輪踊り
集団で踊る様式の一つに、輪踊りがあります。
輪踊りと、日本でいえば、連想するのは盆踊りですね。
盆踊りと言えば、行列型や行進型と呼ばれる、阿波踊りやおわら風の盆などもありますね。
この行進型や行列型は、一方向に進んで戻ってこない場合を言うべきで、道路の端で折り返して回ってくる場合は輪踊りの一種と見るべきという意見もありますけどね。
阿波踊りにも小さな踊りの輪が出来ろことが多く、この小さな踊りの輪も輪踊りと呼ばれます。
興味深いことに、行進型の典型として知られる阿波踊りやおわら風の盆は、いずれも笠踊りでもあります。
そういえば、笠踊りで輪踊りはあまり聞かないですね。
被る笠ではなく、差す傘を持って踊る傘踊りもまた、行列型や行進型が多いです。
笠や傘を持って踊る起源は、おそらく風流踊り(ふりゅうおどり)でしょう。
風流踊りとは、15世紀から16世紀にかけて全国で踊られた芸能です。
お盆に踊られるため、事実上の盆踊りであったといえます。
事実上というのは、盆踊りとは呼ばれていなかったからです。
風流踊りという呼び名も、学術用語です。
当時は、盆の躍りとか盆の風流などと呼ばれていました。
風流踊りは、風流拍子物の造り物を中心の中踊りに取り入れ、外側に側踊り(がわおどり)と呼ぶ輪踊りを伴いました。
おわら風の盆などは、この盆の風流がおそらく語源でしょう。
風流踊りは、16世紀には、京都で盛んに催行されたといいます。
特に経済力を蓄えて勃興した京の町衆が、風流踊りの大きな担い手となりました。
豊後大友氏、阿波三好氏など有力な戦国大名が風流踊りを城下に招聘し、地方への風流踊り伝播に一役買ったそうです。
風流踊りは安土桃山時代にいよいよ盛んになり、その様子はいくつかの「洛中洛外図」にいきいきと描かれています。
豊臣秀吉の追悼となる豊国廟祭礼の際にピークを迎え、江戸時代になると衰えました。
実はこの風流踊りに、笠踊りや傘踊りの起源をみることができるようです、
かつて風流踊りでは、輪踊りの中心に中踊りがあり、風流拍子物の造り物を取り入れていました。
その風流拍子物とは、霊の依り代となる笠や造り物でした。
その後音頭が中心に立つようになっても、臼や笠などの依り代が併置されることが多かったのです。
今では、輪踊りの中心には音頭や囃子の乗る踊り櫓が位置することが多くなっています。
さらに、娯楽の要素が強まり、宗教的意味合いは薄れています。
輪踊りでは廃れていった風流拍子物の系譜は、行列型や行進型の踊りに引き継がれていったようです。
そういえば、行列型や行進型のほとんどは、笠や傘、あるいは何らかの山車などを伴いますね。
行列型や行進型は、むしろ、カーニバルに近いと言えるかもしれません。
盆の躍りとも、風流踊りは呼ばれていた。
そういえば、行進型には躍動感を感じることが多いですね。
行進躍りとか、行列躍りとか、記したくなる。
ねぶたの跳人(はねと)など、まさにそうでしょ、
一方、輪踊りはサークルダンスの系譜に属する可能性が高いと言えます。
風流踊りが、輪踊りと行進型に分裂していったのは、もともと起源を異にする踊りの混合だったから。
そうかも知れません。
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コメント
ここの文章も聞けるようになるとありがたいですね
投稿: | 2012年6月 1日 (金) 14時37分
パソコンにダウンロードして使用するタイプの、音声読み上げソフトはいくつかあるようだけど、サイトのページ自体に貼り付けられる読み上げソフト、ありますかね。
投稿: cova | 2012年6月 1日 (金) 18時39分