どういう立場に立って各国の位置関係を見ると良いのか考えてみた方が良い。
北朝鮮がアメリカに対して挑発的行動を取り続けているのです。
北朝鮮に圧力をかけて態度を変えさせようとして、いくつかの国々が動いています。
北朝鮮が態度を変えないなら、石油の全面的な禁輸も辞さないと言う強硬論も出ています。
だがロシアは、それに異を唱えているのです。
対話の道を模索し、進めていくべきだとしているのです。
それに対して、様々な推測や憶測が当然のように出てきています。
しかし、ロシアにどのような思惑があろうと、その背景にはどういう事情があるか考えた方が良いでしょう。
その結果、ロシアに対してどのような働きかけを選択するにしてもです。
まず考えられるのは、ロシアは北朝鮮と陸続きだから、もし北朝鮮の民衆に何かあれば、難民問題など厄介な事態を抱える可能性が大いにあると言う事です。
だが、影響はそんな段階で留まるはずはないと考えるのは自然なはずです。
ロシアは北朝鮮が陸続きの隣国である以上、どんなに可能性が小さかろうと最悪の事態回避に動くのは当たり前ではないでしょうか。
そこを理解すべきなのです。
仮に北朝鮮へ石油輸出を全面的に止めたとします。
ロシアは最も近い産油国なのです。
輸出再開を力づくでも迫ってくることは、当然想定の範囲でしょう。
もし、どちらから業を煮やして戦端が開かれた場合、核で威嚇しあう事態になり、北朝鮮がロシアに核を使いかねないと最悪の事態を想定し全力で回避行動をとるのは当たり前ではないでしょうか。
北朝鮮への石油禁輸を実施したらABCD包囲網で石油禁輸された日本が真珠湾奇襲をしたような行動を北朝鮮は取るかと言う問いに、ロシアはないとは言い切れないと懸念している可能性は否定しない方が良いと思うのです。
そして実際に、最悪の事態の事態はあり得るとの判断を示し、各国の理解を得たいと願っているではないですか。
北朝鮮がアメリカ・ロシア・中国の三国を翻弄出来るのは、緩衝地帯としての地政学的な位置にあるからです。
北朝鮮は自覚しているか否かに関係なく、やらざるを得ないし出来るからやっているのでしょう。
アメリカ・ロシア・中国の三国の緩衝地帯としての地政学的位置にあるにもかかわらず、韓国や日本がそれをやっていないからですよ。
だが韓国や日本は恐らく、自らの地政学的立場を理解していないし、利用してもいないようにみえるのです。
従来の大国のパワーバランス理論の束縛から、出られないからでしょう。
近視眼的なリアリズムが、邪魔しているのです。
日本を中心とした世界地図を見て欲しいのです。
日本が、アメリカ・ロシア・中国の緩衝地帯としてこの三国を翻弄出来る地政学的位置を理解して欲しいのです。
仮に半島が中国とロシアのどちらにつこうとも、日本のアメリカ・ロシア・中国の緩衝地帯としての地位は揺るがないはずです。
しかも経済力もあるではないですか。
かつてより順位は落ちたかもしれないが、それでも十分な高さと大きさがあります。
北朝鮮がロシアと中国を翻弄出来るのは、北朝鮮の緩衝地帯としての地政学的位置をロシアも中国もわかっているからだ。
中国もロシアも、北朝鮮を相手に取られたくないが追いやりたくもないのです。
そして、北朝鮮は中国やロシアとアメリカとの緩衝地帯でもあるのです。
それは、アメリカも十分意識しているはずです。
これらの事情を一番理解できていないのは、悲しいかな、日本ではないですか。
真っ只中にいて翻弄される立場にあるから、多くの国民がそのことに十分理解できていないのかもしれません。
もう一度言います。
日本を中心とした世界地図を眺めてください。
思い描いてください。
日本が、中国やロシアとアメリカの緩衝地帯であり、これらの国々に対してイニシアティブを握れる地政学的位置にあることを、理解してください。
一番良いのは、半島と日本の中立化だと私は思うのです。
そして、中国やロシアとアメリカの緩衝地帯としての地政学的位置にある利点を最大限に利用し活用する政治のリアリズムを徹底的に理解し生かして欲しいのです。
世界が平和と安定の中で、持続可能な対等平等・相互互恵な社会をつくり上げていくイニシアティブを大いに発揮して欲しいのです。
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