細胞の形を決める遺伝子とどこまで言える?
細胞の形決める遺伝子発見 東大
日本経済新聞2012/9/17 18:52
http://s.nikkei.com/QTaugq
東京大学の小田祥久助教と福田裕穂教授らは、植物の細胞の形を決める仕組みを突き止めた。
4個の遺伝子が働き方を変え、自在な形を作り出していた。
この仕組みを利用し、植物細胞の形をデザインでき、バイオ燃料に適した植物などを作れる可能性がある。
成果は米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。
植物の細胞は動物と異なり、セルロースと呼ぶ繊維でできた細胞壁で覆われている。
実験植物のシロイヌナズナの遺伝子の中から、細胞壁作りに関係がありそうな30個を選び、細胞に入れて実験。
細胞壁の模様や形の形成に関わる4個を特定した。
この4遺伝子が作るたんぱく質が連携して働き、細胞壁を部分的に薄くしたり、穴を開けたりして模様や形ができていた。
植物細胞は英国の博物学者フックが約350年前に見つけたが、形ができる仕組みは不明だった。
細胞の形を決める遺伝子というけれど、セルロースと呼ぶ繊維でできた細胞壁で覆われている植物細胞はなぜできるかを、遺伝子レベルで突き止めたわけではない点に、注目したいです。
今回はあくまでも、4遺伝子が作るたんぱく質が連携して働き、細胞壁を部分的に薄くしたり、穴を開けたりして模様や形ができていたと明らかにしたにとどまるのです。
つまり、植物細胞の形の細目を決める仕組みが分かっただけなのですね。
報道はどうしても注意を引くために、刺激的な見出しをつけたがります。
細胞の形決める遺伝子発見という、この言葉が独り歩きして、新たな幻想が生まれる可能性がある。
形の細目、それも、植物の細胞に限定されているのです。
仕組みの解明が進めば、動物の細胞にも応用が出来る可能性は、もちろん否定できません。
なぜ、細胞は全体としてあの形なのか、さらには、なぜ、生物はこの形になるのか、という仕組みの解明はまだほとんどできていないと言って良いでしょう。
だから、この発見が大ニュースになる。
そういうことでしょうね。
生物の形は、結晶や、水の作り出す形、さらには、放電現象が作り出す形に、不思議なくらい相似形が見出されるのです。
さらに、生物の形同士でも、相似形を指摘する研究もあります。
具体的な生物の形の、決定されていく仕組みの中で、これらの相似形の関係は何らかの役割を果たしているのかいないのか、不明な点はまだまだまだ、多いのですよ。
でも、宇宙の形成については、自律的な過程に注目する展開があるでしょ。
数学でも、階層性を扱うフラクタルの有効性と重要性は、ますます高まっています。
フラクタルと自律性に注目した場合、さまざまな相似の関係が生命でも重要視される展開は遠からずやってくるでしょうね。
そういう予想は、十分に立てても良くなるかも知れないですね。
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