何故にドラ?
野良猫と、ドラ猫っていいますね。
二通りの言葉があるのは、当然、それなりの理由がある。
野良は、野良猫、野良犬、野良仕事と、それほど悪い意味はないです。
野にいると言う意味では、野巫(やぶ)という言葉がありますね。
野にいるとは、特にどこかに仕えているわけではない、どこかに所属しているわけではない、という意味もあります。
野良猫、野良犬、野巫は、どこかに所属しているわけではない、ということですね。
それ以上の意味はないです。
後は、屋内ではないという意味での、野。
だから、野良仕事という使い方もあるのでしょうね。
野党は、屋内にいますけど。
この場合の野は、権力の座にいないとか、民間に降ったと言う意味ですから。
ただし、野猫(やねこ)というと野生化したイエネコのことをさすので、単に飼い主がいない場合には野良猫というべきでしょう。
また、野犬(やけん)というと飼い主のいない犬であるが、単に野犬というと野生化した犬を含むので、飼い主がいないと言いたいだけなら野良犬と言いましょう。
ところが、ドラは、ドラ猫、ドラ息子と、どうもあまり良い意味で使われないです。
さらに、野良と違って、ドラ犬とは言いません。
このドラに、銅鑼が語源という説が出るのは、興味ありますね。
ドラ猫のドラは銅鑼が語源というけど、寺と神社の見分けがつきにくい場合、銅鑼があるのが寺、鈴があるのが神社でしょ。
なぜ、ドラ猫というと、あまり良い印象がないのでしょうね。
僧兵といって、日本の古代後期から中世、近世初頭にかけて存在した僧形の武者がいました。
その名で連想できるように、主に寺社勢力に所属する武装集団です。
僧兵は、法師武者あるいは武装した僧侶を僧衆、悪僧と同時代でいうが、それを江戸時代以降呼称した言葉です。
ちなみに悪僧の「悪」は悪党の悪と同じで「強い」という意味合いがあります。
ちなみにこれに対し、神社に所属する武装集団を神人(じにん)といいました。
そういえば、神社系の武士集団出身とみられる武将もいましたね。
今回は深入りしないけど、結構いますね。
日本以外にも、嵩山少林寺のように僧兵として武装集団を組織する仏教僧の集団がいました。
僧兵は、広義には武装した宗教集団を指すこともあって、その場合はヨーロッパの騎士修道会も含まれることがあります。
僧兵や神人が活躍した時代は、社会が乱れる一方でした。
広大な寺領・神領を有して経済的に豊かであった寺社は盗賊のみならず、さまざまな勢力によって狙われる危険性が生じたのです。
このため、こうした動きから寺社を防衛する武力を保持する必要が出てきます。
一見矛盾するように見える「寺院・神社の武装化」は、このような時代背景のもとに推進される事になるのです。
とはいえ、僧兵の横暴が朝廷の不安要素であったことがうかがえる出来事もありました。
京都・奈良の大寺院の雑役に服する大衆である堂衆が、自衛武装した僧兵が居ました。
堂衆が自衛武装した僧兵は、平安時代末期には強大な武力集団となり、興福寺・延暦寺・園城寺、東大寺などの寺院を拠点として、寺院同士の勢力争いや、朝廷や摂関家に対して強訴をくりかえします。
以仁王の挙兵では、平家とも争い、『平家物語』の武蔵坊弁慶などにも、その描写がみられます。
特に、南都の興福寺は衆徒あるいは奈良法師、北嶺の延暦寺は山法師と呼ばれました。
白河法皇は、天下の三不如意、つまり自分の意のままにならないものとして「賀茂川の水(鴨川の流れ)・双六の賽(の目)・山法師(比叡山の僧兵)」を挙げています。
中央から離れた地域でも有力寺社は軍事力を持ったり地元軍事力と結びつき、当時のパワーバランスに大きな影響を及ぼしていました。
源平の争乱の時には、熊野水軍を取り仕切っていた熊野別当にたいし双方から政治的な取引がなされた例などがよくしられています。
室町時代に、かつて義円と名乗り天台座主だった足利義教が、僧兵の軍事力と粗暴さを熟知しているため、延暦寺討伐に動き出して大規模の弾圧を実施しました。
後年の織田信長も延暦寺の焼き討ちををやっていますね。
このような歴史があって、厄介な、持て余す、手を焼く、という意味で寺の事を遠回しに銅鑼と言ったのかも知れないですね。
ドラ猫、ドラ息子と言って、犬には言わないですね。
困りものではあるが、余り邪険にも出来ない相手に使ったからでしょう。
野犬が、野生に戻った犬だけでなく、飼い犬ではない場合を含むのは、危険を感じるので即座に処分も仕方がないと言う意味も込められている。
だから、ドラを困りものの野良犬には使わない。
そうかも知れないですね。
どら息子のドラには、ほかにも、道楽、野良が訛ったという説もあります。
働き手、さらには跡取りとしての期待さえあったので、簡単には邪険にはできないだろうということで、今回は銅鑼語源説をとりました。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- AIを恐れる必要があるのはどういう人か考えてみよう。(2025.11.08)
