上がり目下がり目、くるっと回って猫の目 ――「かわいい」と常若に見る、日本文化と聖書の一回転 ――「完成」より「関係」を愛でてきた文化
まあ今回は、半分お遊びみたいな話です。
厳密な議論というより、上がり目下がり目、くるっと回って猫の目。
視点が一回転すると、少し違って見えるかもしれない、という程度の話。
お気軽にお付き合いください。
猫の目って不思議です。
細くなったり、丸くなったり、明るさに応じて形を変える。
決して「完成した形」に固定されない。
その場、その関係、その環境に応じて、くるっと変わる。
そういえば、日本文化が好んできたものも、どこか似ています。
左右きっちり揃った対称より、少しずれた非対称。
埋め尽くされた完成形より、余白のある庭。
均質な器より、わずかな歪みをもった茶碗。
癖があり、揺らぎがあり、「これから」が残っている形。
日本文化が愛でてきたのは、
完成された状態というより、
関係が続いていく途中の姿だったのかもしれません。
この感覚は、「かわいい」という言葉にもつながっている気がします。
かわいいものは、強くない。
完成していない。
守られる側で、手がかかる。
でもだからこそ、関係が生まれる。
そして、ここで猫の目が、もう一度くるっと回ります。
日本の祭りを見ていると、稚児という存在が現れます。
未熟で、幼く、弱い存在。
本来なら脇にいそうなその子どもが、
祭祀の中心に立ち、神と人のあいだをつなぐ役を担う。
完成した大人でも、力を持つ者でもない。
むしろ「途中」にいる存在が、
場のいちばん大事な位置に置かれる。
常若、という思想も思い出されます。
完成して固定されることより、
若さを更新し続けること。
変わり続けることで、関係を保つという感覚。
すると、また妙な連想が浮かびます。
キリスト教では、イエスは永遠の神でありながら、
幼子としてこの世界に現れた存在だとされます。
しかも聖書には、
「幼子のようにならなければ、神の国に入れない」
という言葉まで出てくる。
強さや完成度ではなく、
委ねること、受け取ること、関係のなかに身を置くこと。
そこに価値がある、という逆転した視点。
もちろん、これは比較宗教の結論でも、起源論でもありません。
ただ、猫の目みたいに一瞬くるっと回してみると、
稚児、幼子、かわいい、未完成、常若、関係――
それらが同じ方向を向いているように見える瞬間がある、というだけの話です。
そう考えると、猫が日本でどこか特別な存在になったのも、
少し納得できる気がします。
役に立つわけでもなく、言うことを聞くわけでもない。
気ままで、癖があって、目を離すと勝手に動く。
でも、その「完成しなさ」そのものが、愛でられてきた。
上がり目下がり目、くるっと回って猫の目。
完成ではなく、関係。
固定ではなく、更新。
強さではなく、委ね。
今回はそんな連想遊びでした。
半分冗談、半分本気。
でも、猫の目が一回転したあと、
世界が少し違って見えたなら、それで十分です。
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