プラズマは液中で発生する。太陽は本当にガス天体か。その3
TBS系列放送の「夢の扉」、2011年9月25日の放送のタイトルは、“夢の水素社会へ 廃油から取り出した水素で、自動車を動かせ!”でした。
番組HPにはこうあります。
あらゆる産業から排出される廃油・・・そこから水素を取り出し、乗用車を走らせようという世界初のプロジェクトが進められている。
それは、液体の中に太陽を造るという“常識外れ”の発想から始まった。
プロジェクトを進めているのは愛媛大学大学院教授 野村信福の研究チーム。
そもそも、野村の斬新な発想は居酒屋で生まれた。
同僚の豊田准教授と飲んでいた時のこと、それまで気体から作るのが常識だったプラズマを液体で作ることを思いついた2人。
電子レンジのマイクロ波を使い、液体の中に3000度以上の状態を造り出す。
その分野では世界的に注目される研究者だ。
研究を始めた10年前、誰もがマユツバものだと罵った。
しかし、野村には確信があった。
それは、大学時代の恩師が口癖のように言っていた言葉「まずは常識を疑え。脱常識」。
航空機事故に遭い、志半ばで他界した恩師の言葉を胸に研究を続けた野村。
2002年、2人は世界で初めてマイクロ波を使った液中プラズマを発生させることに成功。
この技術で要らなくなった廃油から水素を取り出し、さらに廃油の処理コストも削減できるという。
環境への負荷を減らそうというのは世界の流れ。
ただ石油に比べて供給コストがかかるのが水素燃料の課題。
廃油から取り出した水素で乗用車が走るようになれば、水素社会への新たな扉を開くことになると野村は言う。
地方大学の研究者らがプライドをかけて臨む次世代エネルギーへの挑戦。果たしてその結末は・・・
これは、私にとって興味深い放送でした。
廃油から水素を取り出す技術のカギは、液中プラズマが握っていたのです。
野村信福は、液中プラズマを「液体の中に太陽を作る」事だといいます。
この発想は、「液体の中でプラズマを発生させてダイヤモンドが作れたら」という同僚である豊田准教授のボヤキから生まれたのです。
そして二人の共同研究が、始まります。
液体を十分に高温化すれば、気体どころか液中にプラズマが発生します。
連続してプラズマを発生させるには、マイクロ波を使えばいいのです。
彼らが使ったマイクロ波発生装置は、なんと、特売の電子レンジ。
苦労して実験を重ねました。
二人の夢は、叶いました。
アルコールや廃油から、水素とともにダイヤモンドも得られたのです。
炭素を含む液体だから、可能になるのでしょ。
普通の水では、水素はできてもダイヤモンドは当然無理ですよ。
これまで人工ダイヤモンドを作るには、大変でした。
現在では、ダイヤモンドを人工的に作成する方法は複数が存在します。
まず、炭素に1,200 - 2,400℃、55,000 - 100,000気圧をかける高温高圧法( High Pressure High Temperature, HPHT)。
これには、静的高温高圧法と動的高圧高温法とがあります。
大気圧近傍で合成が可能な化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition, CVD)というものもあります。
熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法、燃焼炎法などによりプラズマ状にしたガス、例えば、メタンと水素を混合させたもの、その他にメタン-酸素やアセチレン-酸素などから結晶を基板上で成長させる方法などです。
これらが、これまでの主な人工ダイヤモンド製造法でした。
いずれも、大がかりな装置が要りそうですね。
それが、液中プラズマの技術でダイヤモンドができてしまうのです。
工業用ダイヤモンドの安価で迅速な量産が、可能になったのです。
水素も、電気分解が最も簡単な方法でしたね。
効率よくやるには、あとは、科学反応の副産物ででる水素を集めるくらい。
それが、電子レンジで出来てしまうわけだから画期的でしょ。
あとは、どちらも量産化の技術開発に取り組む段階に進むことになるでしょう。
