オーロラ爆発も太陽フレアも磁場の「つなぎ替え」が原因だった。
2015年12月25日付WIRED.jpに興味深い記事が掲載されています。
京都大学と九州大学の科学者チームが、長年の謎であった「オーロラ爆発」の仕組みをコンピュータ・シミュレーションで再現することに成功した。
PHOTOGRAPHS BY WIKIMEDIA COMMONS
TEXT BY K.G ORPHANIDES
TRANSLATION BY MAYUMI HIRAI/GALILEO
WIRED NEWS (UK)
極地地方の空で光が揺らめくオーロラは、地球上で最も美しくて魅力的な謎のひとつであり続けてきた。
オーロラは、北極および南極の上空で常にかすかに見えているが、最も壮観な眺めは、「オーロラ爆発」(ブレイクアップ)と呼ばれる、オーロラが急激に非常に明るくなり、きらめいて揺れ動く現象だ。
京都大学と九州大学の科学者チームはこのほど、このオーロラ爆発がどうやって起こるか、その基本的な仕組みを特定した。
今回の研究(PDF)では、コンピューターによるシミュレーションを利用して、極地における太陽のプラズマと、地球の磁場の相互作用を模擬的に再現した。
オーロラが太陽からのプラズマと地球の磁場との間の相互作用の結果であることはすでにわかっているが、「オーロラ爆発」現象がどのようにして発生するかについての一貫した矛盾のない説明が、今回の研究でようやく確立されたことになる。
地球に近づいた太陽風(太陽から吹き出す高温の電離した粒子からなるプラズマ)は、地球に近い宇宙空間で発生する地球の磁場の「つなぎ替え」によって、極地地域の上空に集まる。つなぎ替えとは、磁気エネルギーが、運動エネルギーや熱エネルギー、粒子加速に変換されるプロセスだ。
京都大学と九州大学のチームは、このつなぎ替えによって、地球の磁気圏のプラズマが回転し、極地地域の上空で急激な電流がつくり出されることを突き止めた。
これによって電流が過剰になり、低高度にあるプラズマが、反時計回り(北半球の場合)に回転して余分な電気が放電される。これが、磁気のサブストームと関係する、オーロラのサージと呼ばれる明るい閃光になるのだという。
研究のリーダーを務めた京都大学生存圏研究所准教授・海老原祐輔は次のように話している。「これまでの学説では、磁力線のつなぎ替えや電流の分岐といった個別の仕組みを説明しようとしたものの、この現象全体を説明しようとすると矛盾が生じていました。われわれが最初から必要としていたのは、より大きな全体像に目を向けることだったのです」
こういう記事です。
ようは、磁場の「つなぎ替え」つまりリコネクションによってオーロラ爆発が起こると言うのです。
磁気リコネクションは、太陽系のなかで最も大きな爆発現象である太陽フレアの原因でもあります。
磁気リコネクションで数時間から数日の間に蓄積された磁場エネルギーが開放されることが、太陽フレアを引き起こしているのです。
地球の磁場はドーナツに似たトーラス状なので大気を発光させることができないけれど、太陽の磁場はループ状磁場が表面一杯に広がっているので蛍光灯と同じ原理の発光をしています。
オーロラは太陽からのプラズマと地球の磁場との間の相互作用の結果、つまり、オーロラの中では太陽表面と似た状態が生まれているわけです。
そこに起きるオーロラ爆発が太陽フレアと似た現象であるのは、決して偶然ではないのです。
恒星になるか、惑星になるか、大きさでは決まらないことは近年の天体観測によって明らかになってきました。
言い換えれば、恒星になるか、惑星になるか、決め手は磁場の形なのです。
太陽がガス天体とされる理由が、また一つ事実上消えてしまったと言えるでしょう。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 資本主義を続ける方が恥ずかしいのではないだろうか。(2024.12.12)
- あなたもいつの間にかスマホが神になっていないか。(2024.12.11)
- 争いを減らすには、まず自分のして欲しくないことは誰に対してもしないことです。(2024.12.09)
- 科学や技術はそろそろ神の領域にどう臨むのか考えた方が良い。(2024.12.08)
- 超巨大ブラックホールの生成する状況を考える。(2024.12.07)
「科学」カテゴリの記事
- あなたもいつの間にかスマホが神になっていないか。(2024.12.11)
- 科学や技術はそろそろ神の領域にどう臨むのか考えた方が良い。(2024.12.08)
- 超巨大ブラックホールの生成する状況を考える。(2024.12.07)
- コロンブスの卵をじっくり見てみた。(2024.12.05)
- もはや資本主義を卒業して次の段階に一歩を踏み出した方が良い。(2024.12.03)
「天文」カテゴリの記事
- 科学や技術はそろそろ神の領域にどう臨むのか考えた方が良い。(2024.12.08)
- 超巨大ブラックホールの生成する状況を考える。(2024.12.07)
- コロンブスの卵をじっくり見てみた。(2024.12.05)
- ブラックホールの構造と役割が見えてきた。(2024.11.29)
- 膨張宇宙論の難問の原因は重力波の解釈にあった。(2024.11.26)
「物理」カテゴリの記事
- 科学や技術はそろそろ神の領域にどう臨むのか考えた方が良い。(2024.12.08)
- 超巨大ブラックホールの生成する状況を考える。(2024.12.07)
- コロンブスの卵をじっくり見てみた。(2024.12.05)
- ブラックホールの構造と役割が見えてきた。(2024.11.29)
- なぜ波動関数は複素数で表されるのか。(2024.11.28)
「電磁」カテゴリの記事
- 電磁波の式も重力波の式も作用反作用で理解できる。(2024.05.12)
- 重力波の正体は電磁波なのか。 Are gravitational waves really electromagnetic waves?(2023.05.01)
- 重力の発生メカニズムは、浮力の発生メカニズムと似ている。 The mechanism of the generation of gravity is similar to the mechanism of the generation of buoyancy.(2023.02.19)
- 重力は引力と斥力からなると考えれば問題はシンプルになる。 If we consider gravity as consisting of attraction and repulsion, the problem is simple.(2023.01.29)
- 引力の宇宙定数の関係を見れば時空の新たな構造が見える可能性がある。 If we look at the relationship between the gravitational cosmological constant, we may be able to see a new structure of space-time.(2023.01.02)
コメント