欺瞞にもなれば行き違いを解く地道な努力の手段ともなる言葉の二面性とどう付き合いますか。
言葉は、単なる情報伝達の手段ではなく、私たちの内面を映し出す鏡でもあります。
その鏡が曇れば、相手の姿も、自分自身の思いも、正しく映らなくなる。
だからこそ、言葉の選び方には、私たちの姿勢や価値観が表れるのです。
日常の些細な会話の中で、私たちはどれほど相手の立場に耳を傾けているでしょうか。
誤解を恐れず、すれ違いを丁寧にほどいていく営みは、決して派手ではありません。
けれど、その積み重ねが、信頼を育み、関係を深め、やがて社会全体の平和へとつながっていくのではないでしょうか。
「自分を愛するように人を愛し、神を愛せ」という教えは、 抽象的な理念ではなく、言葉を通して日々実践されるべきもの。
その実践は、相手を理解しようとする姿勢に、そして自分の言葉に責任を持つ態度に、静かに宿るのです。
この思いを改めて感じたのは、トランプ前大統領が「国防総省の名前を『戦争省』にすべきだ」と語ったときなのです。
私は、言葉の重みについて改めて考えさせられました。
それは、欺瞞にもなれば、行き違いを解く地道な努力の手段ともなる言葉の二面性です。
国防とか防衛とか省庁の名前通りのことに徹しているのなら攻める国なんてどこにもないから、そもそもこんな名前の省庁は要らないのではないでしょうか。
そうではないから、戦争になるのではないでしょうか。
これらの省庁は災害救助にも活動しているのは確かですが、それに徹するなら武装する必要などあるでしょうか。
治安維持と言うなら、警察行為に必要な装備で十分なはずではないでしょうか。
「国防総省の名前を『戦争省』にすべきだ」というのは、動機はともかく実態に即した名称にすべきという指摘には変わりはないのではないでしょうか。
「防衛」と「戦争」——どちらの言葉を使うかで、国家の姿勢は大きく変わります。
防衛は抑制と慎重さを、戦争は攻撃と意志を連想させる。
制度の名称ひとつにも、言葉の選び方が国の方向性を映し出すと言えるでしょう。
一方、ASEANは「対話による平和」を掲げ、武力ではなく信頼の積み重ねによって地域の安定を築いてきたのです。
その姿勢は、国連憲章が求める「紛争の平和的解決」と重なっていると言えるでしょう。
戦争は、言葉によって準備される。
平和もまた、言葉によって築かれる。
だからこそ、言葉との付き合い方を丁寧に問い直すことが、戦争を遠ざける第一歩になるのではないでしょうか。
私たちは、どんな言葉を選び、どんな関係を築いているでしょうか。
その問いに向き合うことが、平和への小さな一歩になるのかもしれません。
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