重量の測定値の変化は常に質量の変化を意味するか。
右回りのコマが軽くなったという、情報があるらしいと調べている人はいまだに多くいるようです。
正しくは、重量の測定値が減少したのです。
重量の測定値の減少と、軽くなることは、日常では等号で結べますよね。
そうでなければ、減量の際に体重計に乗る意味がないですからね。
でも、コマの実験報告は重量の測定値が変化したとは言うが、軽くなったとは一言も言ってないのですよ。
彼らは、質量が変化するはずがないにも拘らず、重量の測定値が特定条件下で減少するという現象を報告したのです。
つまり、追試はこの報告された条件下での重量測定値が本当に変化したのかを確かめるものでないと意味ないわけですよ。
彼らは、高い真空度と限りなく零に近い摩擦でないとこの現象は現れないと言っているのです。
超流動はこの温度より下でないと現れる現象ではないと、言うのとどこ違いますか。
追試の大半は、風を羽に当ててコマを回したりしているわけですよ。
羽を実験装置の外に出せば、真空度がクリアーできても摩擦が零なわけない。
羽を実験装置の中で回せば、摩擦を零にできても真空なわけない。
こんなのばかりが、追試の名のもとに実行されほとんどの科学者がその正当性を疑ってないのです。
本当に、人の話ちゃんと聞いてるのって感じですね。
そんな中に、問題の追試がありました。
一見すると、報告者の装置とそっくりなのですよ。
高い真空度と限りなく零に近い摩擦を、実現してますからね。
ところが、量られているのは実験装置全体の重量の測定値なのです。
報告者は、コマの重量測定値が変化したと報告しているのであって、実験装置自体の重量測定値が変化したとは、一言も言ってないのですよ。
言い換えれば、コマの質量が変化するわけないから測定する必要なんかこれっぽっちもないと、報告者は思っていたわけですね。
当然でしょ。
報告者がコマの質量変化を報告したと勘違いしているから、追試した人は実験装置丸ごと測定したわけですよ。
重量の測定値が小さいから、質量の実際の値も小さいはずという前提で、これまで木星や海王星や天王星はガス天体と思われてきました。
木星の内部構造は、中心に様々な元素が混合した高密度の中心核があり、そのまわりを液状の金属水素と若干のヘリウム混合体が覆い、その外部を分子状の水素を中心とした層が取り囲んでいるものと考えられています。
表面部分の深さでは、温度は水素の臨界点である33Kを上回っているため、水素は液相と気相を区分する境界が存在しない超臨界液体状態にあると考えられようになってきました。
しかし、上層部では水素はガス状であり、1,000km程下がると雲状の層となるが、層の下部では液状になっていると見られるようになってきているのです。
赤道の直径が142,984 kmだか、1000km程下がると氷の粒が層を成し、さらに下がると液状となれば、これをガス天体と言って良いですか。
表面近くでさえ、液相と気相を区分する境界が存在しない超臨界液体状態、これって、基本は液体ってことでしょ。
そうでしょ。
だったら、木星は液体の天体と言って良い訳でしょうね。
海王星や天王星もガス天体という括りから、水やメタン、アンモニアが凝固した氷を主体とした巨大な惑星に分類されるようになり、現在では天王星型惑星と呼ばれています。
天王星は、主にガスと多様な氷から成っていると見られるようになって来ました。
大気には水素が約83%、ヘリウムが15%、メタンが2%含まれ、内部は重い元素に富み、岩石と氷からなる核のほか、水やメタン、アンモニアが含まれる氷からなるマントルで構成されていると推測されています。
ただ、惑星科学分野の習慣では、高温で高密度な液体である状態であっても「氷」と呼ばれます。
そこで、氷の含まれるマントルという表現も出てくるわけですね。
海王星の大気は質量ベースで星の 5-10% を占め、大気圏の厚さは星の半径のおそらく 10-20%、大気圧は 10GPaだそうです。
海王星の核は、鉄、ニッケル、ケイ酸塩で構成され、地球のそれの1.2倍の質量を持ち、中心の圧力は、7Mbarつまり700 GPaで、温度は 5,400K です。
大気圏の下層に近づくに従い、メタン・アンモニア・水の濃度が上昇し、大気圏下層のより暗く高温の層は、徐々に凝縮して液体のマントルとなり、その温度は 2,000-5,000K に達するそうです。
このマントルは水・アンモニア・メタンに富み、地球 10-15 個に相当する質量を持つといいます。
この高い電気伝導率を持つ液体は、しばしば「水とアンモニアの海」(water-ammonia ocean)と呼ばれます。
この場合も、惑星科学分野の習慣では、高温で高密度な液体である状態であっても「氷」と呼ばれるわけですね。
水深 7,000km の深度では、マントル中のメタンがダイヤモンドの結晶へと分解され、核に向かって沈殿していそうだといいます。
マントルは水分子が水素および酸素のイオンに分解されてできた「イオン水」(ionic water) の層によって構成され、さらに深部では酸素が結晶化し、水素イオンがその結晶格子の中を漂う「超イオン水」(superionic water) の状態にある層から成っているとされます。
このように、土星や木星と同じガス天体に分類されてきた海王星や天王星は、天王星型として外されたし、木星も次第にガス天体と言って良いのか疑わしい展開になってきました。
もっとも、土星の内部も木星と似ていると見られています。
土星の中心に岩石の核があり、その上に液体金属水素の層、水素分子の層があり、様々な氷も存在しています。
土星の内部は高温であり、核では12,000K に達し、土星が太陽から受けているよりも多くのエネルギーを放出しています。
土星が太陽から受けているよりも多いエネルギーのほとんどは、重力によるゆっくりとした圧縮であるケルビン・ヘルムホルツ不安定により生成されていると考えられているが、それだけで熱生成の全てが説明できているわけではないのです。
いろいろ説はあっても、有力視されている場合でさえ決定打とは言い難い状態と言えるでしょう。
つまり、土星もまた、ガス天体と言って良いのか疑わしいとなる可能性は、十分にある。
あるでしょうね。
少なくても、測定にかかる重量と大きさからガス天体と見られてきた海王星や天王星が天王星型として外された以上、見かけの重量だけで判断できないのは間違えないでしょ。
余談だけど、大きさでは恒星か惑星か判断が難しいという天文学の最新事情もありますよ。
ここでいう大きさとは、体積とか、直径ですね。
言い換えれば、質量。
そうですよ。
ガス天体と見られてきた惑星から、実はそうではない星が見つかってきましたからね。
さらに、ブラックホールと思われてきた中に、ブラックスターがあるかも知れないのです。
つまり、質量は同じなのに恒星は惑星より重量が小さく観測されているかもしれない。
もしそうなら、右回りと左回りで質量が不変でも重量の測定値が変化するという報告を、ありえないと笑い飛ばせなくなるでしょうね。
だから、コマの右回りと左回りで重量の測定値が違うなら実験装置全体の重量の測定値の変化があるはずという前提の追試は、問題だと言いたいわけですよ。
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