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瓜子姫と桃太郎?

瓜から生まれる瓜子姫は、瓜姫とも、瓜子姫子とも、伝わります。

物語には、天邪鬼が登場するパターンと、登場しないパターンがあるようです。

さらに、天邪鬼が登場する場合にも、信州の辺りを境に姫が助かる以西と、姫が天邪鬼に殺される展開が多い東北に分かれます。

天邪鬼は登場する何れも場合も殺されて埋められ、身近な作物の根が赤くなった由来とされるのです。

根が染まるのは、黍だったり、黍と蕎麦と栗だったりします。

 でも、とんでもない存在である天邪鬼の死によって根が赤く染まったのによく平気で食べますね。

そこで、死体化成伝承とも死体化成神話とも呼ばれる死体化成説話の一種ではないかという議論も出てきます。

特に、瓜子姫が死ぬ話が多い東北版は死体化成説話の典型とされるハイヌウェレ神話の流れを色濃く受け継いでいると言えるでしょう。

瓜子姫の死なない話が多い信州以西版も、ハイヌウェレ神話の変形と言って良いでしょうね。

 瓜子姫は隠されるわけだけど、隠されることが殺されることの暗示と見れば、実は瓜子姫は助かるのではなく、復活したとも取れますね。

瓜子姫は助かる場合、大抵、木に吊るされますね。

死ぬ場合、瓜子姫は食べられてしまう。

つまり、瓜子姫は、食べられてしまう場合と、木に吊るされるが復活する場合とが、あるとなりませんか。

瓜子姫は、死ぬ運命を背負って生まれたから、それを瓜からの誕生譚に託したとしたら、どうでしょう。

 死ぬ運命を背負って生まれた瓜子姫は、食べられる。

 死ぬ運命を背負って生まれた瓜子姫は、木に吊るされ隠される、つまり殺されるが復活する。

 両方合わせると、イエスの最後の晩餐と、ゴルゴダの丘の死と復活に重なりますね。

 そういえば、裁きのとき、イエスは赤い衣を纏って再臨するのでは。

 だけど、作物の根を赤く染めるのは天邪鬼。

裁きのときではなく、黙示録のメルカバーに乗るイエスが真紅の衣を纏うのでしょ。

それに、イエスは自らをパンと葡萄酒になぞらえた位だから、作物の根だって良いでしょ。

罪によって流された血で、衣が真紅に染まったとすれば矛盾はないのでは。

 瓜は、流れてくるでしょ。

 旧約のモーセと新約のイエスは、救いの福音と契約に深く関わる点でしばしば対比されるでしょ。

 モーセは流されて拾われる。

 瓜子姫も拾われる。

 瓜子姫は、食べられたり木に吊るされて死ぬが復活するとみればどうなるかというと…。

 イエスの、最後の晩餐やゴルゴダの丘の死と死と復活に重なってしまう…。

 しかも、瓜子姫もイエスも、死を運命付けられて生まれたのだとしたら、さらに大きく重なってしまいますね。

天邪鬼も、比べてみると興味深いですよ。

古事記には、こうあります。

スサノヲがオホゲツヒメに食物を乞うたところ、女神は鼻・口・尻から種々のおいしい食べ物を取りだし、さまざまに料理した。

これをのぞき見たスサノヲは、けがれた物を食べさせようとしたと怒って、女神を殺害してしまう。

殺された女神の頭から蚕が、二つの目から稲種が、二つの耳からアワが、鼻から小豆が、女陰から麦が、尻から大豆が化生した。

一方日本書紀では、一書に曰はくとしてツクヨミとウケモチとの話を載せています。

殺されたウケモチの頭から牛馬、額からアワ、眉から蚕、眼からヒエ、腹からイネ、陰部からムギと豆が化生した。

アマテラスは、アワ・ヒエ・ムギ・マメを「陸田種子(はたけつもの)」、イネを「水田種子(たなつもの)」と区別し、この世の人間の「食ひて活くべきものなり」として、五殻の起源を説明している。

スサノヲには、ヤマタノオロチからクシナダ姫を救ったヒーローという顔はもちろんあります。

しかし、それを除けばスサノヲはとんでもない狼藉者でしょ。

 スサノヲにも、素直で優しい面はあるけど、行動面で見たら…。

そうみれば、スサノヲと天邪鬼は、実は大きく重なってしまうのですよ。

 そういえば、天邪鬼は瓜子姫の機織りをしているところに来た。

 スサノヲも、機織りの最中に来ている。

 天邪鬼が登場するバージョンは、狼藉者としてのスサノヲが下敷きになっている可能性は十分ありますよ。

天邪鬼が登場しないパターンも、興味深いですよ。

 山梨とか、その例ですね。

桃太郎と、比べてみますね。

桃がおばあさんに拾われ、生まれた子どもが桃太郎と名付けられる。

瓜がおばあさんに拾われ、生まれた子どもが瓜子姫、あるいは瓜姫と名付けられる。

桃太郎は、犬と猿と雉の協力を得て鬼ヶ島で宝を手に入れる。

瓜子姫は、機織り虫と機織り雀の協力を得て高く売れるきれいな布を織りあげる。

そして、桃太郎でも瓜子姫でも、幸せに暮らしたハッピーエンド。

 桃太郎も瓜子姫も、授かった子どもとして生を受けて、雉と雀の違いはあっても鳥が出てきますね。

 授かった子に鳥が降りてくる、イエスがまさにそうでしょ。

瓜子姫には、奇妙なほどイエスが重なってきますね。

 そうそう、天邪鬼が埋められて根が染まる作物として黍が出てくるでしょ。

地域によっては他の作物も出てくるけど、黍はよく出てくるようですね。

 桃太郎の持参するのは、黍団子。

 桃太郎と瓜子姫、元を辿ればどこかで繋がってるのかしら。

共通の古代伝承は、ありそうですね。

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