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成人T細胞白血病がみせる意外な繋がり。

病気でルーツを辿って行く方法があります。

 

病気の感染経路が限られているからです。

 

そのため民族のルーツを辿る研究に利用されています。

 

これまでにも家族性地中海熱や家族性アイルランド熱、高IgD症候群、クローン病などみてきました。

 

 これまで見てきたのは、いずれも遺伝性疾患で、日本とヨーロッパの意外な繋がりの深さが見えましたね。

 

今回は、ウイルス性疾患を取り上げて見ます。

 

成人T細胞白血病(ATL, Adult T-cell leukemiaまたはleukemia/lymphoma)は、腫瘍ウイルスであるHTLV-1感染を原因とする白血病、もしくは悪性リンパ腫です。

 

1976年(昭和51年)に高月清らによって発見、命名されました。

 

HTLV‐1感染者を、HTLV‐1キャリアといいます。

 

日本ではHTLV-Iキャリアのうち、毎年600-700人程度が病型は問わずATLを発症しているそうです。

 

キャリアの生涯を通しての発症危険率は、2-6%であるといいます。

 

キャリアの診断は、抗体検査によります。

 

臨床的に白血病、リンパ腫を疑った場合のATL 診断は、抗体陽性、血液像、HTLV‐1 感染細胞の単クローン性増殖を調べるSouthern blotting(サザンブロッティング)によります。

 

単一の細胞に由来することを、単クローン性といいます。

 

Southern blottingとは、Edwin Southernが考案した、DNAを同定するための手法です。

 

この手法により、異なる塩基配列を持つさまざまな二重螺旋(らせん) のDNAの混合溶液から、ある特定の塩基配列を持つ分子が存在するかどうかを確かめることが可能です。

 

進行ATL の患者では、LDH,sIL‐ 2R, Ca ++が上昇するといいます。

 

一部には、かなり早期から免疫不全の兆候を認めるそうです。

 

HTLV-1キャリアは、日本全国で100万以上いるとされます。

 

また、日本人におけるHTLV-Iの陽性率は、献血者を対象とする結果から0.32%と推定されています。

 

日本におけるATLによる年間死亡者数は約1,000人であり、1998年(平成10年)以降の10年間に減少傾向はみられていないそうです。

 

日本では、アイヌ人や琉球民族にキャリアが多いのです。

 

感染者の分布は、九州・沖縄に編在しているといいます。

 

例えば東京都におけるHTLV-1の陽性率が0.15%と低率であるのに対して、全国で最も陽性率が高い鹿児島県では1.95%と、住民の約50人に一人がHTLV-1キャリアとなっています。

 

沖縄、鹿児島、宮崎、長崎各県のキャリア率は約5%で、世界的にみても最もHTLV‐1地域集積性が強いといいます。

 

陽性率がキャリア率に対して低いのは、陽性が医学の検査などで、ある刺激に対して反応がはっきり現れることだからです。

 

ある刺激に対して反応がはっきり現れない陰性であっても、キャリアである場合も当然あるわけです。

 

 どのウィルスに対しても陰性と出ても、感染してないわけじゃないから、要注意。

 

そういうことですね。

 

これらの人口は日本全国の約4.6%であるが、国内キャリアの1/3 を占めるそうです。

 

人口比約1%(約150 万人)の長崎県では、全国平均の10 倍、年間約70 例の発症と死亡が確認されると言います。

 

これは、他のすべての白血病とリンパ腫の合計に匹敵する数値だそうです。

 

大都市ではキャリアの多くは感染者が多い地域の出身者の子孫で、そこでの率は低いが絶対数は全国の約半数だそうです。

 

原因ウイルスであるHTLV-Iの感染者は日本、特に九州に多く、他にはカリブ海沿岸諸国、中央アフリカ、北米、南米、オーストラリアなどに感染者がみられます。

 

