アメリカの共和党と民主党になぜ党首選挙が無いのだろう。
ところで皆さんは、アメリカの共和党と民主党には党首がいないのをご存知でしょうか。
大統領候補を選ぶ長い予備選挙はやるが、党首を選ぶ党首選挙はどちらの党にもないのです。
もし党首選挙をやれば、共和党も民主党も路線を巡って紛糾し、分裂必至かも知れません。
党首選挙が無い共和党や民主党に、当面の路線を決める党大会があるわけでもないのです。
それは両党の成立が、国を二分した南北戦争と深くかかわるからなのです。
北部と南部の戦いは、統一を維持しようとする共和党と南部の独自性を守ろうとする民主党の戦いでもあったのです。
南北戦争が終息後、地主層の没落と南部への工場進出と北部への南部からの労働者の流入がありました。
ブルジョア政党へと変貌する共和党と、労働組合に軸足を移す民主党、そして今の姿へと近づいたのです。
どちらも当初一点共闘的暫定的政党の性格が強かったので、党首選挙の無い不思議な党になったのです。
実はアメリカにも、共和党や民主党以外の政党が無いわけではないです。
国を二分する戦いを背景として成立した二大政党の壁は分厚く、第三極となる党の支持基盤を広げるのが容易ではないのです。
二大政党は成立過程を反映して、寄り合い所帯的性格が強いのです。
独立した第三極を目指す政党の入る余地は狭いのです。
二大政党は成立過程を反映して寄り合い所帯的性格が強いから、共和党のティーパーティや民主党のバーニーサンダースのグループは単なる派閥ではないのです。
両党を構成する、党内党的な存在なのです。
だから両党とも、路線選択を伴う党首選挙は不可能に近いと言うわけです。
追記
共和党と民主党の性格の違いについては、この記事で考えました。
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