月の水。
月は、赤道半径1738km、質量734.9 10^20kg、表面重力0.166Gの地球の衛星です。
かつて太陽系の主要な惑星とされながら、EKBO惑星に分類されて外された冥王星よりも大きいのです。
冥王星は、赤道半径1195km、質量149.35 10^20kg、表面重力0.071Gですから。
EKBOとは、エッジワース・カイパーベルト天体(Edgeworth-Kuiper Belt Object)の略です。
EKBOは狭義には、軌道長半径が約30 AU~約48 AUの天体を指します。
AUは、天文単位(astronomical unit)の略で、天文学で用いる長さの単位です。
地球と太陽との平均距離をほぼ1とし、1天文単位は約1.5億キロメートル(499光秒)に相当します。
仮説上のオールトの雲や内オールトの雲よりは、内側の天体です。
オールトの雲は、あるいはオールト雲(オールトうん)とも呼ばれる、太陽系を球殻状に取り巻いていると考えられる仮想的な天体群です。
オランダの天文学者ヤン・オールトが長周期彗星や非周期彗星の起源として1950年に提唱しました。
オールトの雲で存在を仮定されている天体は、水・一酸化炭素・二酸化炭素・メタンなどの氷が主成分であると考えられています。
その月について、意外と水があったという研究があります。
Science 2011年5月27日号ハイライト
http://www.eurekalert.org/pub_releases/translations/sci052711jp.pdf
月内部は予想以上に水分が多くて地球に似ていた
Inside of Moon Wetter, More Like Earth Than Expected
月内部に、地球のマントルと同程度の水分を含む部分があるかもしれないことが、新たな研究によって明らかになった。
水は、地球の地殻構造プレートに対して、非常に大きな潤滑効果を及ぼす。
従って、惑星内部の水分状況がわかれば、プレートテクトニクスや火山に関する理解が進む。
Erik Hauriらは、NASAのアポロ17号が月から持ち帰った、メルト包有物という結晶内に閉じ込められた溶岩(マグマ)の小片を分析した。
結晶によってマグマの含有物は保護されているが、さもなければ火山噴火時に蒸発していただろう。
非常に気化しやすい揮発性元素がメルト包有物内に見つかったことから、月内部には、地球の上部マントルとかなり似ている部分があることが示唆された。
これまでは、火星サイズの天体が地球に衝突して月が形成されたときに、揮発性元素の大半は失われたと考えられてきたため、本発見は驚くべき発見といえる。
Hauriらが今回の実験で用いたイオンマイクロプローブ分析法は、ごく少量の含水量を高精度で測定できる。
月の結晶を粉砕してメルト包有物の表面を露出させ、その表面に微量のスズのビームを当てることで、試料中の水分分布図を作成するためのデータを集めた。
この分布図を用いて結晶中の含水量を求めたところ、以前の測定結果の100倍以上であることが判明した。
また、地球のマグマ試料に含まれるフッ素、硫黄、塩素も、予想以上に多く含まれていた。
Article #20: "High Pre-Eruptive Water Contents Preserved In Lunar Melt Inclusions," by E.H. Hauri at Carnegie Institution of Washington in Washington, DC; T. Weinreich; A.E. Saal; M.C. Rutherford at Brown University in Providence, RI; J.A. Van Orman at Case Western Reserve University in Cleveland, OH.
月の生成過程に関する研究は、この成果によってさらに進むでしょうね。
月内部には、地球の上部マントルとかなり似ている部分がある。
地球のマグマ試料に含まれるフッ素、硫黄、塩素も、予想以上に多く含まれていた。
もし、地球から分かれたなら、相当早い時期かも知れないですね。
月震は、地球で起きるのが地震(earthquake)なので、研究者の間で俗称としてmoonquakeという言葉ができ、それを日本語訳した呼称です。
実際は、earthquakeのearthは大地という意味であり、「地球」という意味ではないので、月でも地震と言って良いですけどね。
月震は揺れのピークに達するまでの時間が長く、時に数十分もかかることがあるといいます。
揺れがおさまるまで、数時間も揺れが続くこともあるそうです。
まるで、鐘を突いたときみたいですね。
それで、月は空洞であるという議論の根拠という声は後を絶ちません。
地震波の減衰が、地球に比べてかなり少ないのは事実ですからね。
周波数が1Hz程度の長い周期の波が強いというのも、月震の特徴です。
月はゴ~ンと鳴っているような、振動の仕方ですね。
なるほど、空洞と言われても仕方ないですね。
震動波形を見ても、浅発月震を除けば実体波であるP波やS波と、表面波であるレイリー波やラブ波の区別がはっきりしないようです。
上下動・東西動・南北動といった揺れの方向別の震動波形を見ても、3つの要素で振幅が大きく違い、関連性も薄いという観測もあるそうです。
それに、地震波が散乱されてしまうといいます。
このように、月の地殻は地球のように明確な層に分かれておらずバラバラであると見られています。
月に空洞説があることから、飛鳥昭雄と三神たけるは地球の水が豊富なのは、月の水が加わったからという説を展開しています。
月には、地球のマントルと同程度の水分を含む部分があるかもしれない事が改めて明らかになったので、月震の観測結果と合わせると、さらにもっともらしさが増したと言えるかも知れません。
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