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ルシファーの話ってどこから?

ルシファーについて、こんな疑問が来たのです。

「ルシフェルが天使!? 聖書正典の中にルシフェルという名の天使は一度も登場しないでしょ。 旧約聖書 「イザヤ書」に比喩として登場するだけ。 ネブカドネザル二世のね。 そして、サタンは"魔王"としての称号である。」

私に言われても、困るんですけど。

 そうでしょうねえ。

わたしは、こういう説が一般に広まっているから、どうなってるのって、考えているだけですもの。

ルシファーが天使であったという説も、世界中でいわれているから、それを前提にして議論を立てているだけです。

 ルシファーが天使だった話は、日本にはヨーロッパから来て、ヨーロッパには中東から来ているのでしょ?

ヨーロッパには中東から来ているというのは、半分本当です。

キリスト教は中東から始まって、世界に広まったと言えるからです。

でも、ルシファーという名前の天使がいたという話の出所は、中東ではないのです。

 いったい、ルシファーが天使だった話の出所はどこなんでしょ。

堕天使ルシファーというのは、実は、キリスト教神学によって生み出された存在ですよ。

 聖書正典を探しても、まず、見つからない。

聖書正典の中にルシフェルという名の天使は一度も登場しない、というのは一部は正解で、一部は間違いなのです。

 別の名前で、出ているの。

ルシフェルと言うのは、金星をさすラテン名ルシファーの英語読みですから。

ラテン語読みをルキフィルと記す人もいますけど。

もっとも、ラテン語でも英語でも、綴りは Luciferで同じですけど。

他の読み方としては、フランス語(Lucifer)やスペイン語(Lucifer) やポルトガル語(Lúcifer)のルシフェル、イタリア語(Lucifero)のルチーフェロ、ロシア語(Люцифер)のリュツィーフェルなどですね。

 でも、金星を指すどんな名前でも、聖書正典の中で登場しないのでしょ。

ルシファーの起源は、預言者イザヤがイザヤ書の中で書き記した天から落ちた「ヘレル・ベン・サハル(輝ける曙の息子)」に由来します。

『イザヤ書』は、旧約聖書の一書で、『エレミヤ書』や『エゼキエル書』と並ぶ三大預言書の一つですよ。

「輝ける曙の息子」は、「曙の子」と呼ばれることも多いです。

 別名で、金星が聖書正典に出ていたのかしら。

「ヘレル・ベン・サハル(輝ける曙の息子)」は、セプトゥアギンタ(70人訳ギリシア語聖書)が編まれた際にギリシア神話で明けの明星を象徴する神エオスボロスと訳されたのです。

さらにヒエロニムスがそれらを底本にラテン訳聖書(ウルガータ)を編んだ時に、ラテン語で金星を著す「ルシファー」という訳語があてられたのです。

 なるほど。

よって、ルシフェルなんて聖書に出てこないというのは一部は正解で、一部は間違いということになります。

ラテン訳聖書(ウルガータ)には、登場するわけですから。

このルシファーが「元天使であり」今は「悪魔」であるというのは、キリスト教神学のなせる業です。

 ルシファーが悪魔というのは、ヤハウエが御父というのと同じ、読み違えでしょ。

ええ、御父はエロヒムまたは、エール・エローヒームなのですよ。

あるいは、エル・エルヨーンと発音する人もいるのですね。

ヤハウエがエロヒムと混同されたのは、姿が見えないヤハウエが御父エロヒムの預言者だったからで、御父エロヒムの声はすべてヤハウエによって伝えられたからです。

 炎や雲の中から、ヤハウエは語りかけていたでしょ。

あるいは、多くの預言者を務めた人々を通じてですよ。

そうそう、ルシファーは元天使、という話だったです。

すでに紀元前の時代にユダヤ教の「エノク書」等では、創世記の記述などから敷衍した「堕落天使」の伝統が存在していたというのです。

「エノク書」は、紀元前1~2世紀頃成立と推定されるエチオピア正教における旧約聖書の1つで、エノクの啓示という形をとる黙示です。

黙示は、初期のユダヤ教およびキリスト教において、神が選ばれた預言者に与えたとする「秘密の暴露」、またそれを記録したものです。

「エノク書」は、多くの文書の集成であり、天界や地獄、最後の審判、ノアの大洪水についての予言などが語られており、天使、堕天使、悪魔の記述が多いのが特徴です。

書かれた当初は広く読まれたらしく、教父達の評価も高かったそうです。

初期のキリスト教の一部やエチオピア正教では、『エノク書』は聖書の一部とされているけど、他では偽典とされています。

多くのキリスト教教父はイザヤ書の該当箇所を、堕落天使についての暗喩であると解釈したのです。

2世紀頃の教父オリゲネスの著書「原理論」の中で、「かつて天国にいたルシファーが天から落ちた」という考察がされていたようですね。

5世紀頃のアウグスティヌスも「神の国」の中で、天から落ちたルシファーなる存在について触れていたのですって。

「サタンは魔王の称号」などというのも、称号の意味を取り違えているのです。

称号は、呼び名、特に、身分や資格などを表す呼び名ですよ。

身分や資格などを表す呼び名は、魔王の方ですよ。

 サタンは「妨げるもの」を意味するので、称号とは言えませんよね。

ええ、イエスは悪魔に試されたとき最後にこう言ったのです。

「サタンよ立ち去れ」

これは、俗な言い方をすれば、「邪魔だ、どけ」ですよ。

 そういえば、サタンは「妨げるもの」の意味ですねえ。

でも、悪魔はイエスを試す資格を持っていたわけですよ。

いいですか。

試す資格があるものは、試されるものより立場が上でないとおかしいのではないですか。

 堕天使に位置付けられたルシファーでは、地位が合いませんね。

御父の前から追放された者が、わざわざイエスを試すために呼ばれるですか。

 悪魔は、邪悪な誘いをイエスが毅然として退けられるかを試したのでしょ。

 当人である、ルシファーでは話がおかしくなるのよね。

悪魔がルシファー当人なら、試すのではなく、対決じゃないですか。

 そういえば、いずれイエスはルシファーたちと戦うのでしたね。

御父は、悪魔にイエスの採点役を託したのですよ。

これは、実践的な想定問答であり、イエスは邪悪な誑かしを目論むであろうルシファーに言うべき模範解答をきっぱり言ったので、採点役である悪魔は合格点を出したとみるのが自然でしょ。

 それが、「邪魔だ、どけ」という意味の、「サタンよ立ち去れ」だった。

わたしは、そう見たいです。

だから、生命の樹の鏡面対象が知識の樹とされる死の樹であり、死の樹の管理者が裁きの神であり知識の神でもある悪魔だと主張します。

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コメント

御無沙汰しております。ywrqaです。当該ルシフェルの記事を
私のブログの記事でリンクさせていただきました。御報告まで。

http://ameblo.jp/ywrqa/entry-10786328686.html
(いわゆるルシフェルについて)

http://ameblo.jp/ywrqa/entry-10788046702.html
(天から落ちたもの)

投稿: ywrqa | 2011年2月 3日 (木) 18時53分

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