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大嘗祭

大嘗祭では、わざわざ内部の作りが同じ悠紀殿と主基殿が作られます。

悠紀殿と主基殿は簡素な材料で質素に作られ、古い時代の神社の形はこうであっただろうと連想出来ます。

大嘗祭で見落とされがちなのは、悠紀殿と主基殿が大社造りな事です。

大社造りと言えば、大国主命を祀る出雲大社の様式ですね。

しかも、それが二つ並べて作られ、それぞれの千木が内そぎの女千木と外そぎの男千木なのです。

女千木と男千木、つまりこれは陰陽を意識して悠紀殿と主基殿が作られていると言う事なのです。

具体的には、東西南北、上旬下旬、春夏秋冬、午前午後、前後左右、などを表し森羅万象をつかさどる八百万の神々を表しているのです。

森羅万象の八百万の神々と天皇が会食する儀式が、大嘗祭なのです。

天皇が悠紀殿と主基殿で神々と会食するのは大社造りの本殿に当たる場、伊勢神宮の方角に向かって神々と会食するのが大嘗祭なのです。

天皇の神々と会食をする場所の傍らには、寝座があります。

寝座はさまざまな憶測を生んでいるけれども、寝座は神座に通じ、この空間が神の場である事を示しているのです。

神道は基本的に偶像は作らない、そこで何らかの象徴で暗示するわけです。

霊の世界に入る事は、しばしば眠りに例えられます。

安らかにお眠りくださいなども、その一例ですよね。

それで寝座は、神座ともなるわけです。

新嘗祭も収穫を喜ぶ天皇と神々の会食だが、大嘗祭は新任天皇が神々と初顔合わせする儀式のようなものと言えるのではないでしょうか。

もちろんシンボルだから、他の解釈もあり得るでしょうけども。

なお天皇が神社をかたどった悠紀殿と主基殿の本殿にあたる場で神々と会食出来るのは、天皇が祭司それも最高祭司だからなのです。

大嘗祭とは、最高祭司としての天皇の座にこれから就く際の神々に対する就任パーティーのようなものではないでしょうか。

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