シカン。
今回は、以前ネット上で交わしたシカン研究で知られるアンデス考古学者の松本剛との議論で得られた情報を元に多少手を加えてお話したいです。
つまり、あなたの説の展開よね。
ええ、基本的にはそうですよ。
シカン展は二回行きましたが、想像外の埋葬方法に衝撃を受けました。
ロロ神殿の「東の墓」のことでしょうか。
確かに逆さまって、他では聞いたことないですね。
首も変な捻られ方していますね。
日本にも、死後に特別な力を得たいと逆さ埋葬を願った人物の伝承なら、あります。
また、逆さには埋葬しないが逆さごとという風習もあります。
松本剛によると、考古学的には、「西の墓」の方が得られる情報量が多く、より重要とみられていますね。
シカンの逆さ埋葬は、どんな解釈ができそうですか。
古代には、相対する事物によって世界は作り動かされているという、弁証法的思想ともいえる発想があったようです。
陰陽でいえば下や左や後ろは陰の秘められた力の世界とされていました。
超自然的で神秘な力を欲したという、見方もできますね。
相対する事物によって世界は作り動かされているという、古代思想としては、陰陽やタントラ、カッバーラなどがあります。
陰陽でいえば、陰には、方向でいえば後ろ、左、下になります。
ところが方位では西と北が左と見なされ陰に配されます。
シカンの東西の墓を陰陽で見ると、陽の東に陰の逆さ埋葬で陰陽合一となり、陰の西にメッセージを秘めた副葬品を陽として置いてまた陰陽合一とする。
さらに、東西の墓でも陰陽合一を図る。
弁証法には、階層的あるいは入れ子的な世界観があるのです。
アメリカ先住民には、方位や色にこだわる文化もあるようですね。
実は陰陽は方位とともに、色にもこだわります。
特に五色でしょ。
配色に違いがあっても五色と方位にこだわるなら、陰陽と極めて似通った発想なり思想があると見えます。
これを歴史的必然があるから調べるべきと見るか、偶然って面白いねと見るか、ですね。
私は歴史的必然が見えるか、情報を集めたいと思っています。
卑弥呼が魏に送ったのは、「男生口四人・女生口六人・班布二匹二丈を奉り以て到る。」だといいます。
これで先方が満足したということは、内容は半端でなく凄かった可能性があります。
生口は単なる奴隷などではなく、特殊技能者か高度技能者であり、布も品質が良かったのでしょう。
縄文の文化水準は高かったのですね。
『後漢書』は107年(後漢永初1)に当時の倭国王帥升らが後漢の安帝へ生口160人を献じたと伝えました。
また、『魏志倭人伝』は倭王卑弥呼も239年(魏景初2)に魏明帝へ男生口4人、女生口6人を、243年(魏正始4)に魏少帝へ生口を献じ、その後継者の台与も248年に生口30人を魏へ献じたと伝えます。
『後漢書』は、107年(後漢永初1)に当時の倭国王帥升らが後漢の安帝へ生口160人を献じたと記すのです。
この数字を、160人もと見るか160人しかと見るか、それで相当内容への認識は変わるでしょう。
160人で先方は満足したと見るなら、彼らは単なる奴隷ではなく技能者集団であったとなります。
『魏志倭人伝』は倭王卑弥呼も239年(魏景初2)に魏明帝へ男生口4人、女生口6人を、243年(魏正始4)に魏少帝へ生口を献じ、その後継者の台与も248年に生口30人を魏へ献じたと伝えます。
これで先方が満足していることからも、生口が単なる奴隷ではなかったと見る方が自然でしょうね。
最新の発掘成果は明らかにしていることは、興味深いですよ。
縄文遺跡は、東西それぞれの日本に統一単位と日常的交易の存在を想定する方が自然な内容物が出土してます。
これは度量衡の統一と、交換レートの広域設定なしにありえないですね。
卑弥呼の時代は十分に中国が一目置くだけの国が、日本に営まれていたということでしょう。
縄文土器とよく似た出土品はアメリカからも出ているし、南太平洋は、日本とアメリカの縄文を繋いでいたのではないかと見られる島々が連なるのです。
環太平洋的な広がりが見える縄文文化を背景に外交していたから、中国が日本に一目置いていたのかもしれません。
卑弥呼は、だいたい175年頃から248年頃の女王で、邪馬台国に都をおいていました。
卑弥呼の鬼道は、陰陽の可能性があるのでしたね。
シカン文化はペルー北部沿岸で750年から1350年頃のプレ・インカ時代に栄えた考古文化です。
