道を選ぶとは。
朝日新聞2016年6月8日21時33分
参院選に向けたキャッチコピーが書かれた新ポスターを発表する自民党の木村太郎広報本部長(右)ら=8日午後1時3分、東京・永田町の党本部、飯塚晋一撮影
写真・図版
自民党は8日、参院選向けのポスターを発表した。安倍晋三首相の写真とともに、「この道を。力強く、前へ。」とのキャッチコピーが緑色で大きく書いてある。木村太郎・広報本部長は記者会見で「道半ばではあるものの、アベノミクスは結果を生み出してきている。この道を更に力強く進めていくとの思いを込めた」と説明した。
ポスターには「政治は国民のもの」とも書かれている。立党宣言の冒頭にある言葉で、首相は「このことが大事だ」と語ったという。26万枚印刷し、全国で貼り出す予定だ。
「この道を。力強く、前へ。」というキャッチコピーには「道半ばではあるものの、アベノミクスは結果を生み出してきている。この道を更に力強く進めていくとの思いを込めた」と言う言葉に、どこか違和感というか、文法的にしっくり来ないと感じるのはなぜでしょう。
「この道を更に力強く進めていく」という言い方は、文法的に何かしら足りないか、言い回しを間違えているか、どちらかですね。
この文章の文脈から言えば、「この道を 更に力強く進めていく」と言いたいなら「この道を 更に力強く切り拓いていく」じゃないでしょうか。
アベノミクスによって切り開かれた展望ある道を、更に進んでいきたいというなら、「この道を 更に力強く推進していく」あるいは、「この道を
更に力強く切り拓いていく」になると思えます。
文法的に訂正なら「この道を 更に力強く進めていく」から「この道を 更に力強く進んでいく」に言い換えれば良いと思います。
だが、記者会見では「この道を 更に力強く進めていく」と言っています。
と言うことは、何か言葉を補って完成された文章にしないと、しっくりこないわけです。
翻訳と言う視点から見れば、補うべき言葉が見えてきそうです。
この道はアベノミクスのことでしょうから、誰が何者を前に進めようというかを、補うことになるでしょう。
となれば、推進する主体は安倍政権となるでしょう。
問題は安倍政権の作ろうとしている道に、何者を進めようとしているかです。
進めるわけなので、何者かは前へと進められることになるでしょう。
安倍首相は以前、日本国の最高責任者と自らを呼んでいますから、前へ進むように促される対象は、やはり、国民ということになりそうです。
そこで、こうなるでしょう。
「この道を安倍政権は 更に力強く国民を進めていく」
安倍政権が強引な国家運営をしようとしていることがよくわかる一文ですね。
でも立憲主義国家とは、憲法が権力を縛り、国民が主体となり、主人公となって、国の進むべき道を決めていく国家ではないでしょうか。
力強く進むべき道は国民が自ら決め、皆で力を合わせて前進しようというのが、立憲主義の国家であり民主国家ではないでしょうか。
選ぶべき道を間違えてはいけませんね。
道を間違えてしまうとどうなるか、諭している聖句が聖書にあります。
ローマ人への手紙 3章 16節
彼らの道には、破壊と悲惨とがある。
正しい道を選びたいものです。
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