聖書はどう読む?
フランダースの犬の主人公、ネロに対し、多くのヨーロッパ人は負け犬のレッテルを貼るそうです。
でも、ちょっとまって、アロアについては、どう思ってるわけでしょう。
アロアは、ネロがどういう人か知ってる。
ネロに対して、弁護できる立場の人だったのでは。
確かに、アロアはネロがどういう人か知ってるし、誤解であることも知っていたはずですね。
では、あなたがアロアの立場なら、ネロを弁護したでしょうか。
アロアは子どもだから、こういう問題に口を出しても、もともに取り合ってもらえないかも。
それに、ネロが好きだからネロを庇いたいだけと思われるのが、関の山…。
アロアは発言しようにも、様々な理由を付けて制されてしまうでしょうね。
アロアは子どもだし、ネロのような生活の糧もない。
それにあったとしても、ネロのように干されてしまったなら、どうやって暮らしますか。
ネロが誤解を解こうとして、行動を起こしたら味方をするかと、いうことになりますね。
大人であっても、いや、むしろ大人であればなおさら、守るべき立場も家族もあるから、干されるわけにはいかない…。
ネロを負け犬と言うけれど、ネロが行動を起こしても、誰も聞こうとしなければ、ネロの思いは空回りするだけでしょ。
ネロに対する誤解を解く、協力者が出てこないといけない。
では、ネロはどうしたら協力者が得られたでしょう。
ネロがどういう人物か、人々が思い起こさないといけませんね。
それには、きっかけが要るでしょ。
ネロは、お金を拾って、持ち主にパトラッシュに届けさせますね。
パトラッシュだけでも、助かって欲しかったわけでしょ。
でも、パトラッシュは、ネロを選んだ….
このお金のことで、ネロに対する誤解が解け、人々はネロを探し始めるのでしたね。
ネロが一切、人々に対して愚痴も妬みも恨みも言わず、以前と変わらずやさしく穏やかなままであったことも、人々の心に引っかかっていたでしょうね。
訳もわからないまま、突然人々の態度が変わってしまったのに、理由も聞かないし、責めようともしない、反発しようともしないですからね。
心当たりがあれば、取れない態度…。
それもあるけど、ネロの心の底からの優しさでしょうね。
この優しさは、どこかイエスに通じる…。
ネロを負け犬と言うなら、ネロが助けを求めて行動したなら、自分たちは助けたはずと言いたいのでしょうか。
アントワープの人たち、ベルギーの人たちは、自分たちはネロを助けなかった作中の人物のような薄情ものじゃないと反発してますね。
自分たちはもっと、愛があると言いたいのでしょうね。
自分たちはもっと、弱者を大事にすると…。
でも、ネロを弱者と評価する点では、ヨーロッパの他の地域の人たちと大差ないでしょ。
そういえば…。
イエスは、自分を迫害した人々を責めるどころか、何をしているかわからないでいる彼らを許してくださいと、天の神である御父に祈ってますね。
ネロは、祈ってこそいないが、許しているし、今までと同じように愛し続けている。
ネロはその点では、キリスト教の聖人たちや、模範となったイエスに近いですね。
ネロとイエスの類似に気づけていない点では大差ない…。
フランダースの犬の話が好きなのは、日本とアメリカぐらいでしょうね。
でも、アメリカはネロが死なない方がハッピーエンドだと思っている。
日本人だって、ネロが死んでも良いと思っているわけではないでしょうね。
だが、ネロが死に際してさえも、愛の気持ちを忘れず、優しさを貫いて短い生涯を閉じた、その生き様の方に感動している。
純粋に愛を貫いて、死んだ点ではイエスや、聖人を連想できますね。
そうですね。
愛を貫いて死んだ点では、ロミオとジュリエットも似てませんか。
でも、多くの人は、この愛の物語に涙しますね。
悲恋物は、多くの人の気持ちを引き付けるのは確かでしょう。
だが、何に感動して涙を流しているかとなると、どうでしょうね。
ヨーロッパ人は、二人が両家の不仲を嘆きながらも、逢瀬を重ね、必死になって活路を見出そうとしながらも不幸な行き違いによって死んでしまうことに、涙を流すのでしょうね。
そこは、日本人も変わらないでしょうね。
日本人の感性に訴える壺は、他にある…。
純愛だから…。
むしろ、日本人はそちらの方に惹かれているのではないでしょうか。
ヨーロッパは、二人の一途さの方に惹かれしかも純愛であることに感動する。
日本は、二人の純愛に惹かれしかも一途であることに感動する。
日本人の、心を引き付ける壺は、純粋さにある。
どうでしょうか。
幼子のように神を愛するように、イエスは説きますね。
幼子の愛は、純粋である…。
日本の方が、キリスト教的ということ…でしょうか。
ドラえもんで、日本人はのび太も受け入れているでしょ。
欧米では、むしろ、自己主張のあるジャイアンやスネオの方が人気はあると聞きますね。
のび太は、ドラえもんに頼りっぱなしで、情けなさすぎるからとあまり人気がないとか。
聖書を見てくださいな。
神を頼りっぱなしで、しかも、頼ったと思うとすぐにどうしょうもなくなって、神にたしなめられて居る民族として、イスラエルやユダは描かれていませんか。
そういえば…。
新約でも、後に十二使徒となる人達も、イエス存命中の間は、けっこう何度もイエスに頼っているし、イエスにもっと信仰を強めるようにたしなめられて居ますね。
のび太と、イスラエルやユダ、イエス被昇天前の十二使徒は、どこか印象が重なりますね。
日本人は、のび太や、イスラエルやユダ、イエス被昇天前の十二使徒に、自分を重ね合わせて見ている…。
イエスは、人々に自分のようになって欲しいと、求めているでしょ。
この辺りに、どのようにしたら良いかのヒントが隠れているのかしら。
どうなのでしょうね。
少なくとも、日本人の感性は妙に聖書的だとは感じますね。
欧米人的な感性で布教されてきたから、日本人に聖書やキリスト教は広まらなかったのかしら。
ユダヤ教も、キリスト教も、イスラムも、皆、モンゴロイドであるセムの宗教ですよ。
そして日本人も、モンゴロイド、つまり、セム。
日本で布教したければ、もっと日本の感性にあった説明をした方が良い事だけは、確かかも知れないですね。
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