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ヒッグス粒子発見かというが、物理はどこへ向かうか?

ヒッグス粒子は、よくマスコミに「神の粒子」として紹介されます。

この呼び名は、レオン・レダーマンの本のタイトル「The God Particle: If the Universe Is the Answer, What Is the Question? 」にちなみます。

レダーマンは最初この粒子を「goddamn particle(いまいましい粒子)」と呼ぼうとしたが、編集者はその名を望まなかったそうです。

 神の粒子という呼び方は素粒子物理とラージ・ハドロン・コライダーに対するマスコミの興味を引くことには役に立ったでしょうね。

多くの物理学者は、この呼び方が嫌いといいますよ。

この呼び方は、粒子の重要性を誇張しているからです。

イギリスの新聞ガーディアンの科学記者が実施した別名投票で、多くの候補の中から選ばれた最も妥当な名前は「シャンパン・ボトル・ボゾン」でだそうです。

シャンパン・ボトルの底はヒッグス・ポテンシャルの形であり、物理の講義でもよく説明に使われるというのがその理由です。

ヒッグス粒子が見つかっても量子色力学、電弱相互作用と重力の統一理論を作る答えにはならないし、宇宙の究極の起源に対して答えを与えないと見ているのです。

ヒッグス粒子と言えば、2011年12月9日、新聞各紙にこのような記事が載りました。

一例を上げましょう。

産経ニュース
科学http://sankei.jp.msn.com/science/news/111209/scn11120911160001-n1.htm

ヒッグス粒子存在する兆候発見か 宇宙の成り立ち解明へ

 物質に重さ(質量)を与えている未知の素粒子「ヒッグス粒子」を探している欧州合同原子核研究機関(CERN)の2つの国際研究グループが日本時間13日深夜、実験の中間結果を発表する。

ヒッグス粒子が存在する兆候が見つかった可能性があり、素粒子物理学における歴史的な大発見につながるかどうか発表内容が注目される。

 ヒッグス粒子は物質の最小構成単位である素粒子の一種で、約50年前に存在が予言されたが、まだ見つかっていない。

「最後の素粒子」とも呼ばれ、物質になぜ質量があるのかという謎や、宇宙の成り立ちを解明する上で極めて重要な役割を果たす。

見つかれば素粒子物理学の標準理論が完成し、物理学の大きな前進をもたらす。

 発表するのは東京大や高エネルギー加速器研究機構など国内15機関が参加する日米欧の「アトラス」と、欧米中心の「CMS」の2グループ。

スイス・フランス国境にあるCERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を使い、ほぼ光速まで加速した陽子同士産経ニュースを2009年から衝突させて崩壊の様子を調べてきた。

 アトラス関係者によると、今年10月までのデータを分析した結果、ある質量の範囲で、ヒッグス粒子が存在する可能性を示す兆候が見つかった。

 ただ、一般に素粒子物理学の「発見」には99・9999%以上の正確さが必要だが、現状では99・9%程度とみられ、日本の関係者は「まだ発見と言える段階ではない」と話す。

今後さらにデータを蓄積し、両グループの結果をすり合わせて検討する必要があり、「発見」かどうかの最終的な結論は来春以降になる。

ヒッグス粒子の探索は、2008年に稼働したCERNの巨大粒子加速器LHC建設の第一目的です。

今回探索されたのは、発見の可能性が残る最後の領域とされる素粒子の質量を表すギガ電子ボルト(GeV)で、114~141GeVの範囲だそうです。

結果の発表は、ATLASとCMSという別々の検出装置を使った2チームがそれぞれ行うといいます。

ヒッグス粒子(Higgs boson)とは、ヒッグス場を量子化して得られる粒子です。

ヒッグス場とは、1964年にエディンバラ大学のピーター・ウェア・ヒッグスによって提唱された、素粒子の質量獲得に関する理論に現れる場についての仮説です。

ヒッグス粒子は、LHCの衝突実験で、およそ10兆回に1回しか生成されないと言われています。

これまで未発見とされてきたが、今回の報告が確かなら大発見と言われます。

ヒッグス場によって質量を獲得するメカニズムをヒッグス機構と呼ぶ事に示されるように、ヒッグス粒子は素粒子に質量を与える存在と見られているのです。

ヒッグス機構では、宇宙の初期の状態においてはすべての素粒子は自由に動きまわることができ質量がなかったが、自発的対称性の破れが生じて真空に相転移が起こり、真空にヒッグス場の真空期待値が生じることによってほとんどの素粒子がそれに当たって抵抗を受けることになったとします。

ニュース等では「対称性の破れが起こるまでは質量という概念自体が存在しなかった」などと紹介される事があるが、正確ではありません。

ヒッグス場によって生じる素粒子の動きにくさを、質量とみなしているというわけです。

質量の大きさとは、宇宙全体に広がったヒッグス場と物質との相互作用の強さだとします。

ヒッグス場というプールの中に物質が沈んでいるから、質量を獲得できると考えているのです。

光子の質量がゼロなのは、ヒッグス場からの抵抗を受けないため相転移後の宇宙でも自由に動きまわることができるからとしています。

また、電荷、フレーバー、カラーを持たない粒子、標準模型の範囲内ではヒッグス粒子それ自体および右巻きニュートリノはヒッグス機構と関係なく質量を持つことが出来るとされています。

