宇宙の氷。
今回は、宇宙で見つかる氷の例を取り上げましょう。
宇宙には、氷は珍しくないのです。
朝日新聞サイエンスニュース2011年8月2日14時33分に、これがありました。
オリオン座星雲に酸素分子 星誕生の熱で氷溶け発生か
http://www.asahi.com/science/update/0802/TKY201108020102.html
酸素分子が確認されたオリオン座の大星雲=ESA、NASA提供
オリオン座の大星雲のなかで、呼吸に必要な酸素分子が見つかったと米航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)が1日、発表した。
酸素原子は見つかっていたが、2個の酸素原子が結びついた分子の確認は初めてという。
ESAの「ハーシェル宇宙望遠鏡」がガス状の星雲のなかで酸素分子に特徴的な波長の電磁波を捉えた。
周辺の水素分子約100万個に対して1個の割合しかなく、研究グループでは「ふだん氷の粒子に閉じ込められている酸素が、新しい星の誕生の熱で氷が解けて出てきたのではないか」と推測している。
オリオン座の大星雲は地球から約1500光年の距離にある。
ガス状の中心部では新しい星が次々と生まれ、高温の光を放っていると考えられている。(ワシントン=行方史郎)
ちょっと前には、こんな記事もありました。
土星の“氷の月”、ヘレネ
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2011062101&expand&source=gnews
National Geographic News
June 21, 2011
NASAの土星探査機カッシーニが6月18日に撮影した土星の衛星ヘレネ。
カッシーニはヘレネにフライバイ(接近通過)を試み、最接近時にはヘレネの上空6968キロを飛行した。
画像は、2010年3月に続く2回目の接近時に撮影された無補正データ。
長径36キロ、短径30キロのヘレネは、1980年に地上からの観測で発見された。
これまでにカッシーニは、同じ土星の衛星ミマスやレア、エンケラドスなどに接近して観測したほか、いくつもの衛星を発見している。
Image courtesy NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute
土星の衛星で氷と言えば、こんな話もありました。
氷と水のジェット、エンケラドス
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2010120303&expand#title
National Geographic News
December 3, 2010
土星の衛星エンケラドス(上)から噴出する氷と水のジェットが土星の明るい輪郭にかかりそうにも見えるが、エンケラドスの軌道は実際には土星大気の最上部から約18万キロ離れている。
NASAの土星探査機カッシーニが撮影し11月30日に公開された。
2005年に発見されたこの氷の間欠泉はエンケラドスの南半球にある裂け目から噴き出しており、地下にある液体の水の層がその源泉であると考えられている。
Image courtesy NASA
もっと驚きで捉えられた宇宙の氷は、水星に見つかったものでしょう。
表面の平均温度は 452 K(179 ℃)と、太陽からの高温に晒されながら、水星には氷の存在が確認されているのです。
水星の浴びている太陽光は地球の太陽定数の4.59-10.61倍に相当し、エネルギー総計では 3,566 W/m2 となるといいます。
ちなみに公転軌道は、太陽を焦点のひとつとする大きな楕円軌道を描いています。
近日点が約0.31 AU(46 ×106 km)で、遠日点が約0.47 AU(70 ×106 km)といいます。
温度変化は、90-100 Kから700 Kにおよびます。
水星は公転と自転が共鳴しているため、近日点において特定の2箇所が南中を迎え最高温度の700Kに達します。
この場所は「熱極」と呼ばれ、カロリス盆地とその正反対側が当たります。
遠日点では500K程度になり、日陰部の最低温度は平均110Kほどです。
極に近く深いクレーターの中には太陽光が当たらない永久影となる部分があり、温度が102K以下に保たれているとみられています。
温度が102K以下というのは1992年、ゴールドストーン深宇宙通信複合施設の70m電波望遠鏡と超大型干渉電波望遠鏡群(VLA)が、水の氷による強いレーダー反射を観測して確認されたそうです。
