縄文犬はどこから?
私はこれまでにも、秋田犬や琉球犬や北海道犬などが実はヨーロッパの犬と起源が近いのではないかと見てきた。
そして、縄文時代に遡らないと説明が付かない可能性を追求してきた。
東アジアの中で日本人の遺伝子は突出してヨーロッパに近いが、その原因となったのが縄文人だからである。
和犬とも呼ばれる日本犬には、現存するものちしては6種類が知られている。
犬種名 大きさ
秋田犬 (あきたいぬ) 大型犬
甲斐犬 (かいけん) 中型犬
紀州犬 (きしゅういぬ) 中型犬
柴犬 (しばいぬ) 小型犬
四国犬 (しこくけん) 中型犬
北海道犬 (ほっかいどういぬ) 中型犬
四国犬は、以前は土佐犬と呼ばれたが土佐闘犬との混同を避けるためこう呼ばれるようになった。
面白いのは柴犬だけが、特定の地域名がないことだ。
実は柴犬とは、類似の特徴を持つ複数の地犬の総称である。
信州柴犬 (しんしゅうしばいぬ)
川上犬 (かわかみけん)
美濃柴犬 (みのしばいぬ)
山陰柴犬 (さんいんしばいぬ)
縄文柴犬 (じょうもんしばいぬ)
信州柴犬は、現存するほとんどの柴犬のルーツといわれている。
日本で飼育されている柴犬の、実に99%が信州系だ。
ピンと立った耳や丸まったしっぽ、被毛の色といった、現在の柴犬にも共通する特徴が引き継がれている。
信州川上犬とも呼ばれる川上犬は、長野県南佐久郡川上村に伝わり、保護育成されている小型日本犬の一種である。
信州柴犬がタヌキ顔なのに対し、川上犬はオオカミ犬に近いのが特徴である。
山がちな地形である信州は、異なる系統の柴犬が生息してきた興味深い地域といえる。
複数の地域で飼育されてきたために特定の地域名のない柴犬だが、縄文柴犬もまた特定の地域名がない。
縄文柴犬は、あまり知られていないと思うが新しい犬種ではない。
縄文柴犬は、縄文時代の遺跡から出土した犬の骨格・頭骨や額段が浅いなど、良く類似し、世界的に見ても珍しく、原種性が維持された日本の犬だ。
縄文柴犬と呼ばれるが、縄文時代の縄文犬(じょうもんいぬ)と混同しないように注意する必要がある。
というのは、縄文犬の特徴を受け継いでいると言われるのは現生の日本犬では柴犬のほか、北海道犬、琉球犬などのほかに、カナダ原産のラブラドールレトリバーもいるからだ。
縄文柴犬は、縄文犬の特徴を受け継いでいる犬種の一つなのである。
柴犬の中でも特に縄文柴犬が、縄文犬に近いということなのだろう。
縄文犬の分布がアメリカ大陸にも及ぶのは興味深いが、縄文人の分布もまた環太平洋規模の可能性があると明らかになりつつある。
そして、その縄文縄文人の遺伝子がヨーロッパに近い、正確に言えば共通の祖先に近いと言える。
犬の分布から、日本人のルーツを探ると面白いことが見えてくるかもしれない。
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