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お茶について思ってみた。

日本語や中国語で茶と呼ばれるチャノキの葉や茎を加工して作られる飲み物は、世界的に広まっているのです。

 英語でtea、イタリア語やスペイン語でTé、フランス語でThé、などの名前で知られているでしょ。

チャノキの原産地は中国南部とされているが、確かなことはわかっていないのです。

世界で茶を意味する語の起源は、「チャ」系統のものと「テー」系統のものがあるとされるのです。

「チャ」は、主に陸路で伝わったです。

大航海時代以降の伝播では、中国語のうち、広東語での呼び名であるチャ(ch'a または ts'a )とかチャーまたはツァーに由来するものと、福建省厦門(アモイ)地方の方言(ミン南語)での呼び名のテー(te または tei )に由来すると考えられるのです。

ポルトガルが広東省のマカオから茶を運んだため、ポルトガル語でも「チャ」の発音が見られるのです。

ただし、ポルトガル語でchá の発音は「シャ」なのですけど。

また、オランダがアモイから茶を運んだため、オランダから茶を輸入した国では「テ」の発音が定着し、テは海路で伝わったと言われます。

茶を意味する単語をもつ言語で、この両者の系統に属さないものは極めて珍しいですね。

日本語の茶の字音は呉音「ダ」、漢音「タ」、唐音「サ」ですね。

「チャ」という音は院政時代の『色葉字類抄』から見られ、漢音と唐音の間の時期に流入したと考えられるのです。

また、朝鮮語漢字音も「タ」と「チャ」があるが、植物・飲料の茶だけを指す場合、「チャ」を用いるのです。

チャノキ以外の植物の葉、茎、果実、花びら、等の部位や真菌類・動物に由来する加工物から作られる飲み物にも、「茶」もしくは「○○茶」と称するものが数多くあるのです。

 広義では、それらは全て「茶」に分類されるのね。

そうですね。

チャの木、あるいは茶樹とも記されるチャノキ(茶の木)は、学名をCamellia sinensisといい、ツバキ科ツバキ属の常緑樹です。

単にチャ(茶)と呼ぶこともあるのです。

漢字の「茶」は、中唐以後に成立した字です。

中唐までは、「荼(ト)」と表記されていたのです。

「荼」は草本植物を表す草冠と、「苦い」ことを意味する「余」からなり、本来は苦い味のする植物であるニガナを指す字です。

ニガナ(苦菜)は学名をIxeris dentataといい、キク科の多年草です。

路傍や田畑や山野にごく普通に生え、環境によりさまざまな形になるようです。

日本全土、東アジアの温帯から亜熱帯にかけてみられるのです。

沖縄県ではホソバワダン(細葉海菜)の葉をニガナ(ンジャナ)の名で食用としているから、混同しそうですね。

ホソバワダン(細葉海菜)の学名はCrepidiastrum lanceolatumで、ニガナと同じキク科の多年草だから勘違いされそうですね。

近縁種のワダン(C. platyphyllum)より葉が細いことから、ホソバワダンの名があるのです。

ホソバワダンは、島根県や山口県の日本海側から沖縄、朝鮮半島南部さらに中国の海岸の岩場から山裾にかけて生育するのです。

 「荼(ト)」は、苦い味の植物一般をさしたのかしら。

そうでしょうね。

おもしろいのは、茶もニガナも、日本人の祖先と関わりが深い地域の植物なのですね。

茶は、原産地の雲南方面から四川・江南へと長江流域に広まるにつれ、デャあるいはテャのような発音に荼字を当てて使うようになったと推定されているのです。

 雲南方面から四川や江南へと長江流域、弥生文化の源流と考えられている地域ね。

陸羽が『茶経』を著して、「荼」を1画減らして区別することが広まったと言われます。

『茶経』には「茶」「檟(カ)」「蔎(セツ)」「茗(メイ)」「荈(セン)」の5種の名の他にも当て字もあって、それらも合わせると10種以上の字が使われていたというのです。

「茗」に関しては、現代中国語でも茶を総称する「茗茶」という言い方が残っているそうですね。

 中唐といえば、中国唐代の皇妃の一人に、玄宗皇帝の寵姫として有名な楊貴妃がいるのね。

姓は楊、名は玉環で、貴妃は皇妃としての順位を表す称号です。

中国の暦で開元7年から至徳元載(元年)6月16日の人というから、西暦で言えば719年から756年7月15日にあたります。

 楊貴妃の出身の蜀は、まさに弥生文化の源流と考えられている雲南方面から四川や江南へと長江流域とある程度重なるでしょ。

漢字の「茶」が中唐以後に成立した字であること、チャノキの原産地は中国南部とされていることと、ほぼ重なるのは注目して良いでしょうね。

ただ、雲南においては茶は多くの場合に草として調理され食べられるものであり、湯に入れてだし汁を飲むように改良したのは、煎じ薬の伝統を持つ漢人であろうと見られているのです。

 そういえば、茶葉を食べてる人、今の日本にもいるのね。

 苦い植物で、草として調理して食べられたといえば、蓬(よもぎ)があるのね。

蓬は、日本全国で自生している学名をArtemisia indica var. maximowicziiという、キク科の多年草ですね。

 別名はモチグサ(餅草)、草餅にして食べるからかしら。

蓬は、春につんだ新芽を茹で、おひたしや汁物の具、天ぷらにして食べることもできます。

 ヨモギといえば、聖書のニガヨモギを連想するのね。

 日本人の遺伝子に残る古代中東の特徴と、日本人のお茶好き、関係あるのかな。

どうでしょうね。

 そういえば、蜀について古代エジプトと関係ありそうだと考察したことありましたね。

 蜀に火偏で燭台の燭になるところから、火を灯す前の燭台であるユダヤの象徴とされるメノラーも連想できた。

日本のお茶好きは、ユダヤのニガヨモギに遡るのではと、言いたいのですか。

日ユ同祖論が、食いつきそうですね。

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