標準模型の外部である一般相対性理論、もしくは量子重力理論において重力子の交換によって説明されると期待されているのです。

重力と質量の関係、すなわち重力質量発生のしくみは、空間の構造によって定められるものと想定されています。

 重力は空間の歪みというのが、アインシュタインの相対性理論ですよね。

素粒子は空間の歪みによって重力は与えられるが、重力によって与えられるのは等加速度であって、質量ではないと見ているわけです。

言い換えれば、素粒子は重力によって加速度は得られるが、素粒子の質量を現象させるのはヒッグス場でありヒッグス粒子だというのです。

ここで注目しないといけないのは、質量は相互作用によって表面化するまで可能性に留まり、相互作用によって現象し現実化するということです。

 ヒッグス粒子が質量を与えているというなら、ヒッグス粒子はどこから質量を持ってきているか、言わないといけないですね。

けれど、ヒッグス粒子は抵抗する存在に過ぎません。

もしヒッグス粒子が質量を与えているというなら、電流でいえば抵抗がアンペアの大きさを与えていると言っているようなものです。

電流の大きさであるアンペアの値は、この式で求められます。

電流(I)=電圧(V)÷抵抗(R)

ここで、電流(I)を質量(m)に、電圧(V)を重力(g)に、抵抗をヒッグス粒子に置き換えて考えたらどうなるでしょう。

質量(m)=重力(g)÷ヒッグス粒子

 ヒッグス粒子も定数なら、質量も一定ですね。

もし、質量(m)が変数なら、重力(g)は定数である以上、ヒッグス粒子も変数でしょ。

ヒッグス粒子を定数と置けば、今度は重力(g)が変数でないとおかしいのです。

ヒッグス粒子で割るのは、定数である重力(g)ではなく変数である重力質量(㎎)なのです。

質量(m)=重力質量(㎎)÷ヒッグス粒子

今度は、重力(g)が消えてしまいました。

そこで、ともに定数であるはずの重力(g)とヒッグス粒子を等号で結びましょう。

質量(m)=重力質量(㎎)÷(ヒッグス粒子=重力(g))

ヒッグス粒子を省略するとこうなります。

質量(m)=重力質量(㎎)÷重力(g)

質量(m)には、このような式があります。

E=mc²からm=E/c²

あるいは、これです。

E=hνからhνをm=E/c²に代入します。

ここでhはプランク定数でνは振動数です。

m=hν/c²

hν/c²で質量を表すとこうなります。

質量(hν/c²)=重力質量(㎎)÷重力(g)

ここで重力(g)をヒッグス粒子に置き換えたらこう言えるでしょう。

質量は物質自体が持っているのであり、ヒッグス粒子は素粒子の質量を重力質量として現象させている。

素粒子自体の質量は、光のエネルギーでプランク定数の振動数倍の値を割ると得られる。

量子力学では素粒子は粒子であるとともに波動としているから、素粒子の質量は振動数で得られることになります。

 電磁波である光にも振動数はあるから、光の質量も振動数の大きさだけあるはずですね。

光子の質量がゼロなのは、ヒッグス場からの抵抗を受けないとされています。

ヒッグス場を加速度と置けば、こうなります。

光子の質量がゼロなのは、加速度からの抵抗を受けないとされています。

そしてアインシュタインの相対性理論により加速度を重力と言い換えられるからこうなります。

光子の質量がゼロなのは、重力からの抵抗を受けないとされています。

さらに、重力波と電磁波は同じ形式の式で表せることが、明らかになってきています。

 光子の質量がゼロなのは、重力波と同じ速度であり、重力加速度を受けていないからということでしょうか。

そうかも知れないですね。

だったら、光も抵抗を受けたら振動数に見合った質量を現象させるはずでしょ。

そして実際、光電現象で光は振動数に見合った質量を現象させていると言いえる状態なわけですよ。

ヒッグス粒子の研究が、今後どう展開するか注目しましょ。

追記

2011年12月13日の中間報告では、二つのチームで絞り込んだ範囲は微妙に異なり、標準模型のヒッグスがもしあるとすれば116-130GeVとするATLASに対して115-127GeVとするCMS。

結局、2012年以降の報告まで様子見ですね。

なお、今回のCERNのプレスリリースはこちら。

ATLAS and CMS experiments present Higgs search statushhttp://press.web.cern.ch/press/PressReleases/Releases2011/PR25.11E.html

日本語解説はこちら。

LHCアトラス実験日本アトラスグループ
http://atlas.kek.jp/index.html

現状報告20111213
ATLASとCMS実験がヒッグス粒子探索に関しての現状を報告
2011年12月13日23:45up
https://sites.google.com/site/lhcpr2011/xian-zhuang-bao-gao201112

標準理論通りに見つかるかもしれないが、標準理論から外れる可能性や、結局見つからない場合も排除できないとしています。

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