月山と出羽三山 ― 魂の復活をめぐる古代の思想
月読尊が祀られる月山は、出羽三山の一つです。
三山と聞くと、つい三つの独立した山を思い浮かべてしまいがちですが、実は月山は臥牛山とも呼ばれ、横たわる牛の形に見立てられています。
その姿を思い浮かべると、北に垂れた首が羽黒山、背中が月山、そしてお尻から腹の陰の部分が湯殿山。
この三つで一頭の牛の姿を形作っているのです。遠くから見れば三つの山に見えますが、実際は一つの山体を三部位に分けて考えていたのですね。
月山は、“魂が入って再び力を得る復活の場”とされます。
三山の構造は弥陀三尊の座に見立てられ、月神が祀られることで、滅びと再生の象徴となりました。
月は満ち欠けを繰り返すことから、古代から再生の象徴として崇拝されてきたのです。
ここで少し気になるのは、月読尊が男性神であることです。
山に祀られる神には女性が多い印象がありますから、違和感を覚えるかもしれません。
ですが、牛は仏の象徴。
月山の場合は、再生や復活の象徴として男性神が選ばれたのかもしれません。
さらに、月そのものは陰の力も持つため、女性的な側面も併せ持っていると考えられます。
この考え方は日本だけに留まりません。
世界の古代文明にも同じような思想が見られます。
エジプトの三大ピラミッドも、死と再生、魂の復活を象徴すると言われます。
三という数字や天体との連動も同じで、外見は違っても思想の根本は共通しているのです。
となると、日本にも、ピラミッドと同じ思想を宿した場所があったのかもしれません。
トンカラリンもそうですし、月山もその一つと考えられるでしょう。
東西にわたり、古代の人々は滅びと再生というテーマを自然や建造物に巧みに織り込んでいたのです。
こうして月山を歩くと、単なる山登りではなく、古代の知恵や宇宙観を追体験する旅になります。
地形や神話、天体の位置まで含めて、人々が自然と精神を結びつけて作り上げた場所。
その精妙な工夫の痕跡を、静かに感じ取ることができるのです。
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