そのため、成人T細胞白血病(ATL)患者もこれらの地域に多くみられるが、不思議な事にアジアには存在しないのです。

 

若干の例外を除いては…。

 

この地域の人々と日本の先住民は母乳で繋がっているのです。

 

 縄文人と南北アメリカ大陸の関わりの深さは、遺伝子レベルでも確認されてきたし、縄文土器でも裏打ちされてきたけれど、今度はウイルス性疾患ですか。

 

 アフリカもかかわっている辺りが、興味惹かれますね。

 

意外なのは、現在確認されているアフリカの国の名前です。

 

南アフリカ、タンザニア、ケニア、ウガンダ、ザイール、スーダンなどです。

 

北米ではアラスカを含むアメリカ合衆国、南米では、ジャマイカ、バルバドス、マルティク、トリニダッド、パナマ、コロンビア、ベネズエラ、ギアナ。

 

オセアニアでは、オーストラリアのアボリジニ、パプアニューギニア。

 

アジアでは、日本のアイヌや琉球とその子孫、台湾、インドのマドラス地方。

 

ヨーロッパでは、北欧のラップ人。

 

 地中海世界が見えないのは、確かに意外…。

 

 アフリカとアメリカとなると、オルメカヘッドを残した人達も気になりますね。

 

 日本にもオルメカヘッドに似た顔の人も居るので、アフリカからアメリカ経由で日本の可能性もあり得ますね。

 

アフリカ由来の日本人、探る必要はありそうですね。

 

エジプトなど中東以外のアフリカとも、何かありそうです。

 

成人T細胞白血病(ATL)は、幼少時に母乳を介し母親から感染したhuman T‐lymphotropic virus type 1(HTLV‐1)キャリアにのみ発症すると指摘されます。

 

ほかには、性交の際の精液に含まれるリンパ球を通じての男性から女性への感染も確認されています。

 

個体内でのHTLV-1増殖の場は、主にリンパ節であると考えられています。

 

リンパ節で増殖したATL細胞が血液中に流出すると、特徴的なATL細胞が末梢血で見られるようになるわけですね。

 

リンパ球は血液中にも含まれるので、輸血が感染経路になる場合もあります。

 

 それで、献血者を対象とする結果から0.32%と推定…。

 

そういうことですね。

 

我が国では1987年に輸血用血液のスクリーニングが導入されて以来、輸血感染は消滅しているといいます。

 

 でも、外国では…。

 

どうなんでしょうね。

 

ATLはHTLV‐ 1キャリアに5~10%の頻度で発症し、2年以内にほとんど死亡するというから、発症するとかなり厄介ですね。

 

ATLの治療は依然としてはかばかしくなく、ATLの予防には感染予防が最善の方法と思われるそうです。

 

 キャリアとわかったら、人工栄養で育てなさいと…。

 

キャリアの母親による母乳保育が継続された場合、子供の約20%がキャリア化するとされます。

 

一方、これを人工栄養へ切り替えることによって母子感染はほぼ防げるといいます。

 

 母子感染は、ほぼ防げるということは。

 

出産時の感染の可能性もあるにはあるが、人工栄養児のATL発症率は0.2%未満というので、計画的帝王切開の適応はないそうです。

 

 男性の場合は、人工授精ができれば好ましい。

 

そういうことでしょうね。

 

まあ、リンパ球であって精子ではないので、母子感染の予防でかなり子供への感染はかなりの程度防げるようです。

 

感染から発症までの期間が非常に長いため、成人で初感染した場合は発症せずに寿命を迎えることがほとんどだといいます。

 

ATL は、幼少時に母乳を介し母親から感染したHTLV‐1 キャリアにのみ発症すると見られています。

 

それは、感染から発症までの期間が非常に長いためです。

 

近年、60から70歳代の患者が最も多いそうですから。

 

 なるほど、それじゃ成人で感染しても大半は発症前に寿命が来ますね。

 

