暗黒物質と反重力?
こんな記事がありました。
ナショナルジオグラフィックSeptember 1, 2011
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110901001&expand#title
「暗黒物質は幻想」、新しい反重力理論
Ker Than
神秘的な暗黒物質(ダークマター)は、寿命の短い物質粒子と反物質粒子の間で働く重力相互作用が作り出した幻想にすぎないのかもしれない。
暗黒物質とは、宇宙の質量の4分の1を占めると考えられている見えない物質のことだ。
存在が初めて提唱されたのは1933年。
銀河団外縁部の銀河の回転速度が、“可視質量”に基づく理論値より速い理由を説明するためだった。
観測された速度だと、外縁部の銀河は銀河団の外へ放り出されてもおかしくない。
重力的に束縛できる十分な質量が銀河団で観測されていないからだ。
このため、物理学者は銀河の周囲に目に見えない物質のハローが存在すると仮定したのである。
暗黒物質が存在すれば欠損質量の問題が解決し、構成銀河を銀河団に引き留める強力な重力場の存在も説明がつく。
しかし今回、スイスにある欧州原子核研究機構(CERN)の物理学者ドラガン・ハジュコビッチ(Dragan Hajdukovic)氏が、「量子真空における重力的分極(Gravitational polarization of the quantum vacuum)」に基づく新説を提唱した。
◆“仮想”粒子で満たされた真空
量子真空とは、物理的概念での真空状態のことだ。
決して「何もない」状態ではなく、仮想粒子と反仮想粒子が活発に対生成と対消滅を繰り返している。
反物質粒子は、物質粒子とは対照的な存在である。
例えば反陽子は、原子の基本要素である陽子の逆の電荷(負の電荷)を持っている。
物質と反物質が衝突すると、瞬間的にエネルギーを発して対消滅を起こす。
量子真空状態で自発的に生成される仮想粒子は高速で現れては消えるため、直接は観測できない。
ハジュコビッチ氏は新しい数学モデルを用いて、仮想物質と反仮想物質が重力的にも逆の性質だとしたら何が起こるのかを研究している。
ただし、その発想自体は他の研究者も以前から提案している。
「現在主流の物理学では重力荷は1つというのが常識だが、私は2つと考えている」と同氏は話す。
物質は正の重力荷を持ち、反物質は負の重力荷を持つという。
物質と反物質は重力的に反発するため、反物質の物体は物質で構成される地球の重力場で「落ちる」ことはない。
ただし重力的反発は電気的引力と比べてはるかに弱いため、粒子と反粒子の衝突は起こり得る。
◆銀河の重力が増大する仕組み
「反重力粒子」という発想には特異な印象を受けるが、理論は量子物理学の定説に基づいているという。
例えば、2つの粒子が団結して作り出す「電気双極子」は以前から知られている。
正電荷を持つ粒子と負電荷を持つ粒子が微小な距離だけ離れて存在する状態である。
理論上、量子真空の空間には仮想粒子が作り出した電気双極子が無数に存在する。
すべての電気双極子はランダムに配向されている。
しかし、電場が存在する環境で形成されると、すぐに電場の方向に沿って一直線に並ぶという。
場の量子論では、この電気双極子の唐突な整列(分極化)により、第2の電場が生まれて既存の電場と結合し、全体として強度が増大するとされている。
ハジュコビッチ氏は、重力でも同様の現象が起きると提唱する。
仮想物質と反仮想物質の粒子が異なる重力荷を持つ場合、ランダムに配向された重力双極子が空間に生成されるという。
強力な重力場を持つ大質量の天体である“銀河”の近くで重力双極子が生成された場合、やはり分極化が起こるはずだ。
そして第2の重力場が生まれて銀河の重力場と結合し、重力が増大するに違いない。
「この理論なら暗黒物質がなくても銀河の重力場は強くなる」とハジュコビッチ氏は説明する。
◆暗黒物質の証拠は“揺るがない”
イギリスにあるバーミンガム大学の物理学者デイビッド・エバンス氏は今回の研究を受け、「非常に興味深い新説だが、暗黒物質存在の証拠は揺るがない」とコメントしている。
例えば2006年には、暗黒物質が存在する証拠とされる弾丸銀河団の画像が公開された。
2つの銀河が衝突した衝撃で、暗黒物質と可視物質が分離する様子が写し出されているという。
仮想粒子とは、粒子つまり素粒子の反応の際の中間過程において現れ生成・消滅する粒子を指します。
注目したいのは、ここです。
物質は正の重力荷を持ち、反物質は負の重力荷を持つという。
反物質とは、質量とスピンが全く同じで、構成する素粒子の電荷などが全く逆の性質を持つ反粒子によって組成される物質です。
どうやら物理学者ドラガン・ハジュコビッチは、負の重力荷、つまり斥力としての重力の担い手として反物質を想定したいようです。
他にも注目したい点があります。
物質と反物質が衝突すると、瞬間的にエネルギーを発して対消滅を起こす。
ここから、斥力としての重力の担い手としての反物質は仮想粒子であろうと見ているのです。
さらに面白いのが、ここです。
ハジュコビッチ氏は新しい数学モデルを用いて、仮想物質と反仮想物質が重力的にも逆の性質だとしたら何が起こるのかを研究している。
もし、大阪大の細谷裕教授が主張するヒッグス粒子は暗黒物質と同じという議論を重ねたらどうなるでしょう。
ハジュコビッチの言う仮想物質と反仮想物質は、ヒッグス粒子と反ヒッグス粒子となる。
さらに、物質は正の重力荷を持ち、反物質は負の重力荷を持つという言い分を重ねてみます。
ハジュコビッチの言う仮想物質と反仮想物質は、正の重力荷を持つヒッグス粒子と負の重力荷を持つ反ヒッグス粒子となる。
ヒッグス粒子は、質量を与えると見られていますよね。
このヒッグス粒子の性質を、質量の値としての重量を引き出すと言い換えてみましょう。
ヒッグス粒子は重力荷を持つということは、ヒッグス粒子は重力として働く。
ヒッグス粒子は、重力子と言い換えても良さそうですね。
重力子としてのヒッグス粒子は、引力と斥力の担い手である。
重力子としてのヒッグス粒子が引力と斥力の担い手であれば、重力波と電磁波は同じ形式の式であっても自然でしょ。
斥力としてのヒッグス粒子が、アインシュタインの宇宙定数の正体。
斥力としてのヒッグス粒子は仮想粒子として、常に発生と消滅を繰り返すとしたら、どうなります。
重力は、質量が時空を歪めて発生するが、時空は常に振動していると言い換えても良い。
常に振動する時空は、ヒッグス粒子=斥力と反ヒッグス粒子=引力を、常に生み出していると見たらすんなりするでしょ。
重力子であるヒッグス粒子の質量が暗黒物質の質量として、認識されてきたのではないでしょうか。
そして、重力波と電磁波の式が同じ形式なのでプラズマ宇宙論は暗黒物質を想定不用としたのでしょう。
追記。
大阪大の細谷裕教授が発表した議論についての記事は、ここに収めておきました。
http://cova-nekosuki.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-aed6.html
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