- 蛇のように賢く、鳩のように素直に ― 愛の知恵としてのバランス(2025.11.05)
- 人間の三重世界観 ― 原初信仰から三位一体教義への流れ(試論)(2025.11.05)
- 旨味という発見 ― 科学が見つけた第五の味(2025.11.05)
- UMAMIとDelicious ― 言葉が語る味覚の哲学(2025.11.05)
「思想」カテゴリの記事
- AIを恐れる必要があるのはどういう人か考えてみよう。(2025.11.08)
- 蛇のように賢く、鳩のように素直に ― 愛の知恵としてのバランス(2025.11.05)
- 合わせ鏡としてのキリスト教と神道の響き合い(2025.11.01)
- なぜ欧米人は神道に心を奪われるのか ― 生活と精神を結ぶ新鮮な体験(2025.11.01)
- マルクスとイエス ―実践による理想の追求者たち(2025.10.31)
「仏教」カテゴリの記事
- やはり国分寺の陰に秦氏あり? ― 古代国家を支えた殖産ネットワークの実像(2025.11.03)
- 日本の神道と聖書的霊性――幼子・山・石・衣・音にみる普遍的宗教感覚(2025.10.16)
- 戦争と文化の考察ー聖書とアジアとヨーロッパと(2025.09.24)
- 霊性の交差点を旅する 衣と変容──皮の衣と僧衣、キリストを着る 何を脱ぎ、何をまとうことで、人は霊的に変わるのか(2025.09.15)
- 熊野とシュメールと古代イスラエルと古代ペルシャ 第5章 現代における祈りのかたちを再考する(2025.09.02)
「神道」カテゴリの記事
- 合わせ鏡としてのキリスト教と神道の響き合い(2025.11.01)
- ふたつの祈りが出会うとき――神道とキリスト教のあいだで(2025.10.16)
- 日本の神道と聖書的霊性――幼子・山・石・衣・音にみる普遍的宗教感覚(2025.10.16)
- 言霊とロゴスの響き合い――東と西の祈りが出会う場所で(2025.10.10)
- 世界は「創られた」のか、それとも「生まれ出た」のか(2025.10.10)
「言葉」カテゴリの記事
- ユーラシア言語記憶 言葉の環(わ) ― 祈りに還る言語 (統合編:思考と信仰の再会)(2025.11.08)
- ユーラシア言語記憶 「動詞と存在 ― 時間をめぐる文法の哲学」 (文法編:世界を感受する形式)(2025.11.07)
- ユーラシア言語記憶 「文明的収斂」として読み解く文化の奥にある言語構造の類似 (構造偏:構造としての言語) (2025.11.07)
- ユーラシア言語記憶 太陽と和 ― ラテンと日本に響く情の文明 (文化編:感覚と生活の共鳴)(2025.11.07)
- 蛇のように賢く、鳩のように素直に ― 愛の知恵としてのバランス(2025.11.05)
「猫」カテゴリの記事
- 出雲の童歌「ネコにゃんにゃんのん」――観世音との音の遊び(2025.09.18)
- 出雲の童歌「ネコにゃんにゃんのん」 ― 陰陽の視点で歴史の舞台裏を想像する(2025.09.18)
- 「ねこじゃねこじゃと八咫烏 ― 幕末の祭りに潜む歴史ファンタジー」(2025.09.18)
- 出雲の童歌「ネコにゃんにゃんのん」想像を膨らませると。(2025.09.18)
- 出雲のわらべ歌「ネコにゃんにゃんのん」滅茶苦茶気になります。(2025.09.18)
「生物」カテゴリの記事
- 恐竜はミルクを出していたのか ― ミルクの進化史から見た生命の知恵(2025.11.06)
- ネゲントロピーとは何か(2025.10.31)
- 🧀 魚で作るチーズ ― 日本人の舌に宿る西方の記憶 ―(2025.10.14)
- 井戸に眠るスッポン、背後に立つ秦氏(2025.10.04)
- 東北の秦氏をたどる旅・第一弾(2025.10.03)
「犬」カテゴリの記事
- 秋田とヨーロッパの意外な共鳴 味覚、肌、犬、祭り…遠く離れた土地で重なる文化の痕跡(2025.10.05)
- セントネロ──聖書の教えとの秘められた共鳴 第5回 涙の先にあるもの――ネロが遺した希望(2025.09.03)
- セントネロ──聖書の教えとの秘められた共鳴 第4回 孤独への共感――ネロに寄り添う日本人のまなざし(2025.09.03)
- セントネロ──聖書の教えとの秘められた共鳴 第3回 聖書との響き合い――ネロに見る赦しと沈黙(2025.09.03)
- セントネロ──第2回 滅びの美学――ネロに宿る日本的感性(2025.09.03)


コメント
とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
投稿: 株価 | 2013年6月11日 (火) 15時27分
ありがとうございます。
投稿: cova | 2013年6月12日 (水) 22時16分