この研究は、プラズマはガスの中でなければ発生しないというこれまでの常識を打ち砕きました。
固体プラズマ研究も、あるって聞いたことありますよ。
最近は、固体プラズマ研究も進められています。
液中プラズマは、十分に高温な液中で発生します。
野村信福は、液中プラズマを「液体の中に太陽を作る」といいます。
言い換えれば、太陽は液体の塊であっても一向にさしつかないという事なのです。
そういえば、太陽には大量の水分子がありますね。
太陽が水の星であっても、プラズマが内部で発生して光っている可能性は十分あり得ます。
プラズマでも、核反応のときと同じような放射線の発生は確認されているのです。
でも、ニュートリノは各段に少ないでしょ。
プラズマなら、ニュートリノの発生は少なくても良い訳です。
しかも、液中プラズマなら、なおさらですね。
低い太陽表面温度と高いコロナの温度の謎も、太陽が水の天体であれば説明が可能になります。
太陽が水の星であっても、液中プラズマは発生する。
しかもそのプラズマは十分高温なら、それ自体が新たな電磁波の発生源になりえますね。
ならば、そうやって発生した電磁波で太陽の大気がプラズマ発光してもおかしくないでしょ。
太陽はガス天体で核融合で光っていたというのは、歴史上の古典的な説になる。
素直に考えれば、そうなるでしょ。
追記
水中に限れば、マイクロ波によるプラズマの連続発生装置の特許が出願されていました。
水中で連続してプラズマを生成できる
マイクロ波液中プラズマ装置
特願出願中(未公開)
開発グループ
北海道大学大学院工学研究科米澤徹教授
アリオス(株)-東京都昭島市
(株)菅製作所-北海道北斗市
http://www.mcip.hokudai.ac.jp/TLO/pdf/10-02_plasma.pdf
また、ジュール加熱と高電圧パルスによる液中プラズマの連続発生装置がすでに商品化されています。
ソリューションプラズマとは名古屋大学高井教授が提唱されておられる従来のガスなどの雰囲気中ではなく、液中プラズマを発生させ、新しい材料合成や加工の場を作り出そうとする、新たなプラズマ応用技術です。
ソリューションプラズマによって、ナノ金属粒子の生成回収や、液中の殺菌・滅菌など従来では不可能だった新たな分野の開拓が可能です。
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コメント
太陽を中心に惑星が9個(今は8ですか)という形は宇宙ではオーソドックスなパターンなのでしょうか‥。
物理的に合理的な配置なのか‥。
よその太陽系について知識がないのですが、そんなことを考えました。
こちらのテーマ、面白いですね。
投稿: まるこ | 2011年10月 1日 (土) 03時05分
惑星数は、さまざまでしょうね。
ただ、恒星と惑星の軌道と、電子と原子核の軌道には相似形がある程度みられるようです。
投稿: cova | 2011年10月 1日 (土) 08時09分
またまた質問です。
太陽には水分子が見つかり、表面が沸いているように見えるのですね?
本当に太陽が水で覆われてたとして、発熱で沸いていたら、水は蒸発してなくなってしまうのではないでしょうか?
蒸発したのが、雲となり、地球と同じく局地的に雨を降らせて循環させてるのでしょうか…
水は100°が最高ですよね?
太陽の熱は光の熱なんですね。
投稿: まるこ | 2011年11月 1日 (火) 21時46分
太陽の水は、循環しているのでしょうね。
太陽の大気中にも、水分子の確認はできると言います。
太陽内部の水は、おそらく熱せられた対流する泥水であり、湧いているように見える表面の水は上澄みのようであるかも知れません。
太陽表面の高温も、太陽の強力な重力の仕業によって沸点が高まっている可能性はあり得ます。
地球でさえ、高い山の山頂付近にもなれば沸点は下がり美味しいご飯が炊けません。
逆に、重力が地球よりはるかに強い太陽であれば沸点の温度はかなり高いところにあると推測できます。
投稿: cova | 2011年11月 3日 (木) 06時59分