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秘すれば花?

世阿弥の芸論書「風姿花伝」の言葉、「秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず」 は、あんまり何もかも見せるより、仄めかす部分がある方が面白いということかもしれません。

でも、それだけでしょうか。

 確かに、余りこれ見よがしに見せびらかすのは、かえって野暮かもしれません。

 むしろ、嫌味でさえありますね。

花は自らを秘しているでしょうか。

鮮やかな花もあれば、地味な花もあるのは事実だけど、花は自らを隠してしまったら、受粉できないでしょ。

 生き物に託す場合もあれば、風に託す場合もありますね。

風に託す場合、裸子植物のように花は地味だけど、花それ自体は隠れてはいないはずです。

 秘すれば花と言うが、花自体は自分を秘してはいない…。

 だが、花を目立たせ、周囲を引き立てるように演出してるのは人が飾る場合であって、自然界ではむしろ周囲の存在に埋もれないように、してるようですね。

生き物に託す場合は見つけてもらえるように、風に託す場合は風にほどほどよく当たるように、咲いてませんか。

 花はこれ見よがしなのではなく、むしろ、懸命に見いだされたがっている…。

この見出される、見つけられる、ことこそ、「秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず」という言葉を理解するポイントではないでしょうか。

 見つける、といえば、花は実をつけますね。

 「見つける」と「実つける」の洒落だったりしませんか。

そう言えば、努力はよく、花にたとえられます。

 花が咲く、とか、実を結ぶ、と言う具合に…。

そうなると、努力は気付かれもいいが、見せびらかしては駄目ということになりませんか。

 日本は、見せる文化と言うより、見つけられるのを待つ、気付かれるのを待つ、文化ということでしょうか。

隠す文化ではなく気付かせる文化、ということでしょう。

 見せて魅せる文化ではなく、気づかせて萌えを感じる文化が、日本…。

だから、見せつつ隠し、隠しつつ見せ、見つけられるのを待ち、気づかれるのを待つ訳です。

「秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」

「春は名のみの 風の寒さや 谷のうぐいす 歌は思えど 時にあらずと 声もたてず」

こういう、秘められた変化に素早く気付き、兆しを見出す、だから、「萌え」を感じるのは日本の美意識であり、粋なわけです。

 「萌え」を感じるのは日本の美意識であり粋としたら、「花(はな)」は「端(はな)」に通じるということですかね。

「秘すれば端なり、秘せずば端なるべからず」と表現を変えても、確かに意味は通じるし、むしろ、この方がわかりやすいのも、確かでしょうね。

だが、こうあからさまに出してしまっては、分かり易いかもしれないが身も蓋もないでしょ。

 それであえて、「端(はな)」を「花(はな)」と言い換えた…。

日本は、巧みに元の物を摩り替えたり、言い換えたりする文化でもあります。

だから、本来の意味を知りたければ、元の姿を探り当て、そこに込められたメッセージを知る必要があるということでしょうね。

 そうなると、日本文化は象徴に満ちていると言い換えても良くなるのでしょうか。

そうかも知れません。

大陸の中国などでは、権力の威厳を竜で表すことを好んだが、日本は違うでしょ。

 そういえば、日本では竜を仏教寺院とか、民俗的な祭りでは見るが、権力の象徴としてはあまり知らないですね。

むしろ、いつのころからか、松が好んで使われるようにみえないでしょうか。

ひょっとすると、松は竜の摩り替えかもしませんよ。

 大地に根をしっかりと張り、奔放に枝を伸ばし、常緑の葉をつける。

 しっかりとした地盤を築き、自在に振る舞い、その勢いは止まることを知らぬ権威と権勢を手に入れたと、印象付けたい権力者の気持ちを象徴している…。

しかも、そのうねる姿は、まさに竜でしょ。

さらに、日本は神仏混交の信仰を作り上げたが、神道の背景には陰陽思想があります。

松や竜のように長いものは、風や息や声に配されます。

 松は、竜、永遠の権勢、神の声、などの象徴だった…。

ほかにもまだまだ、摩り替えられた象徴が、日本は日本は見つける事が出来る国かも知れないですよ。

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