天文学者は、水の氷が存在する可能性が最も高いと考えているそうです。
この氷の量は、10×1014-10×1015kg程度と推定されています。
なお、地球の南極に存在する氷は4 ×1018kg、火星の南極には10×1016kg程度の水の氷があると言われます。
水星極地の氷はレゴリスが、覆うことで昇華から防がれていると考えられるそうです。
レゴリスとは、固体の岩石の表面を覆う軟らかい堆積層の総称です。
水星の氷の起源は不明だが、彗星の衝突もしくは水星内部からの放出で生まれたという説が有力です。
でも、彗星の衝突より、水星内部からの放出の方が可能性高くないですか。
地球の衛星である月にも、氷はありますからね。
だけど、月のクレーターは大きさの割に浅いでしょ。
クレーターが浅いのは、月内部の水のせいと言いたいですか。
確かに、氷が見つかっているのは月の場合もクレーター内部ですからね。
そのため、彗星の衝突もしくは水星内部からの放出という両論が出るのでしょう。
水星は地球型でしょ。
もし、月も地球と似た内部だったとしたら、どっちも地下水が染み出て凍った可能性はありますね。
月の氷は、彗星起源としては多過ぎるように見えます。
水星の場合は、太陽に近いせいで高温なので彗星起源が疑われる程度なのかも。
最低6億トン?月の北極に水の氷を発見
【2010年3月3日 NASA Feature/NASA Mini-RF】
http://www.astroarts.co.jp/news/2010/03/03lunar_ice/index-j.shtml
インド宇宙研究機関(ISRO)の無人月探査衛星「チャンドラヤーン1号」の観測データから、月の北極にある40以上の小さなクレーターに水の氷が発見された。
氷の厚さは数m程度で、氷の総量は少なくとも6億トンはあると計算されている。
月の北極の地図。緑の丸が、水の氷の存在が示されたクレーター。
クリックで拡大(提供:NASA)
2008年10月に打ち上げられたチャンドラヤーン1号は、2009年8月に通信が途絶え、予定より早くミッションを終了した。
しかし1年足らずの間に集められたデータは膨大で、現在分析が進められている。
チャンドラヤーン1号に搭載されていた11の機器のうち、撮像レーダー「Mini-SAR」は、南北の極にある永久影を観測した。
永久影は、常に太陽光があたることがなく極低温で、水の氷を含めた揮発性の物質が存在しているのではないかと考えられてきた。
今回、Mini-SARの観測データから作成された地図を調べたところ、北極にある40個以上の小さなクレーターの内部に、水の氷のものに似た、ある特徴的な情報が見られた。
NASAの宇宙運用ミッション局で月探査用レーダー装置「Mini-RF」計画の主任をつとめるJason Crusan氏は、「分析結果から、これは水の氷を強く示唆するものであると結論付けました」と話している。
水の氷が存在すると判断されたクレーターの大きさは直径2kmから15kmほど。氷は比較的純度が高く、厚みは数m程度とみられている。
気になる氷の全体量は、個々の氷の厚みにもよるが少なくとも6億トンほどと計算されている。
Mini-SARの観測は地下約1.5mまでに限られているため、氷の量が少なく見積もられている可能性もあるようだ。
今回の発見について、米・月惑星研究所でMini-SARを担当する主任研究員Paul Spudis氏は、「新たな発見で、これまで以上に月が興味深く魅力的な探査対象になりました」と語っている。
※NASAのMini-RF計画:月面に水の氷を探すことを目的としてレーダー装置を月に送る計画。
Mini-SARは、同計画で月へ送られた装置のうちの1つ。
もう1つは、NASAの月探査機ルナー・リコナサンス・オービター(LRO)に搭載された月探査用レーダー装置「Mini-RF」。
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コメント
ん~、星にくっついている氷はなんとなく気圧の関係で存在できるとおもうんですが、元々宇宙空間に存在しているトンでも級の氷の塊はどうやってできたのでしょうか?氷になるってことは宇宙を漂っていた水分子が何かの重力によって水になり、途端に冷えて氷になった・・・のでしょうか?^^
投稿: ビックル配達員 | 2015年9月15日 (火) 21時59分
電磁波と重力波は、似通った形式の式で書けると指摘されるようです。
宇宙を満たしているプラズマが、あるいは、何らかの役割を果たしてるのかも知れないですね。
投稿: cova | 2015年10月 1日 (木) 21時42分