成人感染の確証があるATL例は、白血病の治療、移植など高度の免疫不全症例しかないそうです。

 

CD4 + T感染細胞が数種類の突然変異で腫瘍化し、単クローン性に増殖したのがATLです。

 

単クローン増殖までの突然変異集積の機構は、今現在の時点では不明です。

 

TSP/HAMやぶどう膜炎などの自己免疫性疾患は慢性に経過し、それ自体致命的になることは比較的少ないといいます。

 

TSP/HAMすなわち熱帯性痙性麻痺/HTLV-1関連脊髄症は、徐々に進行する脊髄の病気で、原因はヒトT細胞白血病ウイルス1(HTLV-1)です。

 

ぶどう膜炎は、眼球全体を包み込むよう広がっているぶどう膜つまり虹彩や毛様体や脈絡膜に炎症を起こす疾患です。

 

虹彩や毛様体や脈絡膜の組織は眼球全体を覆っているために形は球形で、血管やメラノサイトが豊富で色もぶどうの実に似ていることから、ぶどう膜と呼ばれています。

 

これら症状に深入りすると、先に進まないので、話を進めます。

 

自己免疫性疾患は成人感染によっても発症するが、生涯発生率はATL より少ないそうです。

 

 成人は発症前に寿命になることが多いからと言って、子供への感染は防がないといけないでしょ。

 

もちろんですとも。

 

感染経路は限られているので、予防さえできれば、キャリア率はかなり下げられるそうですよ。

 

なお、全国のキャリア数は約100万人、ATL発症数は年間約700例といわれます。

 

発症の原因はすでに触れたように、HTLV-I感染であり、独自の形態をもつ異型リンパ球(CD4陽性リンパ球)の、腫瘍です。

 

腫瘍の発生は、単クローン性増殖による発生がほとんどで、1個の細胞の異常分裂による、単中心性発生が多いそうです。

 

ヒトレトロウイルスHTLV‐1は逆転写後DNAとなり、CD4 +T細胞の遺伝子DNA に組み込まれ、プロウイルスとなります。

 

プロウイルスとは、レトロウイルスにおいて宿主ゲノムDNAに組み込まれた状態で、RNAに転写される前にあることです。

 

プロウイルス遺伝子は発現し、体内で二次感染を生ずるため感染細胞は多クローン性です。

 

 二次感染で、単一の細胞に由来する単クローン性から複数の細胞に由来する多クローン性になる。

 

そういうことでしょうね。

 

不死化感染細胞の大部分は、ウイルス遺伝子発現をしないそうです。

 

無限増殖もせず、腫瘍細胞でもないといいます。

 

Tax蛋白による多彩な細胞遺伝子発現制御異常で、感染細胞は不死化するというからやっかいですね。

 

ごく一部の細胞は遺伝子発現し、宿主に抗原刺激を行い、キャリアの診断マーカー、抗体を維持することになります。

 

免疫監視機構は、抗原発現細胞を速やかに排除するが、感染細胞は生涯消えないといいます。

 

 HTLV-1の発癌機構としては、どのように見られているかです。

 

母乳中のHTLV-1感染リンパ球が乳児の消化管内で乳児のリンパ球に接触することで、HTLV-1は新たに感染することができるとみられるそうです。

 

レトロウイルスであるため、リンパ球DNAに組み込まれ、ウイルスの再生産を行います。

 

HTLV-1のp40 taxは宿主細胞のIL-2レセプター遺伝子などを活性化し、その分裂増殖を引き起こすのです。

 

こうして無限増殖を繰り返す宿主細胞がその過程でなんらかのエラーをおこし、形質転換をおこし、ATLを発症すると考えられています。

 

ATLの臨床経過は多彩であり、以下のような4つの病型と1つの病態が知られています。

 

病型

 

急性型
リンパ腫型
慢性型
くすぶり型

 

病態

 

急性転化

 

