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一人一人の価値観がますます問われる時代がきている。

しんぶん赤旗の2011年12月9日付に、気になる記事が載ってました。

TPP安い薬ピンチ
「知財保護」でもうけ独占狙う米
「国境なき医師団」が警告

環太平洋連携協定(TPP)知的財産権保護条項で、安価な医薬品の供給が脅かされるという懸念が強まっています。

 国際的な医療・人道団体「国境なき医師団(MSF)」の米国組織は、入手したTPPの米国提案とみられる流出文章には、ジェネリック医薬品(後発医薬品)の供給を脅かす内容が含まれるとしています。

MSFは、流出文章、米国が締結した貿易協定、米通商代表部(USTR)の発表などを照合して分析し、医薬品の分野で、米国が狙う知的財産権保護強化の危険性を次のように指摘しています。

①型を変えただけの古い医薬品に新薬の特許を認める。

②特許への異議申し立てを困難にする。

③知的財産権侵害の「疑い」だけで、ジェネリック医薬品の貨物を差し押さえる。

④臨床実験データの独占を強化し、ジェネリック医薬品が出回るのを困難にする。

⑤特許期間を延長する。

⑥医薬品認可当局に特許管理責任を負わせる。

 米国が知的財産権保護の強化を図る背景には、新薬の知的財産権を使って収益を上げようとする米国の製薬業界の要求があります。

製薬企業と生物工業企業の団体である米国研究製薬工業会はTPPに関する広報で、研究開発投資を回収するために知的財産保護の強化が必要だと主張し、特に一定期間、ジェネリック医薬品メーカーが臨床実験データを入手できないようにする措置を求めています。

米国のAP通信によると、米国研究製薬工業会は、特許法の改定、外国での知的財産権保護の強化などを求める働きかけに、2011年第1四半期に454万ドル(約3億5412万円)、第2四半期に470万ドル(約3億6660万円)を支出しました。

 MSFによると、ジェネリック医薬品により、過去10年間で第1世代のHIV/エイズ治療薬の価格が99%引き下げられました。

その結果、2002年時点で1人当たり年間1万ドル(約78万円)だった価格が現在の60ドル(約4680円)へ大幅に引き下げられました。

MSFは、TPPで知的財産権保護が強化されると、発展途上国で安価な医薬品の入が困難になると訴えています。

ジェネリック医薬品

新薬(先発医薬品)の特許期間が終了し、独占的な製造・販売権が失効した後、新薬と同じ有効成分や製法を使って製造される医療用医薬品で後発医薬品余も言われます。

効き目、品質、安全性は同じですが価格は安くなります。

こういう内容です。

ここでは発展途上国のエイズ薬を例にとっていたけれど、なんらかの公的な医療保険制度を持っている国、例えば日本も他人事ではありません。

もしジェネリック医薬品の供給に困難が生じた場合、保険の出費に占める医薬品代は大幅に引き上げられることになり、保険料を上げないと維持が困難になる可能性が出てきます。

 組合健康保険にとっても、さらには民間保険にとっても、薬に対する支出が増えるから、保険料引き上げの動きがでるかも。

TPPで、混合医療が広がって現在の健康保険制度が崩壊する懸念が指摘されています。

そのうえに、薬価まで大幅に上がれば、医療格差は国際的にも国内的にも広がるなら、流行病は深刻な事態を今後引き起こす可能性がありそうです。

新自由主義は、企業はさまざまな価値観のある社会貢献は考えず、株主に多くの配当を出し、配当を受けた株主が利益を自分の意思で社会貢献に使えばいいとします。

だが、企業は社会の求めに応じて製品やサービスを提供する存在でもある以上、その行動に対しても社会の求めに応えることを世界の市民は求めるべきでしょう。

私たち一人一人が、どういう価値観で判断し行動すべきか、ますます求められる時代がやってきていると自覚しないと、気が付いた時には多くのものを失うと気づくべきでしょうね。

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