ロマと演歌とカンツォーネ?
あるイタリア人が、はじめて演歌を聞いて思ったことを知って面白かったですね。
「なんでナポリの歌を日本語で歌ってるの」。
確かに森進一が「帰れソレントへ」を熱唱したなら、あまりの切なさに号泣してしまうかも知れません。
ナポリと言えば、カンツォーネでしょ。
カンツォーネは、まさに演歌よね。
カンツォーネは、一般的にはイタリアの太陽や国民性を思わせるような明るく、朗々と歌い上げられる曲を指すのですけどね。
演歌だって、基本的には明るく歌い上げているのよ。
歌詞自体は、切ないものが多いけど。
確かに、どちらも、どんなに悲しく切ない歌でも、明るく、朗々と歌い上げられますね。
泣かせようと歌うと、かえって押し付けがましくなりますね。
カンツォーネ(Canzone)は イタリア語で文字通り"歌"、複数形はカンツォーニ(canzoni)ですよ。
ジャンルとしては、バラードにあたるのです。
バラードは、仏語でballade、英語でballadeと呼ばれている、古いヨーロッパの詩形の一つです。
英語でいうバラッド(ballad)は、物語や寓意のある歌のことです。
通常は詩の語りや、語るような曲調を含む、過去の出来事についての韻文による歴史物語です。
武勇伝やロマンス・社会諷刺・政治がテーマとなるが、バラッドの内容はほとんど必然的に破局が訪れます。
イタリアのカンツォーネや演歌の歌詞は、この英語でいうバラッドに近いですね。
一方、フランス語でいうバラード(ballade)は、とりわけ中世(14~15世紀)フランスにゆかりのある詩形の一つです。
たいていは3連ないしは5連からなり、各連最終行には脚韻が、また短めの最終連(アンヴォワ)においてはたいてい貴公子への呼びかけが含まれています。
カンツォーネは、5連から7連で構成されることが多いので、曲の構成としてはフランスのバラードに近くなるのです。
イタリア人が演歌を日本語で歌われたカンツォーネにしか思えなかったということは、演歌もフランスのバラードに近いと言えるのでしょうね。
そういえば、演歌は切ない女心を詠ったものが多いね。
男心を詠った場合でさえ、惚れた気持ちを歌い上げる。
その意味では、演歌は基本的に恋歌ね。
そして、慕い憧れる相手という点では、自分にとっての貴公子的な存在に呼びかけているといえるのでしょうね。
演歌も、カンツォーネも、ここが共通。
おそらく、そうでしょうね。
地域としては、イタリアやプロバンスで、よく歌われています。
プロヴァンス(la Provence は、フランス南東部の地域です。
「プロヴァンス」の名称は、ローマ帝国の属州(プロウィンキア、Provincia)であったことにちなみます。
プロヴァンス語で、 Provènço や Provença などとも呼びます。
地域の区分としては、ローヌ川の左岸(東岸)とヴァール川の右岸とデュランス川の南側で区切られた一帯であり、現在の地域圏でいえばプロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏の大部分に当たるのです。
文化的、歴史的にはこの地域圏に含まれる各県のほか、アルデシュ県とドローム県の各南部、およびガール県の東部もプロヴァンス的であるといえるのです。
カンツォーネといえば、イタリア、それもナポリをイタリア人でさえ思い出すのでしょ。
なんで、プロヴァンスが出てくるわけ。
カンツォーネは、プロヴァンスキャンソ(Provençal canso)、つまりプロヴァンス歌謡から派生したと見られています。
カンツォーネは、16世紀末と17世紀初頭の主要なイタリアの器楽の様式を指す名前としても使用されます。
しかし、日本国内においては主に19世紀末から20世紀初頭に書かれたイタリアの大衆歌曲、特にナポリのもの(カンツォーネ・ナポレターナ、Canzone napoletana)を指すことが多いです。
これらはイタリア民謡とよばれることもあるが、古くより伝承された作者不詳の歌ではなく、近代において専門的な作曲家によって作曲された流行歌であるため、「民謡」と呼ぶのは適切ではないとする意見もあるのです。
このイタリア民謡に対する意見は、ロシア民謡のときも出てきましたね。
日本人にとって、ロシアの歌曲も親近感を覚えるものが多いですよね。
ところで、イタリア人が、なんで演歌をカンツォーネと聞き間違えたと思いますか。
来てすぐに、日本語がわかる外国人の方が少ないでしょ。
習ってから来たなら、別だけど。
つまり、旋律が似ているわけですよ。
日本の民謡は、ほとんどロマ音楽のリズムと同じ拍子で手拍子が打てます。
ロマ音楽のリズムには、強弱の入れ子になっています。
前半が強く、後半が弱く、その前半と後半にも、それぞれ強弱があるのです。
強さの順で言うと、強い順に4・2・3・1って感じでしたね。
実際に手拍子を打った方が、わかりやすいですね。
Ton!ta!ton!ta Ton!ta!ton!ta (大文字小文字に強弱を対応させて手拍子)
日本の民謡も、その多くはこの拍子を変形したリズムでできているようです。
これを覚えれば、たいていの日本民謡に合わせて手拍子が打てるのは、驚きでした。
そして、イタリアにもロマはいます。
つまり、カンツォーネもロマ音楽と同じ拍子で出来ているのは偶然ではないのです。
イタリア人に、日本人と似た顔の人が多く、イタリアの料理と日本の料理も、実によく似ていることも、今まで何度も話題にしてきました。
さらに、音楽まで好みが似ている。
カンツォーネが歌われている地方があるフランスもまた、アメリカで出たアイヌに似た人骨と一緒にあったフランスやスペインの鏃という形で出てきました。
縄文人の特徴を再現したら、フランスにそっくりな人がいる芸能人にあまりに似ていると、テレビでも話題にしてましたね。
さらに、秋田美人の美白はヨーロッパの血が入っていると見ないと説明できないことも、取り上げましたね。
東北弁をフランス語と聞き間違えるコマーシャルも、あるよね。
こう見てくると、カンツォーネと演歌の類似は、単なる偶然とはいえないでしょ。
日本に、ロマ、あるいは、ロマの血を引いた人たちが来ていると言うことかしら。
そこなんですよ。
決定的な証拠がないことには、そうかも知れないとしか言えないのです。
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