この猫どこから?
北部から南西部にかけて九州山地や霧島の山々に囲まれて宮崎県の南西部に位置する小林市は知っていたが、字小林で検索をかけてみて驚いたのです。
字小林は、東北で結構見つかるのです。
山形県や岩手県や青森県など、東北の北三県だけでも驚く程あるのです。
地名辞典で探せばさらにあるかも知れないが、検索をかけて見つかるだけでもこれだけありました。
青森県では、十和田市大字相坂字小林、十和田市大字米田字小林、八戸市大字是川字小林、これはまだ序の口です。
岩手県では、一関市大東町大字渋川字小林、一関市千厩町大字小梨字小林、一関市大字滝沢字小林、奥州市前澤古城字小林、奥州市江刺米里字小林、奥州市丹沢郡衣川村字小林、盛岡市本宮字小林、大船渡市立根町字小林、宮古市田老字小林、興味深いのは奥州市の字小林です。
小林と言う苗字は藤原氏から出たと見られているからで、藤原氏の一族がいかにこれらの地に根付いていたかがわかります。
でも、山形県で思わず吹き出しました。
山形県では、山形市大字神尾字小林、東根市字小林、酒田市最上郡真室川町大字新町字小林、そして、なんと猫沢周辺に字小林がやたらと多いのです。
猫沢、気になる地名です。
小林は藤原氏の出とされるが、その藤原氏は秦氏の出と言われるのです。
秦氏と言えば、養蚕との繋がりはあまりにも有名です。
それに、これら小林の地名があるのは各県とも養蚕関連の信仰としておしらさまが祀られている地域なのです。
そうしてみると元をたどれば秦氏に繋がる可能性が強い小林の地名が、やたらと猫沢周辺にあるのは偶然でしょうか。
養蚕家が猫を飼っていたのは繭などをネズミから守る必要があるからで、猫沢と言われるくらいだから相当いたのでしょうか。
どうにも気になります。
猫絵の殿様などという話が出るくらい、猫を手に入れるのは大変だった時代です。
そんな地名にまでなるほどの猫、どこからどうやって手に入れたのでしょうね。
背後には、かなりの勢力がいたのでしょうか。
そう言えば、これらの市にはたいてい八幡様を祀る神社があったり、中には八幡が町の名前になっている地域があるのです。
八幡と言えば秦氏ゆかりの神社、しかも地域の名前になっている場合さえあるのは秦氏の一族がそれなりの勢力を持っていたわけです。
そして、養蚕関連のおしらさま信仰とくれば、これらの地域もまた秦氏の知られざる拠点の一つだったのでしょうか。
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