日本人の顔の多様さは、古代中東の記憶を映す鏡
鏡の中の日本人の顔。
彫りの深い人、丸顔の人、南方のような柔らかい目元の人――。
どうしてこんなに違うのだろう。
この問いの向こうに、人類の長い旅の記憶が眠っている。
古代中東の響きを残す遺伝子
人のY染色体には系統がある。
その中に「ハプログループD」という系統がある。
これは、中央アジアから西アジアで生まれた古い枝のひとつ。
世界の多くの地域では姿を消したが、なぜか日本列島には今も生きている。
とくにアイヌや琉球の人びとに多い。
まるで、古代中東の遺伝的な響きが、海の彼方にまで届いて残ったようだ。
このD系統を持つ人々こそ、旧石器時代の末に日本に到達した最初の住人。
そののち、東方へ旅した人々――のちの縄文人たちがやって来て、彼らと混ざり合う。
争いの痕跡は少なく、むしろ共存の痕が残る。
食べられる木の実、危ないキノコ――土地の知恵を伝えたのは、旧石器の末裔だったのかもしれない。
縄文という保存庫
縄文人のDNAを解析すると、驚くことに、どの現代人にも単純に当てはまらない。
アジアでもヨーロッパでもなく、むしろ両者をつなぐ古層のようなモザイク構造をしている。
言い換えれば――失われた旧世界の遺伝子の保存庫。
しかも、遺伝子だけではない。
黒曜石、貝輪、土器文様。
それらはシベリアや満洲、朝鮮半島を経由した文化の伝播を示している。
血の記憶と文化の記憶が、二重写しになって列島の中に残ったのだ。
なぜか違和感のない“再会の島”
そして――ここが面白いところ。
古代にペルシャ人が来ても、
時代を下って白系ロシア人が来ても、
朝鮮半島からの渡来人がやって来ても、
なぜか日本では大きな違和感がない。
ユダヤやシュメールの神話が、日本神話の奥で響くのも偶然ではないだろう。
みんな、大もとは旧石器時代にユーラシアを横断した“原型人類”の枝葉なのだから。
鏡に映る古代
日本列島とは、混血のるつぼというより――
古代ユーラシアの記憶を保存した天然のリザーバー(貯蔵庫)。
だから外見の多様さも、民族の融合の柔らかさも、
突き詰めれば、みんな「再会の物語」なのだ。
遠い親戚が、時代を経て訪ねてきた――
それが、この列島の歴史の本質だったのかもしれない。
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