高IgD症候群HIDSは日本とヨーロッパの繋がりを裏付けるか。
周期熱症候群には、日本人の起源を考えるうえで興味深い病気がいくつかあります。
家族性地中海熱やTNF受容体関連周期性症候群の多い地域は、日本人の起源と関わりが深そうな国が多かったですね。
そこで今回は、高IgD症候群HIDSを取り上げます。
高IgD症候群もまた、遺伝による病気なので、伝染はしません。
発症例はまれで、世界中で約200人の患者が報告されているだけです。
大部分の患者は症状の軽いタイプといいます。
重くなる場合もあるでしょ。
もちろんあります。
後で触れますけど。
IgDは、IgEの次に少ない免疫グロブリンです。
IgD産生細胞は、骨髄,リンパ節,脾,唾液腺,乳腺,扁桃,腸管粘膜などに分布しています。
高IgD症候群の詳しいことや最新情報は、自分で調べてくださいね。
医学情報の発信が、目的で話しているわけではないからですね。
一般向けとしては、ここなど良くまとまっていると思います。
遺伝子の異常に起因する周期性発熱
http://www.printo.it/pediatric-rheumatology/information/Japan/13.htm
この病気の別の略称はMAPS,メバロチンカイネース関連周期熱症候群(Mevalonate kinese Associated Periodic fever Syndrome)の略です。
高IgD症候群という疾患名は、海外では血清IgD高値を取ることが多く80%以上の症例において報告される事によります。
それでHyper IgD Syndrome、略してHIDS。
ところが、2010年度の時点で、日本で判明している症例では、そのほとんどがIgD値は正常であるといいます。
幼児では、IgD値は正常傾向が強いといいます。
そのため正確な診断を受けずに不明熱として治療されていた報告例があり、欧米の報告は日本でもあてはまるか明らかではないようです。
じゃあ、日本ではMAPSと呼んだ方が、実態に合っている。
先ほど紹介したサイトでは、MAPSの方を採っていますね。
高IgD症候群はドイツ、フランス、およびその他の北ヨーロッパ諸国に先祖をもつ小児に集中しており、オランダにも報告例があるようですね。
ただ、先に述べたようにまれな病気ではあるようです。
ドイツ、フランス、北ヨーロッパですか。
いずれも、日本人の起源を考えるうえでいままで注目してきた国ですね。
オランダも、情報集めた方が良さそうですね。
日本で判明している症例では、そのほとんどがIgD値は正常というところは少々気になりますけどね。
HIDSは、コレステロール合成に重要な酵素であるメバロン酸キナーゼに関する遺伝子の変異によって生じる周期性発熱症候群です。
酵素とは、生体内の化学反応を触媒するタンパク質です。
すべての遺伝子は、特異的な蛋白に対する構造を持っています。
mvkという遺伝子は、メバロン酸キナーゼという蛋白に特異性を持っています。
メバロン酸キナーゼの欠乏によって引き起こされるのが、周期熱症候群のひとつであるHIDSです。
欠損がひどくなり重症型になった病型が、メバロン酸尿症です。
ちなみに、キナーゼ(Kinase)は英語読みでカイネースとなる、リン酸化酵素のことです。
そこで、メバロン酸キナーゼはメバロチンカイネースとも呼ばれます。
それで、メバロチンカイネース関連周期熱症候群と呼ばれる。
この酵素が関与する化学反応は、メバロン酸塩をリン酸メバロン酸塩に変える反応です。
この反応は、体細胞では重要な初期の反応で、良く知られた生成物の1つとしてコレステロールがあります。
遺伝学的には、酵素の障害により、人間の代謝に影響を与え、従ってHIDSのような疾患は先天性の代謝異常として知られています。
遺伝子mvkの関与は2004年に判明し、より正確な診断が可能となったが、この遺伝子異常がどのように症状を引き起こしていくのかは、まだ解明されていません。
さらに日本人では、血清IgD値が正常でも発症するなどの事情が重なるのでしょう。
日本においてはまだ、酵素活性測定などの診断基盤が確立されていません。
mvkは、すべての体細胞にコピーが2個をもっています。
人間のほとんど遺伝子と同様に、1つは父親から、もう1つは母親由来です。
周期熱は、両方のMVK遺伝子が同時に障害を受けたときに発症します。
これは常染色体劣性遺伝として知られ、父親と母親がそれぞれ原因遺伝子を持っていることになります。
1つだけの遺伝子が異常でも発症しないので、健康な保因者の夫婦は子供達に障害のある遺伝子を伝えてしまいます。
この夫婦から生まれる子供達には、50%の確率で健常保因者になるか、25%の確率でMAPSを発症する確率があります。
夫婦のどちらかだけが、保因者の場合は発症の可能性はなく子供達は保因者になるだけです。
発症に男女差はなく、最初の症状は、通常幼児期に大部分は1歳未満に発症します。
症状は、生後1年以内に悪寒と発熱の反復性発作が始まり、通常4〜6日間続きます。
2週間からから12週間隔で繰り返される、3日から7日の発熱発作で、発熱発作は突然はじまります。
悪寒以外の症状には、腹痛、嘔吐または下痢、頭痛、関節痛などがあります。
発熱以外の徴候には、頸部リンパ節腫脹、肝脾腫大、関節炎、斑点状丘疹や点状出血または紫斑などの皮膚病変、口腔粘膜のアフタ性潰瘍などがあります。
ワクチン接種や軽度の外傷などの、生理的ストレスによって誘発されることがあるそうです。
生理っていえば、発症した女性は、生理が発症の引き金になることがあると紹介されていますね。
合併症は、腹膜炎に続発する腹腔内癒着が10%程度、関節拘縮、アミロイドーシスも数%に見られます。
重症例では精神発達遅滞や痙攣を合併する症例もあります。
また、乳児期からの発熱発作による学習の遅れが約半数の患者で見られ、20%程度が高等学校の卒業が出来ていません。
また、26.4%の患者が成人後も職に就くことができず、社会的機能に障害を来たしているとの報告が欧州でなされています。
治療法は、プレドニンのようなステロイド剤を中心に治療されている症例が多いが、その適応に関しては再評価が必要といいます。
NSAIDsのような、非ステロイド系の有効な時もあるそうです。
また、メバロン酸を合成するHMG-CoA還元酵素阻害薬であるstatinが有効とされる症例もあります。
近年TNFαやIL-1βに対する 生物学的製剤の有効例も報告されているが、明確に有効であるとは言い難いそうです。
重症例に対して、造血幹細胞移植の報告もあります。
確立した治療法はまだ、ありません。
非特異的な異常には発熱時の白血球増加および急性期反応物質の高値があり、感度は低いが特異的な所見としては、尿中ネオプテリンおよびメバロン酸高値が挙げられます。
発作予防のための治療法はまだ確立していません。
発作の頻度は青年期以降減少する傾向にあるものの、患者には生涯にわたり発熱発作再発の可能性がつきまとうといいます。
病気に対する情報発信が目的ではない、と言いながら詳しく扱ってしまいましたね。
でも、少し前の情報だから、最新ではないのは確かです。
秋田美人が色が白いのは、ドイツやフランス、北欧の人々と、共通の血が流れているからという事でしょうか。
発症例が少ないという事なので、日本国内での分布に関する情報を得るのは難しいです。
日本人では、血清IgD値が正常でも発症するという事情がある以上、どちらにどのような変化が起きているのかは気になるところですけどね。
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