陰陽思想は、縄文末期にアメリカにも土器とともにわたっているとしてもおかしくないかも。
徐福は、3,000人の童男童女(若い男女)と百工(多くの技術者)を従え、五穀の種を持って東方に船出、日本で神武になったと見る人もいる縄文末期から弥生初期の人物です。
陰陽の前身とされる思想とされる方術の使い手である方士で、卑弥呼の時代に極めて近いです。
卑弥呼の鬼道の正体と見られる陰陽は、徐福一行が背後にいたかも。
中国と日本とアメリカの古代を繋ぐ陰陽の糸の存在は、どこまでも可能性であり、仮説に過ぎません。
ただ、可能性が見えることは非常に面白いです。
でも、縄文人には地中海世界からアメリカ経由で日本に来ていることも、十分考えられるわけでしょ。
しかも、縄文人の流れをくむアイヌには、古代イスラエルと似通った生活文物があるとも言うでしょ。
それは、古代イスラエルの生活文物を持った集団が、地中海世界を経てアメリカに渡っているということでしょ。
古代アメリカの陰陽的思想に結びつくかどうかは、さらに情報が要りますね。
陰陽的思想の基本は、もちろん陰陽と、それから五行です。
陰陽は合一して大極となるが、大極も前後・右左・上下・東西・南北というように位置と対応して陽にも陰にもなります。
そして無限入れ子が出来上がるのです。
陰陽五行では、色は陰陽にも、五行にも対応します。
色は何色かよりも、五色であることの方に注目したほうが良いです。
東=木=青・西=金=白・南=火=赤・北=水=黒・中=土=黄が基本だが、五色には多様性があります。
理論の基本構造は、色の違いによってそれほど左右されません。
陰陽は合一して大極となるが、陰陽それぞれに何が配当されるかで、どういう事物が生じて展開して変化していくかが生旺墓です。
陰陽それぞれに配される要素の間には、統一と対立の関係が展開されていきます。
統一と対立も、相生と相克と呼ばれます。
アンデス考古学者の松本剛からの情報によると、ロロ神殿の周りには東と西の墓だけでなく、他にもたくさんの墓が計画的に配置されていたことが分かっています。
しかも多くは盗掘によって荒らされているそうです。
オリジナルのプランを復元できたら、いろんなモデルを検証することができるといいます。
全体がどんな位置関係で配置されているか、だけでもかなりどんなことを考えていたかを想像できるでしょうね。
松本剛は、埋葬以外にも、神の顔を逆さに表現した金のコップなどが見つかっているといいます。
さらに「逆さま」のデータを増やして、そこから何か答えが導けないか、探ってみる必要があると考えているそうです。
神の顔を逆さに表現した金のコップなど、ですか。
なにか超自然的な恐れるべき力、例えば、悪魔(akuma)的な存在としてとかでしょうかね。
魔力を得る呪術儀式の道具に用いたとも、想像できますね。
悪魔(akuma)は、世界の民俗の中では日本でいえば鬼に相当します。
鬼(oni)は、陰(on)の転化と見られる秘められた知恵と力の擬人化された存在です。
金も特別な力の象徴なので逆さの神とは、特別な秘められた知恵と力を授かる呪術に用いたのでしょうね。
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コメント
掲示板無くなってしまいました
投稿: | 2011年7月29日 (金) 17時29分
どこの掲示板ですか?
ここでリンク貼っているサイトのことですか?
もし、忍の聖書研究解読室でしたら新たに設置されていますよ。
投稿: cova | 2011年7月30日 (土) 08時53分
シカン。 歯間ブラシも連想します。 あれがないと歯周病菌で苦しみます。 個人的には、もしかしたら、末日の病気の中の一つに歯周病菌も含まれると思います。
投稿: ゆうくちぃ~ | 2011年7月30日 (土) 09時59分
それ、どこまで、まじ?(みょ~に、うけました(笑い))
投稿: cova | 2011年7月30日 (土) 13時22分
歯周病菌は深刻な病気です。少し、調べたら誰でもわかります。
投稿: ゆうくちぃ~ | 2011年8月 2日 (火) 00時55分
〉歯周病菌は深刻な病気です。
〉少し、調べたら誰でもわかります。
それは、知っています。
〉シカン。
〉歯間ブラシも連想します。
ここで、不覚にも笑っちゃいました。
失礼しました。
投稿: cova | 2011年8月 2日 (火) 16時35分