この診断基準は、消去法にて定義されています。

 

急性型の病態が最も多彩であり、定義しにくい反面、くすぶり型、慢性型、リンパ腫型はそれぞれの特徴が比較的明確であるといいます。

 

基本的には定義しやすいくすぶり型、慢性型、リンパ腫型でなければ急性型と考えるわけです。

 

予後不良因子としては、年齢、パフォーマンスステータス、総病変数、高カルシウム血症、高LDH血症があげられるそうです。

 

予後不良因子を持たないくすぶり型と慢性型では化学療法がむしろ免疫不全を助長し、感染症合併の要因になるため、原則として経過観察とするといいます。

 

急性型、リンパ腫型では極めて予後不良であるため、ただちに加療する必要があります。

 

急性化すると極めて予後不良です。

 

急性型と診断された患者の生存期間中央値は、1年未満であるというから治療は短期決戦になるでしょうね。

 

 治療はどうなっていますか。

 

CHOP療法が選択されるが、再発、薬剤耐性化が多い。若年発症では造血幹細胞移植も試みられている。

 

成人T細胞白血病自体への治療としては、急性白血病と同様、寛解導入療法後の造血幹細胞移植が検討されているそうです。

 

寛解導入療法としてはCHOP療法やLSG15といった化学療法を用い、造血幹細胞移植は一般的な前処置を用いた同種骨髄移植が考えられているそうです。

 

一般に急性型、リンパ腫型、予後不良因子を有する慢性型が治療対象となり、一般的にaggressive lymphomaに準じた治療法が選択されるといいます。

 

名前のとおりT細胞性でありCD20陰性のため、CHOP療法が選択されるそうです。

 

予後不良因子を持たない慢性型やくすぶり型ならば、経過観察となるようですね。

 

ATLは初回から薬剤耐性を示すことが少なくなく、標準的な治療法が未だに確立していないそうです。

 

CHOP療法によって1stCR(完全寛解)を得る症例が近年増えているが、再発が多いようです。

 

再発例は薬剤耐性があるためペントスタチンや造血幹細胞移植、CCR4抗体、CD52抗体、ジドブジン、インターフェロンαといった治療法が現在研究中であるといいます。

 

 合併症への治療としては、どうでしょう。

 

高カルシウム血症に対しては、ビスホスホネート製剤、大量補液、利尿剤、カルシトニン製剤が有効とみられるようです。

 

日和見感染症に対しては、抗生剤などを投与するといいます。

 

1970年代の日本の白血病、リンパ腫の論文ではいくつかの興味深い症例報告をみることができるそうです。

 

西南日本に予後不良の悪性リンパ腫が多いこと、家族内発症が悪性リンパ腫にみられること、ホジキン病が南九州に多いこと、セザリー症候群や皮膚T細胞リンパ腫が九州に多いこと、リンパ腫から白血化し、急激に死にいたる症例が認められること、末梢血に核が分葉した奇妙な白血病細胞が認められることなどがあげられるといいます。

 

これらの多くは2008年(平成20年)現在の診断能力ではATLと診断されておかしくないものばかりであるが、腫瘍ウイルスが原因とわかったのは1980年代だそうです。

 

参考までに、このページを紹介しておきます。

 

成人T細胞白血病の治療を受ける
患者さん・ご家族へ
平成22 年度厚生労働科学研究費補助金 第3 次対がん総合戦略研究事業
「成人T細胞白血病のがん幹細胞の同定とそれを標的とした革新的予防・診断・治療法の確立」
患者さんやご家族が納得した治療を
受けていただくために
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou29/dl/atl.pdf

 

 アイヌや琉球民族の、思いがけない繋がりが見えてきました。

 

まあ、インドやオセアニアも、日本人のルーツ探しではしばしば話題に上りますからね。

 

北欧のラップ人は、北欧と日本の繋がりを解く鍵を握っていそうですね。

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