとなるわけね。

ほかにも植物由来とする説があるけれど、複数考えられながら定説がない場合、どれも決め手にかけるということになるのです。

 つまり、まだまだ、新説を立てる余地はあるのね。

似た音の言葉に、「ひょっと」があるのです。

こんな意味で使うのです。

不意に。

突然に。

万一。

ひょっとして。

ひょっとすると。

物が突き出るさま。

にゅっと。

その事態が、必ずしも意図したものでないことを表わす言葉であるのです。

類語に、思い掛けず、とか、偶然に、不意に、うっかり、もしも、などがあるのです。

「ひょっと」は、こんな使い方があるのです。

もしかしたら、とか、ひょっとすると、などをさす「ひょっとしたら」。

もしかして、とか、万が一にも、などをさす「ひょっとして」。

「ひょっと」には、 『日本国語大辞典』に出ている『大言海』の語源説によると、「ふと」の変化したと言う説が出ているそうです。

「ふと」という語は、『竹取物語』や『枕草子』などの平安時代の文献にも用例が見られるようです。

「ひょっと」は近世からしか見られないことから、江戸時代の初め頃に「ふと」から派生したと見られるといいます。

「ふと」は、こういう意味です。

はっきりした理由や意識もないままに事が起こるさま。

思いがけず。

不意に。

ふっと。

素早く容易に行われるさま。

すぐに。

即座に。

動作の敏速なさま。

つっと。

確かに、「ふと」と「ひょっと」は、意味や用法は似通っています。

そして、「ひょんな」と「ひょっと」は、音と意味が似通っているのです。

 差があるとしたら、予想に反したら「ひょんな」で、意図に反したら「ひょっと」ということくらい。

つまり、突然事態が急展開して、それまでの流れのひっくり返ったことを指しているのは共通なのです。

 「ひょん」や「ひょっ」の指している事柄は、同じであるといえる可能性はあるのね。

「ひょんな」は事柄や関係をさし、「ひょっと」は性質や状態をさす、そう見えます。

つまり、形容詞的に使うか、副詞的に使うか、ここが、「ひょんな」と「ひょっと」の境目ではないのでしょうか。

 事柄や関係、性質や状態、これらが突然ひっくり返ったように急展開した場合に、「ひょんな」とか「ひょっと」を使う。

そういうことのようですね。

突然ひっくり返るさまとしたら、裏返るってことでしょう。

 表と思っていたら、突然、裏返る。

つまり、表裏(おもてうら)が、いきなり反対になるさまでしょう。

 表(ひょう)が、いきなり、裏(り)になる。

表裏(ひょうり)が、「ひょん」とか「ひょっ」に転化したのかも、知れないです。

 表裏(ひょうり)は、正面に向けた面を、表から裏へと返るさまを言う言葉だった。

そういうことのようですね。

 「表裏(ひょうり)な」から、「ひょんな」に転化した。

 「表裏(ひょうり)と」から、「ひょっと」に転化した。

 そういえば、昔の日本語は、ワ行を母音と見て発音したほうが読みやすいよね。

そういうのを、二重母音というのです。

昔の日本語は、U音+母音の二重母音だったようですね。

時代が下ると、だんだんと今のような一重の母音に近づいてくるのです。

 そして、昔の日本語になかった拗音が、生まれてきた。

おそらく、そうでしょう。

 拗音は、仮名から分類するとイ段音と重複する。

ええ、発音の明瞭化とともに、拗音は成立したようです。

 ただ、「ふと」の「ふ」は、気になるのね。

「向かふ(むかふ)」の、「ふ」と同じかも知れないですね。

 この「ふ」には、表面の意味も込められているのかしら。

 つまり、「ふと」は表をひっくり返すさまを表わす。

 「と」は、「扉(とびら)」の「と」。

その可能性は、ありそうですね。

 「服(ふく)」は、曲がりながら体の表面を覆うものって意味でしょうか。

その解釈は、面白いですね。

 そうそう、発音の変化の話でしたっけ。

いいですよ。

脱線は好きですから。

五十音図が、なかなか安定しなかった背景に発音の揺れがあったのです。

「ひょんな」と「ひょっと」への転化の裏には、日本語の発音の変化があったと、見てもいいのではないでしょうか。

 「ひょんな」の方が、「ひょっと」より古く見えるけど。

溌音(はつおん)の方が、成立は新しいからでしょうね。

陽である表から陰である裏へ急展開するのは、不都合なことや異様なことであり、必ずしも意図したものでない、そういう気持ちがこれらの言葉に込められているのかも。

 だから、「ひょんなことにならなければ良いけど」とか、「こいつはひょっとするとひょっとするぞ」などは、とんでもない展開を予想できるときに使う。

そういうことではないでしょうか。

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